ララチューン

zerosant
·

ラランドのYoutubeチャンネル『ララチューン』で公開された自主映画をみてグッときたので。

企画・プロデュースと主演がサーヤ、原案・脚本がニシダ。

学生芸人として最初に有名になったのが、このラランドというコンビだったような気がする。学生芸人というバックボーンで注目を浴びただけではなく、M-1で準決勝まで勝ち上がるほどにネタも面白いし、サーヤとニシダそれぞれの個性も際立っている。受験生や大学生をはじめとした若者の人気を集めているのも頷ける。私もこのコンビが大好きです。

この短編映画『点』は、大学受験・浪人期という、十代の若者にとってのいわば試練の時期を扱っている。ニシダの浪人時代の経験をもとにしているらしく、浪人生の努力と苦悩を正面から描いている。

この映画に出てくる人物ほどにがんばる受験生ではなかったが、私も大学受験を経験した。それなりの苦悩も味わった。浪人はしなかったので、浪人生の辛さはわからない。難関大学に合格したわけでもない私の苦悩は、世間から見れば大したものではないのかもしれない。ただ、あのとき感じた受験期特有の憂鬱を、いまでもはっきりと覚えている。

努力することは当然の義務であるかのような雰囲気が息苦しかった。友達の努力を近くでまじまじと見せつけられ、逃げ場のなさを感じた。模試のたびに現実を叩きつけられ、そのたびに何度もため息をついた。勉強をサボってしまう甘えた自分を殴りたくなり、それでも身を奮い立たせることができずその日が終わった。

この映画にも、そんなシーンがある。あの頃の自分の姿を思い出す。今なら優しい声をかけてやれそうな気もするが、当時の自分にはなんにも響かないだろう。努力と向き合うことがひたすら苦しかったあの時代を、今は懐かしく思い返すことができる。二度と経験はしたくないけどね。

若者の間でカリスマのような存在となっているラランドが、この映画を制作したことには大きな意味がある。受験生・浪人生の心に寄り添うこの作品が、多くの若者にがんばる力を与えることだろう。

ついでながら、ナタリーに寄せたニシダの文章もかなり好きだ。

もう一年頑張りたい。その誓いに嘘はなかったはず。自分はもっと出来るヤツだったはず。自分自身に裏切られる。頑張れない。妥協しておけば良かった。苦しい。死にたい。情けない自分と向き合って向き合って向き合った後に訪れる、努力の発火点。頑張らなきゃ。頑張れた。明日も頑張れそう。わたしが浪人生だった時は、そんな感じだった気がします。結果大学に行って、火は消えてしまったけれど。あの瞬間には嘘偽りのない努力があったように思います。

ニシダの小説作品、読んでみようかな。