日記:一緒に映画を見にいった友達の話

zyzu_zrza62
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先日、『劇場版ハイキュー‼︎ゴミ捨て場の決戦』を友人と観に行った。

大変良かった。

主人公達の属する烏野高校と対をなす音駒高校の全国大会での試合は、ハイキュー‼︎という作品にとっても作中においても一番大きな目標であった。

きっかけとなった先代の監督達を含め、烏野高校と音駒高校はバチバチのライバルというほど険悪ではない。

遠距離ということで合宿等でしか会えないが、部員たちはみな仲がよく良好な関係だ。研磨が日向のことを『ライバル』ではなく『友達』と称した様子がそれをよく表している。

しかし、試合を挟む彼らの関係性は、単に友人と言うには収まらないほどの強い結びつきを作っている。

偶然の出会い、息の合う者同士、同じポジション同士などなど、お互いがお互いを影響し合って切磋琢磨する様子はさまざまな形で、何度も作中で描かれてきた。

ハイキュー‼︎の過去の回想を用いたエピソード展開は伏線回収というより、人生は地続きであると言った方が相応しい。

かつての監督たちの関係から練習試合を通した現部員同士の出会い、他校も交えた合宿や、各々の苦難や葛藤といった積み重ねをしっかりと受け継いだ、満を持しての劇場版であった。

映画制作にまつわるビジネスに関しては素人なのでなんとも言えないが、この重要なエピソードをアニメシリーズの劇場版という形で見せてもらえたことは、本当に感謝しきれない。

あと数回は大きい画面を堪能しに見に行きたい。

個人的な日記

今回映画を一緒に見にいった友人は学生時代、私にハイキュー‼︎を勧めてくれた友人だった。

単行本を貸してくれたことに始まり、アニメのリアタイ実況をしたりカラオケでOVAの鑑賞会をしたり、絵茶で、紙で、クロッキー帳でお互いの好きなキャラを描き合ったり夢小説を書いたり、彼女とハイキュー‼︎を楽しんだ思い出は語り尽くせない。

私は元々スポーツ全般に興味が薄く、スポーツ題材の作品にも興味が持てない方だった。だが、アニメ化直後で温まった当時のファンコミュニティと、その贔屓目を抜きにしても非常にわかりやすい作中のルール説明のおかげで熱中することができた。

彼女とは進学先も同じになったが学部は丸切り異なっていたし、社会に出た今では年数回程度しか会えていない。

また、私自身は未だに絵を描き文を書くことを趣味にしているが、彼女は当時とは別の趣味を見つけている。会って話すことも漫画やアニメの話ばかりではなく、仕事や人生のことが多くなってきた。

そうした変化に自分達も大人になったと実感する日々であったが、今回映画を観てふと「もしかすると、昔一緒熱中した友達が居たなあと思い出すだけで一人で観に来る可能性の方が高かったのかもしれない」と思った。

多感な思春期に熱中した作品なので、一人で観ても十分感動していたと思う。

しかし、画面に齧り付きながら逐一実況を送り合っていた友達と、お互い違う人生を積み重ねつつある友達と、当時のように声を掛け合って観に来ることができた。

昔のことを思い出しながら一人で耽りながら帰路に着くことはなく、あの頃の放課後のように、話したいからどこかお茶しに行こうと言える人生に繋がっていた。

人生は地続きである、と思わせてくれた作品に、この未来に繋がるきっかけを貰えたことも、大変幸福だったと思う。

今後のストーリーをどのようなメディアで展開されるのかはまだ聞き及んでいないが、できることならまたこうした機会に恵まれることを願っている。

そんなことを思った映画鑑賞だった。

@zyzu_zrza62
ねむたくなりたい