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人生
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今日は少しだけ忙しい1日だった。

実家に届けるものがいくつかあり、午前中は1時間だけ実家に帰っていた。遅い朝ごはんとして母が焼きたらこのおにぎりを2つ握ってくれて、缶から取り出した焼き海苔を巻いて、海苔がパリパリのうちに食べた。多くの人がそうだと思うが、自分の味覚を作ってくれた人(私にとっては母親)のおにぎりはいつ食べても何だか特別に美味しい気がする。

そして午後は謎解き好きの友人グループでリアル脱出ゲームを楽しんだ。主に大学の部活の同期たちが中心となってメンバーを集めたのだが、それぞれの友人や更にその友人カップルなども集まり、10名という大所帯での参加となった。

私は脱出ゲームを2〜3回やったことがあるくらいだが、メンバーには50回くらいはやっていると言う猛者もおり、「わぁ頼りになるなぁ」なんてぽや〜んとしたまま、ルール説明が始まった。

そして結果は以下の写真のとおりである。

人数がいればいい、ベテランがいればいい、ということではないんだなぁ。勉強になった。

脱出ゲームや謎解きに参加するたびに思うが、私みたいな、ぼんやり・うっかり・おっとりの三拍子揃った人間には多分向いていない。あんまり役に立たないし。でも一緒にプレイしてくれる人が優しいので、楽しめている。

あと、人生でなかなか出来ない体験が出来てうれしい。今日は人生で初めて、囚人のごとく手錠で2〜3人ずつ1列に繋がれて並ばされた。なかなか日常であることではない。3/3は手錠記念日。

脱出ゲームのあとは2人だけ抜け、残りのみんなで中華の食べ放題のお店でたらふく食べた。脱出ゲームの会場が横浜の中華街入り口にあったからだ。土日の中華街はすごい人の数で、普段なら5分の道を10分かけて歩くようだった。全く文脈は異なるが、ベルサイユのばらの「今日はベルサイユは大変な人ですこと」のシーンを何故か思い出した。

脱出ゲームで地味に体力を使って疲れていたのでみんなお腹がすいていて、中華料理のお店に着いてメニューを開き、目につくまま美味しそうなものを片っ端から頼んだ。思いの外一品ごとの量が多く、早々にみんなの胃の限界が来て、美味しい中華料理なのに「乗り越えなければならない試練」が円卓に乗っているようだった。きゅうりの冷菜がみんなの胃を少しスッキリさせてくれる救世主のように扱われていた。とはいえ、どれもとても美味しかった。

帰り、みんなは横浜まで歩くことになったが、私ともう1人はその後の予定等から、元町・中華街駅から電車に乗ることにした。中華街の入り口でみんなと別れて、2人で駅に向かう。そのもう1人というのは私にとっては大学の部活の後輩だ。素敵な感性を持っていて、本人の雰囲気や書く文章にもそれが現れているような人。久しぶりに少し話すことができて、とても嬉しかった。中国茶が好きだという話から、今度都合をつけて一緒に茶芸店に行こうと約束した。嬉しい。こういう先々の楽しい予定があるから、最悪でもその日までは元気に生きようと思える。別に希死念慮があるわけではなく、生きることへのやる気の話だ。

家に着いたのは17時半ごろ。わたしはこれからやるべきことがあった。

我が家では毎週末にたくさんのおかずを作り置きして、平日のお昼のお弁当に詰めたり、夕飯の副菜の足しにしたりしている。しかし今週は土曜日にタコスパーティ、本日日曜には謎解きと予定が詰まっていたので、いつもの作り置きが一切出来ていない。

今からたくさんのおかずを作るのは体力的にしんどい。今週は大量の野菜スープとたくさんのおにぎりだけ作って、それを毎日のお弁当にしよう。中身が毎日一緒になってしまうけど、もうそれはしょうがない。

というわけで、まず野菜スープを作り始める。最低限野菜スープらしきものが作れればいいし、野菜を適当に切ってコンソメと水で煮てしまえ…とはならず、飴色玉ねぎを作るところから始めた。何故このタイミングでそんな面倒で時間のかかることをするのかと我ながら思うが、実はそんなに面倒でもないのだ。時間はかかるけど。

何故なら、我が家にはこれがある。

ホットクックと、追加オプションパーツの「もっとクック」である。これに油と薄切りした玉ねぎ、塩を入れてボタンを押すだけで、約40分後には文字通り飴色の玉ねぎが出来ている。今回は玉ねぎのほかににんにくとセロリも入れてソフリットに近しいものを作ることにした。

ホットクックでの加熱中は手があくので、その間に具材を準備する。新じゃがは包丁で表面を擦るようにして薄く皮を剥いて、半分に切る。この皮剥きはちょっと面倒だが、普通に皮を剥くより煮崩れしにくいし、何となく美味しく感じるのだ。それからにんじん、キャベツも大きめに切って、全てフライパンで焦げ目をつけるように焼く。ついでにしめじも。具材が大きいとおかずとして食べ応えがあるし、焦げ目がスープに溶け出すと美味しい。

別に必須ではない工程でも、それをやると美味しくなるのならやっておきたい。よしながふみ作の「愛がなくても喰っていけます」の一場面を思い出す。主人公であり作者の分身である漫画家の"Yなが"は、原稿でとても忙しい時であってもトマトソースからパスタを作り、具材にはわざわざ揚げたナスを入れるなどして、アシスタントから「こいつ、なぜ切羽詰まっている時でも料理にひと手間かけることは忘れないんだ」と思われていた。忙しい時こそ、ひと手間でより美味しいものが食べられるならそうしたいのだ。普通のナスより揚げたナス入れた方が絶対美味しいもんなぁ。

ホットクックでソフリット風のものが出来たら、そこに焼いた野菜たちと水、コンソメも少しだけ入れて、ローリエを手のひらでぱん!と叩いて、いい匂いを嗅いで満足してから入れる。ローリエを叩く工程、なんだか好きだ。

そのままホットクックで10分くらい加熱して、その間に鶏むね肉をそぎ切りにし、酒と片栗粉をまぶし揉み込んだ。効果があるかは微妙だが、やわらかくなるおまじないくらいの気持ちでやってる。

野菜とスープがいい感じに馴染んだ頃合いで鶏むね肉を入れて、また10分くらい煮たら味を見て塩を足して完成。あんまり加熱しすぎるとお肉が硬くなるのでこれくらいにしておく。野菜の滋味と鶏のだしが出た美味しいスープが出来た。

これを毎日お昼に食べるのを楽しみにして、また1週間頑張ろう。忙しいときやうんざりしている時ほど、おいしくて身体にいいものが日々のごほうびになるはずだ。

おにぎりは、先週のうちに高菜のおにぎりを冷凍したのがまだ残っているから、今日はいいや。明日以降におかか梅と塩鮭のおにぎりを作れたら作ろう。

@zinesay
夕飯日記