今日は少し遠出して、友人と大磯でまったり遊ぶ。大磯ロングビーチで有名なあの大磯。わたしにとっては初めて来る場所だった。海のそばに行くのに、曇り空なのが少し残念だ。
朝、大磯駅で集合。うっかりして乗るべき電車を1本逃し、5分ほど遅れて到着した。友人2人を待たせてしまい申し訳なかった。駅からは山が見え、ほぼ崖みたいなところに民家がぱらぱらと建っていて、勝手に「地震の時とか大丈夫なのかしら」と心配してしまった。人の心配をしている場合ではない。
早速目的地へ向かう。鎌倉にあるジェラテリアSANTiの系列店で、カフェ併設のベーカリー兼ジェラテリアが大磯にあるのだ。
いかにも古民家を改装した作りで、入り口から風情がある。中に入ると、バターや小麦の美味しそうなにおいが広がり、目の前には美味しそうなパンや焼菓子がずらり。ここで買ったパンをお店のカフェで食べようと選ぶが、どれも魅惑的で目移りしてしまう。お腹にも限界があるので、いくつかは持ち帰りで、カフェで食べるのは2つだけにした。
ケールと生ハム、チーズを挟んだカスクートと、デニッシュショコラを食べる。優雅な朝食だ。サンドイッチとして美味しいが、そもそもパン生地が美味しい。内側がもっちりと水分があって、ポソポソしていない。噛みしめて小麦を味わう美味しいパンだ。カフェラテもちゃんと美味しかった。デニッシュショコラにかぶりつくと、ザクッと良い音がした。ASMRみたい。すっごい良い音するねそれ、と友人たちにも言われる。食感がよく、またこのデニッシュ生地も、チョコも美味しい。デニッシュショコラを半分くらい食べたところで、もう半分は持って帰ることにした。このお店はそもそもジェラテリアが本業なのだから、ジェラートを食べなければ。
ダブルにしようと思ったが2つに絞りきれず、結局トリプルにした。いつものこと。塩キャラメル、苺入りマスカルポーネ、ラムレーズンを選択。
みんな思い思いのジェラートを手に、引き続きおしゃべりを楽しむ。店内は私たちのような観光客らしき人もいれば、ご近所にお住まいと思われる人も居た。時折焼き上がったパンの匂いを感じながら、それぞれがゆったりとした時間を過ごしていて、良い空間だった。
このお店以外行くところを特に決めていなかったので、スマホで各々大磯の名所を調べてここはどう?と話し合う。「アオバト飛来地っていうのがちゃんと観光名所としてあるらしい」とか、「この向かいの鉄板焼きのお店の評価が高くて気になる」とか話しつつ、港にある海鮮定食のお店に行くことに決めた。
お店を出て、港へ向かう。5分くらい歩くとすぐに砂浜が見えてきて、こんな時期でもたくさんの人がマリンスポーツをしていることに驚いた。サーフィンをする人、砂浜でバドミントンのような競技を楽しむ人など。わたしたちは海に少しテンションが上がって、砂浜を歩いてみた。ただのぺたんこパンプスを履いていたので、慎重に一歩ずつ踏み締めて歩く。普段使わない筋肉を使っている感じがした。
港に着き、お店に向かうと列が出来ていた。12時半ごろに着いたが、ランチメニューは一部既に売り切れになっている。人気なんだなぁ。
しらす丼は完売だけどお刺身定食にしらす入ってるし、お刺身定食にしようか、と話しながら列に並んで待っていると、お店の人が先に注文を取りに来た。ちょうど前の人たちでお刺身定食が売り切れになってしまったようだ。残念だったが、3人とも港御膳を食べることにした。まぁしらすはすぐ近くにある直売所で買えるしいいだろう。
それからしばし待っていると、わたしたちのすぐ後に並んでいた、おそらく外国人観光客であろう男性が荷物を置いて列を抜け、斜め向かいに見えるしらすの直売所に向かっていった。しらす丼が売り切れだから代わりにと思ったのか、何やらしらすのパックを買って、お箸でそのまま食べている。おそらく醤油もかけていた。その光景を眺めながら友人がポツリと「ご飯が要るでしょそれは」と言って、それは確かに…と思った。しかし、日本に来て1人旅でわざわざ大磯に来るとは、結構旅慣れしてるというか、玄人だな…。
その後も並んでいる私たちのそばに、土鳩が寄って来た。学生時代に鳩の保有する菌を顕微鏡で見て以来鳩が大嫌いな友人のために、足踏みして鳩が近付かないようにおどかしていたら、しらすをたいらげて戻ってきたその男性に「(鳩が)かわいそうね」と苦笑された。ほっといてくれ。
そんなこんなで席に案内され、少し待つと港御膳が運ばれてきた。よくお盆に乗り切ったなと思うくらいおかずがある。ぶり大根、太刀魚の塩焼き、アジフライ、ぶりのお刺身、たらこと白子の煮物と、魚尽くしだ。ぶり大根がふわふわでそれでいてしっかりと味が染みており、友人たちと「どうしたらこんなふうに作れるの?」と感動した。同世代の中では日常的に魚を食べている方だとは思うが、こんなにふんだんにお魚を使った食事をすることはめったにない。美味しいお魚でおなかをいっぱいにしたが、魚なのでもたれたりすることもなく、心地よい満腹感だった。
雨が降ってきたので、あとはあまり寄り道せずにしらすだけ買って帰ることにした。元から年度末で友人もわたしも疲れているからと、無理せず早めに切り上げる想定でいた。
しらすの直売所に寄り、釜揚げしらすと天日干ししらすを1パックずつ購入。友人はたたみいわしも買っていた。食べたことないなぁと言うと、美味しいよ!と友人2人から言われた。買えば良かったなぁと後で思った。
同じ建物の中で地物の加工食品などが売っているようだったので、ついでに寄ってみる。地元農家の野菜が安く売られていて、いいなぁ、でも野菜を持って電車で1時間以上揺られるのもなぁ…と売り場を眺めていたら、ちょっと魅力的すぎるものが目に止まってしまった。
結露でわかりづらいが、カリフラワーだ。それも隣の長ネギと比較してわかるとおり、とびきり特大の。
二度見して、もはやちょっと戸惑う。見たことないサイズのカリフラワーだ。大きいし、あと安すぎる。普段はスーパーで値段をチラと見るだけで通り過ぎる高嶺の花なのに。しかも1つだけがバカデカいのではなく、バカデカいカリフラワーが沢山、上段下段両方に並んでいる。ここではこのサイズが当たり前みたいに。
友人たちは勿論、他のお客さんたちも「え?これ…」と戸惑いつつ、若干笑ってすらいた。あまりに想定外に大きいものって、ちょっと笑っちゃうよね。
しかし問題は、バカデカいゆえに重量もあるので、買ったとてこれ持って帰るのか?というところだ。いやでも欲しい。迷っていると友人が既に手に取っていた。「いやもう、こんなん買ってかないと…」と言う言葉に勇気づけられる。そうだよな、こんなバカデカカリフラワー、買って帰らないなんて勿体ない。面白いし安いし、大きいし。
レジ袋にギリ入るサイズのカリフラワーを手にし、更に勢いづいてのらぼう菜と紅芯大根も買った。しらすも一緒の袋にまとめて、片手にずっしりと重みを感じながら歩いたが、なんだか嬉しかった。わたしはいまバカデカいカリフラワーを持っているのだ。だから何なのだという感じだが。
駅まで戻り、電車に乗って途中で友人たちが降りていき解散した。カリフラワーを抱えて1時間以上電車に揺られ、16時半ごろ帰宅。お弁当の作り置きの作業中だった配偶者に、早速バカデカいカリフラワーを見て貰う。
デカいけどどうすんのそれ、と若干冷ややかな反応であったが、構わず写真をお願いした。やっぱりデカすぎる。
茹でて冷凍する算段だが、一旦その前に鍋に入れてみてパシャリ。はみ出すぎて笑ってしまった。最高だ。茹でるために切るのもなかなか終わりが見えず、流石に一苦労であった。
ひとしきりカリフラワーで楽しんだあとは、洗濯ものを干したり、頑張ってひとりで作業してくれていた配偶者と交代して作り置きをしたり、遅れを取り戻すように家事をした。夕飯は当初イナダシュンスケ氏レシピのハイデラバード風カレーを作る予定だったが、これから作るとホットクックに任せたとしても2時間以上かかってしまうので、今日はとりやめにした。代わりに、冷蔵庫に残っていた焼きそばの麺と野菜でエスニック焼きそばを作ることに。
長谷川あかりさんの、セロリと鶏ひき肉の塩焼きそばをベースにした。セロリとパクチーと豚ひき肉を使い、レモン汁とナンプラーを気持ち多めに入れて作った。ついでに、ちょうど食べ頃のアボカドとトマトを角切りにして、冷凍の小エビを茹でて、ラブパクソースで和えたサラダも作った。
炒め方が雑で麺がだいぶ細かく千切れてしまったが、味はかなり美味しく、好きな味だった。フォーみたいな味がする焼きそば。偶然の産物でこういう好きな味のものが出来ると、再現したくても出来ないのが困りものだ。
デザートに、大磯のベーカリーで買ったパイシューを2人で食べる。バニラの香りなのか、洋酒か何か入っているのか、ともかくクリームが良い香りで、なめらかでクリーミーで、シュークリームってこんなに美味しいんだっけか、と思うほど美味しい。普段スーパーで70円くらいのシュークリームを食べているから…。勿論それも美味しいんだけど。シュー生地も底の部分がザクザクのパイ生地になっていて、食感がいい。
しみじみと、大磯、行って良かったなぁ、と思う。鎌倉のような賑やかな観光地ではないから、今日みたいなゆったりした楽しみ方をしたい時にすごくちょうどいい。またこういうゆったりした過ごし方をしたい時と、バカデカいカリフラワーを買いたい時は大磯に行こうと、心に決めた。