AIメモで埋まってしまってた「しずかなインターネット」に久しぶりに雑文を書く。
遠い昔、バイト先が水浸しになってしまったあの日のことを、数日前の豪雨をきっかけに思い出した。特にオチも教訓もないけれど、その思い出をしずかにここに置いておこうと思う。
わたしが半年間バイトしたそのお店はオープンしたばかりで、わたしはオープンスタッフとしてレジとフロアの細かい清掃や陳列の整理を担当していた。
チェーン系家電量販店のPC専門の新店舗で、フロア担当はわたし含め5人ぐらいしかいなくて、わたしは土・日・祝しかシフトに入っていなかったことからもあまり大きくないお店だとわかるだろう。でも広さはそこそこあり、レジもそれなりに忙しかった。
担当していた1Fで扱っていたのはPCの書籍とソフトウェア、OAサプライ。2Fではハードウェアを扱っていて、店長も基本的には2Fで働いているようだった。売り上げがいまいちな日には店長が自分でノートパソコンを購入している……などと言う噂も聞いたことがある。
書籍もソフトウェアも大好きなので、店内を見て回るのは楽しかった。誰かが手に取った書籍は、挟まっている売上票が飛び出してしまうからそれを引っ込めて、棚にほこりがつかないように掃除して、アダルトなムービーのロムもきれいに陳列した。
ある土曜日は台風がやってきて大雨が降っていた。周辺のお店が続々臨時休業する中、わたしの働いていたお店は休業せずに開いていた。しかしお客はほとんど来なかった記憶がある。
次の日曜日にお店に来ると、一夜にしてお店の様子がすっかり変わってしまっていた。
夜のうちにお店に雨水が入り込んで、床全体がびしょぬれになってしまったのだ。社員の皆さんが総出で、スーツの裾やシャツの袖をめくって水を何とかしようとしている。
「Achiさんおはようー! 今日は営業できんわ、片付けやな。手伝って~」
と言われてわたしも水浸しの店内に入る。少し濡れてるぐらいではなく、1Fのフロア全体に5cmぐらい?もっと?水が溜まってしまっている。このフロアに排水するような機能がないのだ。
周囲のお店を見回してもうちの店しか浸水していない。
うちの店は歩道から少しくぼんだ所に入り口がある。
お店の前の排水溝に枯れ葉が詰まって、水がお店側に流れ込んでいた。
お店のフロアに排水機能がない
こういった要因が重なってうちの店だけが水浸しになってしまったのだ……
「今何をやっていますか? わたしは何をしたらいいですか?」
と社員の人に尋ねると、「○○(近くのデパート)でタオルを買ってきてほしい」とだけ言われた。
わたしはお金をもってデパートに行き、タオル売り場がわからなかったので店員さんに尋ねると、「当店ではタオルはこちらのものだけです」と箱入りのタオルギフトを進められた。刺繍されたふかふかのタオルがくるくる丸められておしゃれな箱に収められている。
このデパートで
タオルを買ってきてほしい
このコマンドしか入力されてなかったわたしは、渡された現金で買えるだけのタオルセットを買ってお店に戻った。
「タオル買ってきました」と社員さんに渡すと、「オッ、ありがとー」とうけとるやいなや箱を剥いて取り出したタオルをそのまま床にぽいっと放り投げた。
あーーーーーー
そうか、水をそれに吸わせて排水するためのタオルだったのか……
融通が利かない・気もきかないタイプのわたし、そういう用途だと思い至らずギフト用タオルを買ってきてしまった。しかしあの場にはこれしかないと言っていたから……店を指定された時点で「ここで買わなくてはいけない」と思い込んでしまっていた。せめて用途がわかっていたら……ほかで買ってもいいか確認しに戻れたような気もするが……いやふつうは気づくのか? わからなくても買いに行く前に「それってナニ用ですか?」って聞くなどできるのかもしれない。今ならできるかも。初めてのバイトでまだ働き始めて2か月ぐらいだったから仕方ないよわたし。しかたない。
きれいな新品のタオルが泥水に浸かった瞬間、なんだかとてもショックだったことを覚えている。
先述した通り1Fは書籍フロアで、しかもストックはストッカーの扉の裏に床置き(シートを敷いてその上に積んでいた。引き出しなどはなし)だったため、在庫の本の多くが水を吸ってダメになってしまった。
わたしはバイトの時間内だけ水を排出したりモップで掃除したり濡れた在庫の片づけを手伝った。
その後の営業とか、実際の作業がどうだったかなどはほとんど覚えていない。昔の話なので。多分次の週末にはすっかり片付いて、いつもと同じようにレジに入っていたんだろうと思う……
本当にオチもなにもない。この失敗は「おつかいを頼まれたら、用途を聞こう」「おつかいを頼むときは、用途も伝えよう」という学びにつなげることはできるかもしれない……でも「これじゃない」とも言われず、そのままタオルは排水に使われたんだから問題はなかった、おつかいは成功したといえるのかもしれない……ううう
もやもや~んとした終わり方になってしまった。