自分の実績を認めているつもりでいたけれど、実はそうではなかった。
それに気づいてやってみたこと、気持ちにどんな変化があったかを書いてみます。
ファシリテーターをしているのだから「自己アピールできる」と思っていた
私は10年ほどアパレル販売・店長を経験後、2年ほど前にIT業界に転職。それ以降は、マーケティングを軸に事業開発などに携わっています。
異業種への転職ということもあり、情報収集と業界の雰囲気をつかむため、当時は様々なオンラインイベントに参加していました。
その中でも、「WTM Tokyo - International Women's Day 2022」のプログラムの1つとして開催された「#IamRemarkableワークショップ」への参加が大きく心に残っています。
#IamRemarkableワークショップは、女性やマイノリティなどの社会的に周縁化されやすい人々が自分の実績を自信をもって主張できるようにするものです。(当時はGoogleがイニシアチブをとっているプロジェクトでした。)
何気なく参加してみたにも関わらず、内容のパワフルさにインパクトを受け、ワークの中で自分自身に存在する"力"をじんわり実感でき、よろこびを感じたのを今でも覚えています。
そして「この内容を、日本語文化で生きる人にこそ届けたい」と思い、研修を受けてファシリテーターになりました。
その後、所属コミュニティのメンバーを対象に、複数回ワークショップを主催したこともあります。
なので、「私は自分の実績を認められている。アピールもできる。」と思っていました。
2回目の転職後、「実績を認められていない」自分に気づく
今年に入り、私は女性エンジニア向け転職サービスを運営するスタートアップに転職をしました。
前職よりもさらに幅広いプロジェクトを猛スピードで進める中で、「あ、私は自分の実績を真っ直ぐ認められてないな」と感じる出来事がありました。女性エンジニアコミュニティで技術書典17にサークル参加し、技術書を出したプロジェクトのときのことです。
それまで私は、技術書典ではオンラインで本を購入したことしかなく、本の編集も印刷も現地出店も経験したことがありませんでした。「正直不安だな」と思いつつ、執筆メンバー募集を開始したことを覚えています。
ありがたいことに集まった執筆メンバーは、20名。この人数が関わるプロジェクトを進めたこともなく、不安の重みがちょっと増したような気がしました。
結果的には、無事に技術やキャリアについて各々の好きな内容が詰まった本データが完成し、無事に(厚みに全員が笑った)物理本が刷り上がり、無事に当日の現地ブースで売り子さんメンバーと販売し、無事に3時間で完売し、無事に打ち上げまで終えることができました。
(具体的な技術的記事から時短で年収アップしつつキャリアを積み上げた話、登壇のときに参考になる手順記事からQAとしてのキャリアなど、どれも読み応えありです。気になる方はこちら:わたしのすごい技術大全)
しかし。
その打ち上げの席で、代表に「このプロジェクトが成功したのはみゆきさんが頑張ってくれたから。みゆきさんの成果だよ!」と声をかけられた私は、「いや…」と、そのことを素直に認められませんでした。
いつの間にか私は、「自分の実績を自信をもって認める」ことができなくなっていたようです。
はて、事実はどうだろうか?
池袋の打ち上げ会場からホテルへ向かう道すがら考えました。
私の場合は、「常に改善しなければいけないという意識」「他者と比較する」「完璧でなければいけないと言う意識」「謙虚で控えめでいなければいけないという意識」などがその背景にはありました。
しかし、事実はどうでしょうか。
予定通りに本が出来上がった
販売ブースや打ち上げで顔を合わせる機会が作れた
メンバーが執筆も販売の過程も楽しんでくれた
合計で200冊以上も本が売れた
X上で読者から良い反応がもらえた
「記事を読んで〜をやってみた」などきっかけをつくれた
技術を楽しみ、それぞれの挑戦を続ける女性エンジニアの存在を多くの人に届けられた
これらは揺るぎない事実であり、私がプロジェクトを進めたことで成し遂げられたことです。
これらの事実をアピールすることは、決して自慢にはなりません。
こうやって一息ついて事実を客観的に見つめることで、私は真っ直ぐ自分の実績を認められるようになりました。
「実績を認める」手助けになったもの
#IamRemarkableの内容が時間をおいて再び助けてくれたのはもちろんですが、ファシリテーターになった以降に読んだ本や記事も参考になりました。
また、「事実に対して感情は絶対に起こるもの」というアドバイスももらいました。感情の存在を否定することなく、ノートに「事実」「それに対して抱いた感情」「客観的に見ると?」を書き出すのも、事実をそのまま認めるのに有効でした。
「実績を認められない自分」を、認めていく
残念ながら、すぐに「実績を認めてばんばんに自己アピールができる」ようになるわけではありません。
筋トレをするように、実績を認められない自分に気づく→事実を見つめる→実績を認める→他の人に話す、というステップを繰り返していく必要があるのだと思います。
ただ、そういったトライを重ねている自分は素晴らしいと思えるようになりました。さらに、周りの人の挑戦についても、前よりもクリアに見つめることができるようになり、その尊さや素晴らしさを讃えたい!という思いが深くなりました。(英語の celebrate という表現がしっくりくる)
2025年の私がこの記事を読んだ時、「自分ちょっと進歩できているじゃん」と思えるようになっていたいなという希望を込めて、記録します。