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人生
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朝、またスコーンを朝食に食べた。ブリティッシュプディングの、田舎の大きなスコーン。しっとり系ではない、サクほろ系のスコーンだ。わたしはこういうタイプもかなり好き。本当はゆっくり美味しい紅茶といただきたかったが、エスプレッソマシンで入れた適当なカフェラテで済ませた。それでもスコーンは美味しい。

今日もねむいなぁと思いながら通勤電車に揺られる。眠気覚ましに日課の漫画アプリ巡回をしていて、ふと、スキップとローファーの新刊が出ていたことを思い出した。

課金してアプリで最新話を読んでるので内容は知っているけど、好きな作品なので単行本もちゃんと買っている。電子書籍で揃えているので、その場で最新刊を購入してスマホで読み始めた。連載でひと月おきに細切れ状態で読むのと、単行本として読むのとでは何か印象が違うんだよな。

既に大人気作品なので特にわたしが語ることはないが、優しくない現実を生きる中でのちょっとした希望みたいな作品だと思う。青春群像劇と言ってしまえばそれまでだけれど、どこか現実に居そうなくらいよく練られたキャラクターたちの、誰しも身に覚えがあるような複雑な感情を、丁寧に、繊細に描いている。リアルでありながら、やさしく世の中を描いていて、希望とか祈りのようなものを感じるのだ。

やっぱいいなぁ、と心が少し暖かくなるような心地がしながら読み進め、後書きを読んで、はっとした。作者の高松美咲さんは石川県の能登半島にルーツがあり、この巻では石川県珠洲市をモデルにした街や家が沢山登場する。詳細は書かないが、1月の能登半島地震によって、高松さんにとって大きな喪失があったことが綴られていた。そしてご自身がそんな状況でありながら、次のようにも綴っている。

昨年、講談社漫画賞のスピーチで「人生が後悔と喪失との戦いのように思えた時、そればかりではなかったと思わせてくれる友人のような ただ寄り添える作品になれば幸せ」と話しました。その思いはこれからも変わりません。

スキップとローファーは、本当にその言葉どおりの作品だと思う。そして、読者だけではなく作者の高松美咲さん自身にとっても、どうかそういう存在であってほしい。心から願い、通勤電車の中にもかかわらず少し泣いた。被災地への支援も、震災直後に僅かばかり寄附はしたが、今後も機会を見て行おうと思った。

なおこの後書きは高松美咲さんご自身のTwitter(X)でも公開されている。

さて、時間は飛んで、夕食である。今日は早く帰れたら、念願のイナダシュンスケ氏監修レシピのハイデラバード風カレー(ホットクック調理)を作ろうと思っていた。材料も揃えてあるし、さぁ作るぞとレシピブックを開き、1行目から脱力した。

「Aの食材を合わせて前日から漬け込んでおく」

見通しが甘いというかなんというか。今日はハイデラバード風カレーはとりやめだ。代わりに急遽献立を考え直す。

冷蔵庫にあるもので、使った方がいいものを探す。大磯で買った紅芯大根と、熟れたアボカドを使うことにした。紅芯大根はよく甘酢漬けにされがちだが、もう漬け込む時間があまり無いので塩とかつおぶしで浅漬けにすることにした。いちょう切りにした紅芯大根と塩、かつおぶしを適当にジップロックに入れて、重石として上に中華鍋をでんと乗せた。あまりにガサツな光景すぎたので写真はない。

アボカドは長谷川あかりさんのレシピで以前から作ってみたいものがあった。アボカドと鶏むねのエスニック丼。

作ってみると鶏むね肉もレンジ調理でよく、洗い物が少なくてかなり楽なレシピだった。ちょっと戸惑うくらいしょうがをたくさん使うので、おろすのが少し大変なくらい。

長谷川あかりさんの別のレシピで、白菜と豚のしょうがシチューというものがあるのだけど、それも「本当にこんなに入れていいのか?」と思うくらいしょうがを入れるんだよな。でもそれがすごく美味しいから、きっとこれも美味しいんだろう。作りながら期待が高まる。

また、作業ついでにハイデラバード風カレーの前日準備をしたのだけど、その際に牛の厚切り肉が余ったので塩だけで焼いて適当にステーキも作った。変な献立。

紅芯大根が色鮮やかで綺麗だ。大根という名はついていても辛くないし、かつおぶしの香りがいい感じに染みてくれていた。重石の中華鍋のおかげか。ステーキは見切れているけど適当に焼いた割には美味しかった。

アボカドと鶏むね肉のエスニック丼は期待を超える美味しさだった。レンジ調理のわりに鶏肉はやわらかいし、ナンプラーとしょうが、ごま油が効いていて食が進む。ご飯を少しおかわりしてしまった。夜遅く帰ってきて後から食べた配偶者も、これはめちゃくちゃ美味しい、と喜んで食べていた。今日は寒かったから、しょうがで身体があたたまるのもありがたい。

これはまた作りたいな。しかし、しょうがを大量に使ったのでまた買い足さないと。でもやっぱりしょうがを使うならケチケチせずに思い切り使った方が美味しいんだな。今後何か料理にパンチが足りないなと思ったときは、しょうがを躊躇わずにたくさん入れてみたりするのもありかもしれない。

@zinesay
夕飯日記