200字小説「猫のランプ」

zero
·

「俺のランプをどこへやった」

 ざわざわと這い回る音が廊下から聞こえた。

 猫の声だった。

「俺の、俺のランプ……誰が盗みやがった」

 荒い息で探し回る爪音がする。

 私は部屋で寝たふりをした。

 廊下には例の粉を撒いてあるので、猫がここに気づく訳はない。

「くそう、くそう」

 猫が泣きながら転がりまわっている。

 私は布団の中でひっそりと、猫のランプを抱き寄せた。

-完-

ファンタジックお題メーカー(ライト)

shindanmaker.com/1194949

猫のランプ、盗まれた、撒く、転がる