自分が大切にしたいものの話

zansyou
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昔、通っていたお稽古事の練習場にご挨拶へ行ってきました。十年以上ご無沙汰してしまったので、先生方も随分お年を召されていて、生徒さんも知らない子ばかりで時間の移りを感じるひとときでした。

練習をしばらく見学していて、気付いたことがあるので記録します。

お稽古事は勝敗があるものだったので、当時も今も生徒さんのみんなは大会で勝つために練習に励んでいて、自分も最初は大会で勝つことにモチベーションを置いていたと記憶しています。特に今日見学に行った練習場では大会で勝てる、見栄えの良い動きをする子が多く、勝つことへのモチベーションの高さを感じました。

かつて自分が感じていた違和感、当時は言語化出来なかったことに向き合ったような気がします。

現役時代、そこそこ好成績をおさめることが出来るようになってからある程度時間が経って、勝つことに一番重きを置けなくなったことを覚えています。恐らく、私は勝つことよりも『美しく魅せること』が好きだったのだと今なら言葉に出来る。

基本は決まった動作をいかに強そうに見せるか。そこに動作一つ一つの意味を理解した表現を足すことで、臨場感や決まった動作をなぞる以上の意味を持たせる。大会に勝てることは嬉しいですしモチベーションにもなりますが、勝つことは目的ではない。自分の表現を評価してもらえたという実感があれば、最終的な成績はどうでも良かったのです。

きっと当時から今に至るまで、自分の大切にしたいことは変わっていないのだと思います。勝敗よりも美学や何かそれに類するものに重きを置きたいのだな、と。勝つなら自分が納得出来る美しい方法で勝ちたい。過程も結果もきれいなものでありたい。

ずっと持ち続けていくだろう、自分の芯を確認した日でした。