俺は童貞厨だった。
夫に指摘され、腐った女子20年目にして気付きを得たのである。YouTubeにおすすめされた嵐のトラブルメーカーを見ながら、花より男子の話をしていた時だった。前日に花男37.5巻をあの本棚から血眼になって探し出し、道明寺とつくしちゃんのイチャイチャから得た多幸感で眠りについた私には非常にタイムリーであった。
F4の中で、私は誰推しだと思う?
「うーん、花沢類?」
馬鹿野郎!逆に苦手だ!
道明寺一択ですが?元気なアホの子、僕ちんだ~いしゅき!
「そうなんだー、まぁ確かに元気なアホの子…確かにね…」
そして童貞なのが良い。否、童貞だから良い。童貞であるか非童貞であるか、それは、その情報を得た時点から先も推せるか推せないかの判断にさえ関わる。
「にんげんちゃんって…童貞厨なの?」
…
……
”童貞厨”…!?…だと…!?
何だそのワードは!初見である(聞)。
美少女ゲーAIRやKanonをプレイしていた頃から死ぬほど聞いてきた”処女厨”ではなく、”童貞厨”…。
私は物心ついた頃には既に三次元を愛せない性質で、二次元の世界に魂を飛ばし生きてきた。
二次元は良い。ナマモノでないのでスキャンダルもなければ、例え推しが死んでしまったとしても己の前頭葉にチョチョイと魔法をかけ、ぴくしぶ(昔は個人サイトでしたね…)と言う名の楽園に身を投じれば、そこには自分にとって都合の良い、ifの世界が、地平線も見えないほど広大に開かれているのである。
死ななかった推し、笑っている推し、えっちな推し、左側の推し、右側の推し…。二次元に秘められた無限大の可能性、シュレディンガーの二次元なのであります。
そして私がこの20年間、(無意識にではあったが)常に彼らに求めていたもの…それは”童貞であること”だったのだ。何と言うことだ。他者から指摘され気付くなど…己の性癖もまだまだ無限大の可能性を秘めている。
まだ自覚はないが、きっと処女厨歴も20年なのであろう。しかしこれは仕方がないことであると私は考える。何故なら私の対象たちはほとんどが♂×♂だったからである。NL界隈の方々なら自身が処女厨or否であることに気付くのも早いであろう。そんなこと言ったらおちんちん界隈だって同じなのかにゃ?????????はにゃにゃ????????? あ!でもおちんちん界隈にも処女はございますね!はにゃにゃ!!!!おんたん!!!!
童貞厨…世の人々にとってこのワードはお馴染みなのであろうか?人生の半分以上をオタクとして過ごしてきたはずなのに、私は初めて聞き、意識したものであった。
俺は童貞厨だった。俺は、童貞厨だった。
オタクトンネルを抜けた先には、童貞しかいない世界があったのでした。