朝、スーツケースが倒れてレインコートが出てきた。なんのこっちゃ。
クローゼットの中、スーツケースのそばに服がもさっと置いてあって、昨日何度もそこを探したつもりだったのだけどレインコートは見当たらなかった。なのに今朝何かでぶつかってスーツケースを倒してしまったら、そこにレインコートがあったのだ。きみ、本当にずっとそこに居たのか?ちょっと疑ったが、多分スーツケースが陰になって見え辛くなっていたんだろう。
とにかくレインコートが見つかったので、通勤用リュックの底に入れた。わたしは「その日の天気や用事に合わせて持ち物を変える」ということが出来ない質なので、いつ雨が降ってもいいよう、もともとリュックに入れっぱなしにしていたのだ。それをいつかの雨の日に使って干して畳んでポーチに入れて、行方がわからなくなっていた。注意欠陥への対策をしたのに結局注意欠陥に負けている。30も過ぎて3年になるというのにこんなことばかりして…限界すぎるだろ。
まぁとりあえず明日雨だか雪だかが降っても安心だ。朝食のバナナとヨーグルトを食べて、ちょっと重くなったリュックを背負って出勤する。
眠剤の効果が残っているからか電車の中でつい寝てしまい、職場の最寄駅に着く頃には目が、というかコンタクトが乾いている感じがした。職場まで歩きながら目の違和感を無くすべく瞬きをしていたら、視界が急にぼやけた。右目のコンタクトがずれている気がする。この時はズレただけだと思っていたので、「職場に着いたらトイレで直そう」くらいの気持ちだった。しかしどうもこの時にコンタクトを落としてしまったようだ。ちなみにわたしは両目とも裸眼では0.03くらいの視力だし、乱視も入っている。つまり今左目だけが矯正視力1.5くらいで、右目が裸眼の乱視で視力0.03くらい。最悪のガチャ目。
レインコートと同様、注意欠陥対策でリュックに入れっぱなしにしている薬ポーチを確認したが、予備のコンタクトは入れていなかった。旅行の時とかにコンタクトを多めに持って、適当にリュックのポケットに入れてそのままになってるかも、と思って探したが、無かった。たまにそういう自分のだらしなさに救われる時があるが、今日は救ってくれなかった。
こんな時に限って午後までちょこちょこと外せない仕事があるから、早めに帰るということもできない。とりあえずまだ家に居るだろう配偶者にlineして、コンタクトの箱に記載されている度数などの写真を送ってくれと依頼した。
時々厨二病みたいに片目を押さえたりしながらめちゃくちゃなガチャ目のまま午前中やり過ごし、昼休みに近くのコンタクトショップに向かった。配偶者から送って貰った写真をもとに同じ度数のコンタクトを購入。右目だけなのに1箱5000円して泣くかと思った。普段は両目で5000円のサブスクを利用しているので単純に倍の値段だ。
ふと同じような性質を持っている友人の「わたしたちみたいなのはすぐ物を無くしたり忘れたり壊したりで余計に物を買うから"バカ代"がかかるんだよ」といった言葉を思い出す。これもバカ代。
午後はクリアになった視界で仕事をした。ぼやけずに物が見えるって素晴らしい。心なしかいつもより世界が輝いて見える。
いつも通り定時で退勤。今日の夕飯はもう決まっていた。うな丼と昨日作った蒸し茄子だ。あとお吸い物を適当に作ろう。
正直、うなぎを食べることに対して罪悪感というか、スッキリしない気持ちを持っている。絶滅危惧種である一方で、高く売れるから密漁が横行していることも問題になっている。どちらも根本的な解決が出来ていないのに普通に消費してしまっていいのか。でも、うなぎは美味しいし、既に調理されて売られているそれを買わないことって意味があるのか。
色々考えたが、自分の中で一応ルールを決めた。土用の丑の日には乗っからない。売る側に「ここで大量に売れる!」と思われないように、買わないようにしたい。そもそも夏は本来のウナギの旬じゃないし。気に入ってるスーパーにも、やたらに煽って大量消費を促さないでほしいことと、イオンのトレーサビリティうなぎのような取組をしてほしいということをご意見として送っておく。それだけだが、何も考えずに食べまくるよりはマシだろうと思っている。マシだけど結局食べるのだから、正しくはない。
とか色々考えているうちに夕飯の準備が出来た。正しくない自覚を持ってうなぎを食べます。ごめんなさい。
お吸い物には半端に残ってた舞茸とお豆腐を入れた。かつおぶしだけで出汁を取っちゃったし、ちょっとさっぱりしすぎてたかも。三つ葉があるともっとよかったな。蒸し茄子にはおろしたしょうがと小葱を乗せた。おろししょうがを小分けにして冷凍しておいたら楽なんだろうけど、おろしたてと冷凍では香りが全然違う気がして、面倒だと思いながら毎回使う時ごとにすりおろしている。蒸し茄子は一回醤油だけをかけてさっぱり食べて、途中でごま油を垂らして食べると2度美味しい。
うなぎはふっくらとして箸で身が切れるほど柔らかく、適度に脂が乗っていて美味しかった。これが食べられなくなるなんて嫌だなぁ。絶滅しないで欲しい。
食べながら、やっぱこのどんぶりはうな丼とかご飯ものを入れるにはちょっと大きいなと思う。もともとラーメンどんぶりだからそりゃそうなのだけど。ご飯ものにちょうどいいサイズのシンプルなどんぶりをずっと探しているが、なかなかこれだ!というものに出会えていない。インスタで見かけた祖師ヶ谷大蔵の工芸生活という器のお店が気になっているので、今度もし行くことがあったらそこでどんぶりを探そうかな。
ところで、あまり自分から言うことではないのだけど、私は箸の持ち方が正しくない。前々から直さなきゃなとは思ってはいたが、30年これで来てしまったので直せないかもとちょっと諦めてたし、自分を甘やかしていた。でも最近、今更ながら矯正箸(写真に写っているもの)を買って、それから正しい持ち方を意識しながら食べるようにしている。うなぎは「箸で切る」動作のいい練習になってよかった。
何故今更直そうとしたのかというと、土井善晴先生が「箸の持ち方は大人になってからでも日々ちょっと気をつけるようにしてればそのうち慣れて出来るようになる」みたいなことを言っていて、なんか急に「そういうものなら、できるかも」と思ったからだ。30も過ぎて3年になるのに正しい箸の持ち方をこれから身につけようとしている。やはり限界すぎるが、今からでも身に付いたらとても嬉しいな。