夢の中でお金を貰った話
ガチャガチャカラカラ、少し軽めの金属音が聞こえた。扉の鍵穴が大きな音を立てた後に聞こえてきたストラップがかすれる音を聞いて家族が帰ってきたのだと私は感じた。
すると予想通り、少しして「あれ?お母さんとお父さんは?何処?」と父方の死んだ祖母が登場。どこかの絵画ですか?と言わんばかりの大きな荷物を持っていて、どうやって運んできたのだろうと驚いた。
私は軽く「なんか出かけたみたい」と笑顔で答えた。祖母は「仏壇はどこにあるの?」聞いたので、私は「外にあるでしょ、ほら。今日雨だけど」と答えた。外はざあざあ激しい雨だったので、外から入ってきた祖母が忘れるはずもないし、かなり濡れたのではないかと思う。
祖母はそんな外の様子を見て仏壇に大きな荷物あげることを諦めたのか、それを立てかけて私の隣に来た。
「ゆずもちちゃん、ほら、お小遣いよ」
私は「ええそんな、悪いよお」などと言いながら受け取るのが通例で、本気で悪いなと思ったときは断ることもある。いや、あったのだ、祖母はもう亡くなったので言い方は変えないとね。
出されたお金をよく見る、千円?いや一万円?いや、25000円と書いてある。
「えっこんなに?!悪いよ」
私はお金を貰うことにきっちり罪悪感を覚えながらもウキウキしていた。
「でも貰っちょき」これも祖母の決まり文句だった。私が受け取るときにはお札のお金は3万円になっていた。1枚3万円、日本の最高額紙幣だ。(夢の世界の紙幣は現実と違う)
3万円受け取った私はその場で泥臭く泣き始めた。祖母は少なすぎたのか?という反応で困っている。なんで私が泣き始めたのか分からないで居る。
私はこのお金で冷蔵庫がやっと買えると泣いていた。
でも私の口から出てきた言葉は「どんなに頑張っても認めて貰えなくて」
認めてくれない相手は親だ。祖母じゃない。
だから、このお金を貰って「頑張ったね」ってはじめて親族に認めて貰えたような気がしたのだ。嗚咽を漏らしながら鼻水を垂れ流しながら低い声で呻くように泣いていたのだ。
そのくらい、頑張っているのだ。
夢から覚めて
そんな夢だったので、起きた直後は「お金を貰った)という事をきっかけに泣き出すほど私は追い詰められているんだな、と思った。感じていたよりも私は精神的にかなり限界の手前らしい。
最近ちょっと回復したと思っていたため、コレはちょっとショックだった。
私は諸事情から、親にお金を送らないで欲しいと頼んで今は送らないようになってる。理由はあるけど、やっぱり親からの仕送りは心苦しいから。
それでも親はお金を送ってきた。ほとほと愛想が尽きた。何で私のお願いをわざわざ無視したのだろう。
親からのお金を私はありがたい、大切なお金だからこそ親自身のためや弟のために使ってあげて欲しいと頼んだ。高価な家具だって欲しいけど自分で買いたいからいい。結構この不便で何もない生活を気に入ってるんだ、と話した。以降は送られてこなくなった。
でもこの時の私は自分の自立性をすごくなやんで決めたことを「お金によって支援するという形を取って邪魔」をし、「送らないでと頼んだのに送ってこられた」のは本当に夜眠れなくなるくらい親が怖くて不愉快で、そしてひとりの人間としての言葉を無視されて悲しかった。
私の「ひとり立ちのために、見守っていて欲しい」という要望を無視した行動だったからだ。
今日の夢の中で私が「でもだれもわたしのことを分かってはくれない!」と泣いて、3万円で「頑張ってるからね」と言って貰えた気になったのは何が違ったんだろう。タイミングなのかな、今はお金がなくて辛いから、なのかな。
でも多分違う、母が私にお金をくれたのは「私の自主性を損なわせるため」だと感じたけど、祖母のものは「自主性を応援するため(生きてて偉いのお小遣い)」だと感じたからなのかも。
そう考えていくと、私は母のお小遣いや現金の仕送りがあったことをとても不快に思っていたけど、母なりに娘へ自立のエールを送ってくれていたんだと思えるようになった。そこは今日の成長。
でも「送らないで」と頼んだことを無視されたのは一生残る心の傷なんだ、ごめんね、受け取り方が悪くて。
でもね、子どもを支配することが当たり前だった人にそうされたら、支配だと受け取るのは無理ないと思うの。ごめんね。
まだ上手く言えないけど
母なりに私を見捨てないように、縁が切れてしまわないようにしている。特に母方の祖母が間に入ってくれているのを感じる。大切にしてくれたことも本当なのだろう。
ただその方法は支配だったんだよね。過保護とかじゃなくて、自分は器用にやれるのに貴方はこんな簡単なことも出来ない。私が障害で上手くできないことを母は理解できないから。母からすればとっても不思議。なんで出来ないのか分からない。毎日怒るときは論理で説明できないので人格否定になる。
上手く叱れない自分が嫌でヒステリーを起こして子どもにぶつける。
なんで出来ないの?わからない。何で私の娘なのに同じように出来ないの?なんで?なんで貴方は違うの?なんで?
そして人格否定はきもちがいい。
夫に上手く関われないストレスを宇宙人みたいに何考えてるのか分からない娘に向ける。
弟は障害者じゃないからわかりやすい、コミュニケーションも宇宙人じゃない、話しやすいから可愛がりやすい。
母も気がつかなかっただけで、父や叔母の発達特性に苦労させられてたから、同じにおいがする私を家で邪険に扱ってしまっていたんだよね。人間だもん、キツいことがあったらキツくなるさ。カサンドラさ。相談できなかったよね言語化できなくて、難しいよね。家族の事ってさ。
私は自分を邪険に扱う母と接したつもり。人格否定じゃね?ってこといわれて洗脳操作されても勝手に生きてきた。
色々あったね、貴方も悪くなかった沢山の被害者だよ。
私も言い方が酷くて、わからなくて、障害抜きにしても酷いこと言ったりしたよね。家族への愛情が足りておらず非協力的な能面のように顔が変わらないため何を考えているのかコミュニケーションをとれない宇宙人が……私がいてとても怖かったよね。
だからもう、お互いにこれからは距離を置こうね。
それが2年前、私が家を夜逃げする形で出てきた真相だ。私は母や家族を恨まず、復讐せず、病気を治すことに注力を注ぐことにした。
そして私が金銭的に九州に戻ることが金銭的に無理になったタイミングで父方の祖母が亡くなった。
祖母にはとてもお世話になった、たくさん大切にして貰った。でも、祖母が私に「大学におんなのこは行かなくて良い」と言ったことと「(経済的な余裕から考えても払えるはずの)学費や子どもの教育費を払わない(払いたがらない)父親」を肯定した時に「この人とはもう終わりかも知れない」と思った。将来的に縁を切る覚悟も決めていた。
父や祖母の意見は間違ってないだろう。人間は自分が一番可愛いし、子どもの教育費を必ず払わないといけないわけでもない。自分が少しでも経済的な損失があるなら、損失は避ける。その経済的な損失が「娘の存在」だとしても。正しいことだ。女に教育は必要ない、大して名門大学に行けるわけでもない普通の子どもに学費を払うなんて馬鹿げてる。行くなら奨学金を借りるべき。その価値観もあると思った。
だから私は実家を出て気持ちが落ち着くまで連絡は取らないことにした、それだけの小さな復讐で終わらせた。
祖母はその間に急激に病状が悪化し、私は死に目の帰省が出来なかった。お葬式に出て関東にとんぼ返りした。以降帰っていないので今回の夢で「確かに祖母の仏壇に手を合わせてないな」としょんぼりした。
今も「帰省時に実家に閉じ込められて出て行けなくなった」というパラレルワールドのような夢を見る、
難しいよ、全部、全部さ。
夢の中の私は家族のことは嫌いでも、たまに遊びに来て事情をあんまり把握できてない祖母がくれるお小遣いは嬉しかったよ。それまで生きてて、努力して偉いねって言われたみたいで。
本当はその言葉を両親や弟にも言って欲しかったけど、無理だしね。
夢の中で3万円貰って泣き崩れる私に祖母は「働いていたらそのくらい普通でしょう?」といった。ごめんね、うつ病で働けなくて。普通じゃないから大切なお金なんだ。なんか、このお金を見たときに私の今までの努力を褒めて貰えたような気になってずびずび泣いて「どんなに頑張っても認めてくれないの」と泣いてしまって。
起きてから恥ずかしかった、何故なら私には私の努力を見てくれる友人達が沢山居るから。友人ありがとう。
親が認めてくれないことに一生縛られて生きていきたくはないなあと思ったりした。
4時に書く文章ってやばいね!こんなこと考えてたよ。文通には書けないけどね。