種族
◆オオカミ族
カーニヴ。登場人物においてはベラドンナが該当する。
◆イヌ族
カーニヴ。登場人物においてはアマリリスが該当する。カーニヴとしては人口が多い種族で、外見などの特徴も多彩である。
◆ハイエナ族
カーニヴ・リデューシア。登場人物においてはシスター・マーサが該当する。
ベナンダンテ信仰うち、特に独自性のある思想を持つ。屍屋やスカベンジャーと呼ばれる、被差別階級に属する者が多い。
◆ウサギ族
ハービヴ。登場人物においてはワルターが該当する。ハービヴとしてはごく一般的な種族で、人口が比較的多い。
◆ヤギ族
ハービヴ。登場人物においてはレゾンが該当する。厳しい環境への適応力が高い。
◆ヒツジ族
ハービヴ。登場人物においてはシスター・セシリーが該当する。
◆ライオン族
カーニヴ・リデューシア。登場人物に該当なし。
◆非知性哺乳類/ノイマ(noima)
この世界の哺乳類のうち、知性獲得進化をしなかったもの。齧歯類(ネズミ、リス、モモンガ等)、翼手目(コウモリ)、単孔目(カモノハシ)などが該当する。
これらノイマが知性獲得進化をしなかった理由は諸説あるが、正確にはわかっていない。ただし、ノイマに該当する哺乳類は総じて「ヒト(ヘルメス)」よりも肝臓のテオシン分泌機能が弱いという共通点が見られる。
この点から、テオシンという物質こそが多くの哺乳類に知性的進化をもたらした物質だと提唱する研究者もいるが、真相は不明である。
またその他の共通点として、体長の小ささが挙げられる。ノイマにおいては、体長1メートルを超えるような種はほぼ見られない。
◆獣/動物
ヒト(ヘルメス)以外の動物を指す呼び名。非知性哺乳類であるノイマ、および鳥類・魚類・爬虫類・両生類・節足動物などが該当する。「動物」の語は広義ではヒト(ヘルメス)も含まれるが、一般的には知性やテオシン産生能力を獲得しなかった動物を指す場合に用いられる。
肉食種であるカーニヴやオムニヴがタンパク質源としているのはこの「獣」である。これら知性を持たない動物を食用することは禁忌とされていないが、ハービヴおよびオムニヴの一部、特にレゾン教信仰者からは、これらの肉を食用することにも非難の声があげられている。
アイテム等
◆テオシン
この世界の哺乳類の体内に存在する物質。
肝臓で生成され、血液を通して全身に行き渡っている。
哺乳類の体内のみで合成される物質で、ヒトが生きていくのに不可欠だとされている。哺乳類以外の生物(魚類・爬虫類・両生類・鳥類・昆虫類、植物など)の体内には存在しない。
一説によれば、テオシンという物質こそが哺乳類を生み、そして知性ある生命体「ヒト」へと進化させていったのだとも言われているが、未だ推測の域を出ない仮説である。
なんらかの原因でテオシンが欠乏すると、さまざまな肉体的不調や精神症状を引き起こすことがある。多くの場合は肝臓の機能のうちテオシン生成に異常が発生する疾患「月狼症(テオシン欠乏症)」である。
月狼症については「Lunawolf Syndrome」を参照のこと。
※参考……テオス(ギリシャ語で「神」)。
◆クワ/マルベリー
クワ科クワ属の落葉果樹。
レゾン教においての重要な位置を占める植物。果実・葉・材木などが幅広く利用可能で、ヒトに対して大変有益な植物として扱われてきた。食用・薬用・繊維用、そしてレゾン教における「神僕」である蚕の飼料用と、さまざまな用途への利用が可能であるため、レゾン教の布教とともに各地に広く普及した。
マグワやヤマグワなどいくつかの種類が存在するが、特にマグワが実らせる白い果実(ホワイトマルベリー)は神の食べ物「テオブロマ」とも呼ばれることがある。これはレゾン教が白を神聖な色としていることと、またホワイトマルベリーがレゾン神の好んだ食べ物であるとされているためである。
レゾン教を表す紋様にはクワの葉と白い果実があしらわれている。レゾン教の祖であるレゾン神はクワの若木の杖を携えている姿で描写されることが多い。
果実の旬である初夏にあわせて感謝祭が催される。果実を用いたジャムや果実酒などが多く作られる。生の果実は保存に向かないため、保存用には加工されることが多い。
用途が広く、薬効も持つため、この世界においてクワという植物はごく一般的な民間薬である。しかし、月狼症への有益な効果はとくに持たない。
なお、ホワイトマルベリーの花言葉は「知恵」である。
参考:クワ(植物)、ジャム(果実保存食)、イチゴ(宗教的徳性)
◆テオブロマ
マグワの実(ホワイトマルベリー)のこと。
レゾン教においては特別な果実とみなされている。これはレゾン教がクワという植物を重要視してきた歴史があるためである。
◆星月草(セイゲツソウ)
セイゲツソウ科の多年草。野生では山地の渓流などでしばしば見られる。
涼しく水の綺麗な土地でよく育つ。丸くたっぷりとした大きめの花を咲かせる。この花は夕方から夜にかけて咲き、甘い芳香を漂わせる。
生育自体は難しくないが、綺麗な水で育てた方が薬としての効果が高くなる。
実や花・茎や葉など全て食用可能で、これらを用いた料理も存在する。ただし、根には強いえぐみと苦味(アク)がある。このために根は花や実とは異なり長らく食用としては扱われず、薬効も認知されないままであった。
薬効があるのは主に根で、乾燥させて粉末状にしたものを飲む。この粉末状にした根のことを「レゾニウム」と呼ぶ。薬効として、肝機能を回復させテオシンの生成を促進させる力を持つ。肝機能回復効果はウコンなどにもみられるが、ことにテオシンの生成促進効果で言えばウコンよりもはるかに高い。
輸血や肝臓移植などの技術が発展していない作中時代(レゾン歴1800年代)において、月狼症の最も有効な治療方法は「星月草から作られた薬(レゾニウム)を服用する」こととなる。
※参考 :ワサビ、ウコン
◆モルシージャ
ベラドンナが携行しているアイテムの一つ。
地名
◆ヘルメス・トリスメギストス(Hermes Trismegistus)
この世界の呼称。トリスメギストスとも。3種のヒトが治める世界であることを由来として名付けられたとされる。「3人の偉大な知恵あるもの」という解釈が取れる言葉である。由来は古く、紀元前数千年に考えられた名称であると言うのが通説である。
詳しくは「World Guidance」の「ヘルメス・トリスメギストス」を参照のこと。
◆グリーンレイク(Greenlake Vilage)
ベラドンナの出身地。
その名の通り、緑色の美しい湖のほとりにあるのどかな村。カーニヴやオムニヴが多い。ベナンダンテ信仰者が住民の大半を占めている。
大きな湖を生かした漁業、畜産(養鶏)が中心。一部の者たちは狩猟や耕作をおこなうが、多数派ではない。
◆ロックウォール市(Rockwall City)
ワルターの出身地・現居住地。
レゾン歴1800年代においてはかなり発展している、先進的で大きな街。
街を円形にぐるりと囲むような石の塀と、よく整備された石畳の街並みが特徴。
さまざまな種類のヒトが住んでいる。教育の普及率はこの時代としてはとても高く、庶民でも通える教育機関が多数存在する。
◆オウルフォレスト東宿場町(Oulforest Post Town)
ベラドンナの現居住地。オウルフォレストという大きな森林地帯の東端に位置している。
ロックウォール市ほど大きくはないが、旅人や商人などが多く訪れる活気のある町である。
ベラドンナがここを居住地にしているのは、さまざまな人が訪れるという点を利用するため。ゆきずりの旅人相手であれば自身の月狼症を勘づかれにくいこと、夜でも対応できる薬屋が旅人に重宝されることがあること、また訪れるヒトたちから各地の噂や情報を聞くことができることなどが利点である。
それでも定住の住民たちに自らの病を勘づかれる可能性を考慮し、ベラドンナはあくまで仮の住まいとして暮らしているようだ。(月狼症の噂が広まった場合は他の土地へ引っ越す予定。実際、ベラドンナはワルターの元から離れた後も2回引越しをしている。)
◆セントジョーンズ教会(St. John's Chapel)
アマリリス、およびシスター・マーサの暮らしている教会。広大なオウルフォレスト内の南西部に存在する。規模はあまり大きくなく、森の中にひっそりと存在している。
誓言派の教会で、孤児院が併設されている。親を亡くしたなどの理由でやってきた孤児数人と神官が共に生活している。
設立者はその名の由来となった神官・聖ジョーンズ。
アマリリスは元々宥恕派の家庭で生まれ育っているが、月狼症となったことで忌み嫌われ、「神職者に解呪をしてもらうため」という名目で親元から「預けられて」きた。
なお、教会に預けられた月狼症の子供のもとに元の保護者が再び迎えに来る事例は非常に少ないため、実情としては「捨てられて」いると見るのが妥当である。
宥恕派の両親がわざわざ誓言派の教会であるセントジョーンズ教会にアマリリスを連れて行ったのは、近隣に「月狼」の引き受けを行ってくれるレゾン教の教会がなかったためである。
※参考……セイヨウオトギリ(セント・ジョーンズ・ワート)
書巻・読み物
◆月狼症研究報告書
ワルターが著した、月狼症についての研究レポート。メニュー内の「material(資料)」から閲覧可能。月狼は呪いや天罰ではなく疾患であること、症状にはおよそ三つの段階があること(虹彩の変化(軽度)・太陽光への耐性低下(中度)・激しい味覚障害と精神症状(重度))、原因は不明であり治療法も確立されていないことなどが書かれている。いくつかのセクションに分かれており、章の進行によりアンロックされていく。攻略上、事前に目を通しておくことが推奨される。
詳しくは「Reading」の「月狼症研究報告書」の項を参照のこと。
◆童話
3冊のお伽話。メニュー内の「material(資料)」から閲覧可能。民間に伝わる月狼の昔話を描いたもの。どれも偏見や誤解に満ちた内容で、医学的に正しい部分はほとんどない。攻略上、事前に目を通しておくことが推奨される。
詳細は「Reading」の「童話」の項を参照のこと。
①「わるいこはどこだ」
他者を騙して悪さばかりしていた少年が、月狼に襲われて自らも月狼になってしまう話。
②「ひとくいオオカミのリュコス」
レゾン教聖典内にある伝承「罪人」を元にした子供向けの読み物。人を襲い続けていた月狼のリュコスが退治される話。
③「かみさまはみてる」
呪いで月狼になってしまったヒトが、様々な試練を超えて祈りの力で元に戻る話。一般に流布している月狼の民間治療法が数多く登場する。
システム
◆インスティンクト・ゲージ(Instinct Gage)
ベラドンナの或るステータスを表すゲージ。ゲーム内の日数の経過に合わせて増加していく。モルシージャを使用することでこれを下げることが可能。
◆夢
ベラドンナが1日の始まりに見る夢。内容は複数種類からのランダム。多くの内容は彼女の過去の出来事で、これによって彼女の生い立ちやワルターの人物像、グリーンレイク村での思い出などを知ることができる。一部の夢の内容は攻略上有益な内容を含む。
差別用語
◆リュコス/ガルー(Lykos/garou)
月狼症患者を指す差別用語。
元々は重度の月狼症患者のうち、ヒト食い衝動が現れた者のみを指していた語である。
しかし時代が進むにつれ、目の赤い者や日の元に出られない者(軽症・中等症患者)、または月狼症に無関係な(しかし症状の似る)病の者やオオカミ族自体を指す罵倒用語となった。
オオカミ族を指すようになったのは、レゾン教典に出てくる「リュコス」(月狼症患者と思しき人物)がオオカミ族であることに由来する。このため、オオカミ族にとっては非常に侮辱的な呼び名である。
なお、月狼症患者を「月狼症」ではなく「月狼(lunawolf)」と呼ぶのもできれば避けるべき言い方である。これは「月狼」とだけ呼ぶ場合、病ではなく呪いの類いというニュアンスが強まるためである。
※参考……リュカオン、ガルー、人狼、魔女
◆獣返り(けものがえり)
月狼症患者を指す差別用語。リュコスやガルーと同義語であるが、オオカミ族に限局した意味も持つそれらとは違い、特に「月狼症の者(およびその疑いのある者)」のみを指す語である。
「獣」、すなわち非知性動物全般を忌避するレゾン教信仰圏で用いられることが多い。
◆肉喰み(ししはみ)
カーニヴやオムニヴなど、肉食をおこなう者たちを指す罵倒用語。ハービヴやレゾン教誓言派(アンモビウム派)が用いることが多い。
また、誓言派(アンモビウム派)が用いる場合は肉食を許容する宥恕派(ヘレニウム派)全体をなじる意味合いを持つ場合もある。
そのほか、ハービヴが同族のハービヴのうち、非常食などに虫や水生生物などの一部の動物を食用することがある種族のことを見下す場合などにも用いられる。
肉食い(ししくい)、魂食い(たまくい)、魂喰み(たまはみ)などとも言う。
◆屍屋(かばねや)/屍者(かばねもの)/屍肉漁り(しにくあさり)
ハイエナ族やジャッカル族などのスカベンジャー(腐肉食・屍肉食)特性を持つヒトを指す罵倒用語。また、家畜の屠殺・死骸処理・皮革加工業者や、葬儀職の者を含む場合もある。
スカベンジャー特性を持つ者たちは歴史的に不浄の存在とされ、多くの種族や宗教において被差別階級に属している。
レゾン歴1600年代には、とある国でスカベンジャー特性者および「屍屋」の差別階級に属する者たちへの差別撤廃運動が行われた。このことをきっかけに差別は徐々に減少しているとされるが、無意識的に根付いた偏見思想は未だ完全に払拭されていないというのが現状である。
なお差別撤廃運動が行われた際に、当事者たちは自分たちのことを表す新たな呼称として「リデューシア」という語を用いた。これにより、彼らのことを指す場合には「リデューシア」と呼ぶのが適切であるとされている。「スカベンジャー」呼びも間違いではないが、差別的なニュアンスで使われた歴史が長すぎるため、彼ら自身はその呼称で呼ばれることを嫌う傾向にある。
この語自体は月狼症患者を指す用語ではない。しかし食人衝動の発現した重症の月狼症患者の中には、その衝動をなんとか抑えようとした結果、他者の死体や墓地などを荒らしてしまう者も存在する。すなわち、各地の伝承などに登場する「屍屋」に位置する存在は、重症の月狼症患者であった可能性もある。
※参考……スカベンジャー、被差別階級、屠畜・皮革加工業、リデューション(reducion)
◆カティエ/カティエザク
ベナンダンテ信仰における、北風の悪神のこと。食べ物を奪い、体の熱を奪ってゆく冬を擬人化した神である。これが転じて、「異邦の者」を指す隠語となった。この「異邦の者」は他種族や外国人、他宗教の者のことであるが、狭義には領地拡大や侵略を目的とした異文化圏のヒト(侵略者)を指している。
自分たち(ベナンダンテ信仰者)の生活を脅かす集団全般に使われる隠語であるため、必ずしもレゾン教徒を指すわけではないものの、ベナンダンテ信仰圏はレゾン教の勢力拡大による衝突が歴史的に見ても多い。このため、レゾン教徒やレゾン教を国教とする国などを密かに侮蔑する語として用いられることもある。
レゾン教徒に面と向かって用いられることは避けられる傾向にあるため、カティエ/カティエザクという語に含まれる差別的意味を知らないレゾン教徒も多い。
※参考:土蜘蛛
伝承・宗教用語
◆善き賢者
オオカミ族などの、金色の瞳を持つ種族の間で言い伝えられている伝説上の存在。黄金の瞳を持った、慈悲深く思慮深い知恵者のこと。個人名は存在せず、単に「善き賢者」もしくは「善き賢者たち」と呼ばれる。
金色の虹彩を持つ可能性のある種族は多数存在するが、その中でもオオカミ族は特に「黄金の瞳」を誇り高いものとして扱う傾向にある。
なおこの賢者は、エメラルド・タブレットに登場する3人の始祖とは別の伝承の存在である。
◆神
①エメラルド・タブレットの伝承においての、世界と3人の始祖を生み出した全知全能の絶対神のこと。
②レゾン教の祖・崇拝対象であるヤギ族の王・レゾンのこと。崇拝対象としてのレゾンは、その神格・神聖性を強調するために「蚕の翅と触角を持った姿」で描かれる場合がある。
③ベナンダンテ信仰における、ヒトの生活を支えるもの全般に宿る霊的な存在のこと。精霊とも呼ばれる(ベナンダンテ信仰においての神と精霊は同義語である)。