Attention
※これは2018/5/8に私がふせったーで書いていたFGO一部6章の感想を含めた、アーサー王伝説のモードレッドに対するエッセイ的な何かの転載です。一部加筆修正しています。
個人の呟きとして情報を過信せずに読みましょう。FGO一部6章のネタバレなど当たり前のように出てきます。
モードレッドとは
アーサーの姉……面倒なのでここではアンナ(これは旧い版の名前で、妖妃モルガンのこと)と表記する……との間にアーサーが(騙されるような形で)出来た子ども。
不義の子というか、後述のことも踏まえるとモードレッドは「忌み子」が近い。
五月一日に産まれた子どもがアーサーと王国を滅ぼす(省略)……
と予言された。
モードレッドはこの「国を滅ぼすと予言された災いの子ども」である。
(五月一日=メイデイはケルトにおいてあの世とこの世が近い日、主に不吉な意味合いで使われることが多い)
「五月一日に産まれた子どもが国を滅ぼす」と予言されたので、みんなモードレッドを殺せーーー！！！って言ったんだけど、色々あって生き延びて、彼は円卓の騎士になる。
(この予言の子どもに該当する子どもをするせの皆殺しは各神話や、聖書のヘロデ王の虐殺を想起させるね)
ちなみに、アーサーも産まれたときの予言のせいで殺されそうになって、何とかかんとか生き延びたのだ。へけっ。
アーサーはそもそも不義の子だ。
父親が陰謀(マーリンの手助けともいう)で無理やり再婚した母親イグレーヌを持つアーサー…という視点で見るとモードレッドはもうひとりのアーサーだ。
この構図は、ランスロットとその息子ガラハッドにも見られるのでよく対比される。
……この手の主人公の立場、主人公が背負う罪が最後に本人に返ってくる、というのは「源氏物語」でもそうだ。
まあ、そんなモードレッドは結構アーサーに逆らわなかったりでなかなか可愛いヤツだ。
メタ的な歴史から見るモードレッド
モードレッドはクレティアン(ずっと昔の壁サー)によって有名にされた騎士で、そんな彼の役割は昔からアーサーを殺すこと。裏切りの騎士であり、アーサーとその王国を終わらせる存在である。
もともと、アーサー王の存在を「史実」として扱おうとした際に、
「物語」でなく「歴史」であるならば、それは必ず終わらなければならない。
「いつアーサーの王国は終わるの？終わらないと次の時代がかけない」
みたいな理由からモードレッドは創作されたと考えられることが多い。
というわけで、後世の創作ではもっつつつつつぱら悪役下劣役割なモードレッドなので、基本的にイギリスやフランス視点のアーサー王伝説だけだとまーーーモードレッドはイメージが悪い。読み込むとそんなに悪い子じゃ無いのが分かるけど。
とはいえ、円卓崩壊の直接の原因は(面倒なのでここでは説明をカットするが)昔からモードレッドと決まっている。
アーサー王伝説を感動と共に読み、騎士たちに胸を高鳴らせた読者からアーサー王を奪い取るのがモードレッドなのだ。
そんな悪名高きモードレッドなので、ほとんどのアーサー王伝説の二次創作(二次創作というか、現代のアーサー王)ではモードレッドはちょび髭おじさん(映画『キャメロット』)だったり、悪いイメージが多い。(ちょび髭のおじさんが悪いわけでは無いが、美形として描かれないという意味である。私はどんなモードレッドも𝑳𝑶𝑽𝑬だ。)
しかしアイルランドにおいて、モードレッドは救国の英雄である。
アーサー王はブリテンの王様=アイルランドから見ればにっくき敵国である。私も論文読み損ねたので詳細は省くけど、モードレッドはアイルランドにとっては強大な敵国を打ち負かした英雄だ。
近年のメディアミックスではようやくこのアイルランドにとってのモードレッドが反映され、モードレッドはヤバイヤツ、ではなくなってきた。(ドラマ「マーリン」)
かなり顕著なのがfateシリーズのモードレッドで、彼女はまーーーなんというか、若きマロリー版以前のアーサーのような性格だなーと思う。
fateシリーズのモードレッドは「イギリスにとっての裏切り者のモードレッド」と「アイルランドにとっての救国の英雄であるモードレッド」の両側面を持っている。特に作中では後者が優先的に描写されるため、今までのモードレッド像とはかなりの別人だ。はっきり言おう、裏切り者のモードレッドに慣れていた私には違和感の塊である。
これはちょっと珍しくて、fateシリーズからのファンは6章のような「裏切り者のモードレッド」に慣れないし、原典のモードレッド好きには「英雄としてのモードレッド」がなかなか慣れない…という不思議なキャラになっている。
とはいえ、アーサリアンの私はもともとめちゃくちゃモードレッドが好きなのではちゃめちゃにfateシリーズのモードレッドは好きだ。