朝起きてすぐ、良い天気なのでバルコニーに出た。植物たちを見ると、先週種を蒔いたプチトマトの芽が出ていた。当たり前っちゃ当たり前だが、嬉しくなってじっと見つめてしまう。ここからどんどん大きくなって、夏には真っ赤なまぁるいプチトマトをたくさん実らせてほしい。
今日は大学時代の後輩と池袋の茶藝店でお茶をする予定だ。ゆっくり話せるのは久しぶりだし、前から行ってみたかったお店だしで、とても楽しみ。遅めの朝ごはんを食べて身支度をして、池袋へ向かった。
訪れたのは梅舎茶館という、中国茶や台湾茶を楽しめるお店。池袋駅の中で迷ってしまい10分ほど出遅れて到着した。都会の大きい駅の地下道って、なんで番号表示どおりに歩いていても急にその番号表示がなくなるんだろう。
先に入店していた後輩の隣に座る。カウンターには茶器やかわいらしい小物が並べられていた。雰囲気のある素敵なお店だ。
後輩はもう何度かこのお店に来たことがあるそうで、メニューを広げつつ色々レクチャーして貰った。ここにおいては先輩である。お茶の種類がたくさんあって迷っていたら、お店の方に聞けば気分に合うものを教えてくれるとのこと。春だし、爽やかな香りのあるものがいいのですが、と尋ねてみる。台湾茶と中国茶で2つ候補を出してもらって、八仙という中国茶に決めた。
まず、茶葉のまま香りを試させてもらう。グラスに入った細長い茶葉の方は後輩が頼んだもので、茶杯に入った方が私が頼んだものだ。お店の方が慣れた手つきでお茶を入れて、お互いの選んだお茶を試せるように、お試し分の茶杯を用意してそちらにも注いでくれた。ありがたい。飲み比べてみると、香りが結構違うのがわかる。私の選んだお茶は爽やかさとこっくりとした甘みを感じて、後輩の選んだお茶は爽やかでありつつも、上品な香水や化粧品のような、少し華やかな香りもした。
お茶菓子にはフレーバーをつけたひまわりの種や、山楂のお菓子、紫いものお饅頭など。洋菓子のような華やかさとは違うが、お饅頭の紫がすごく綺麗だった。
美味しいお茶とお茶菓子を楽しんでいると、余計に会話も弾む。ゆったりとしながらも、絶えずおしゃべりをし続けた。大学を卒業してからゆっくり話す機会があまり無かったけれど、学生の頃と変わらずに、むしろその頃より深く話が出来ているような気がして、ありがたかった。
気付けば2時間以上経っていて、店内も満席だった。あんまり長居しても悪いかなと、一度退店する。まだ話し足りないような気持ちで、時間があればお店を変えてどこかで…と提案したところ、快諾して貰えてほっとした。
特にあてもなく、とりあえず、と南池袋公園まで歩く。写真が完全に逆光でへたくそすぎるのだが、青空に桜がわっと咲いていて、たくさんの花見客で賑わっていた。芝生も青々として心地良さそうで、これは確かに芝生に座って空と桜を見上げたくなるなぁと思った。
その後、池袋西口の中国茶館へ。今度は台湾茶を楽しみつつ、軽く食事もした。後輩おすすめの、ピリ辛のなすの揚げものがとても美味しかった。
他にも牡蠣のオムレツとかセロリとイカの炒め物とかをつまみながら、SNSの話やフェミニズムの話、MBTIの話など語り合った。後輩は話をするのも聞くのも上手く、時々膝を打つような名言が出てくるのでとても面白かった。
わたしが「弱者男性」という言葉が嫌いという話をした。なぜかと言うと、ただ異性にモテてないだけなのに何故か彼らは被害者のような口ぶりで、かつ、かといって自分を魅力的にしようと努力する訳でもなく「女が加害性のあるマッチョな男ばかり選ぶからだ」などと責任転嫁して言うからだ。わたしは「な〜〜にが弱者じゃ、女はモテなくても性被害にはあう二重の苦しみがある上、大抵の女は異性に好かれたいと思ったら魅力的になれるように努力するんじゃい。ただモテないという苦しみ一つ、しかも努力もしないで(略)…」と思っていた。
そうした人の気がしれんしなんでそうなるのか意味がわからん、と話すと、「彼らは女のことをインフラくらいに思ってるんですよ。みんなに配られてるものが自分たちにだけ配られないと思ってるから、被害者面なんです。自分たちにも配られるべきなのに、"女たちの意志のせい"で配給がないから"女が悪い"と言うんですよ」と言われ、な、なるほど〜!!インフラ!!と妙に納得してしまった。女を意志も感情もある同じ人間として見ているのではなく、何故か意志を持ってしまっている配給品みたいに見ているのか。クソである。
他にも色々と名言は飛び出したが、きりがないので割愛する。MBTIで後輩はENFJ、わたしはINFJであり心理機能の構成が近しいためか、価値観や物事の捉え方に共感出来ることがとても多かった。
気付けば20時近くになり、こんなに長いこと話していたのかと驚く。帰りに配偶者に頼まれたものを買いに行くのにも付き合ってもらい、なんだか、先輩なのに今日はお世話になりっぱなしだった。2人ではないがまた会う約束もして、解散した。
大学を卒業して10年も経っているのに、こうして久しぶりに会っても長い時間お喋りが出来て、真面目なテーマで語り合うことも出来るというのは、とても希有で、文字通り有難いことだ。こういう関係を出来る限り続けていきたいものだとしみじみと思いながら、家路についた。