私はこれまで、ひとりでなんでもできるように頑張ってきた。
子どものころから「私は人間関係をうまくやるのが苦手」と思い込んでいたせいだと思う。多分、それほど「人間関係をうまくやれない」タイプではないんだと最近は思うのだけど、「私には向いてない」と長い間信じ込んでいた。
じゃあ、どうするか。私は人に頼らず、自分で全部できるようになればいいと考えた。
私のやりたいことは自分の作品を手に取れる形にして人に見てもらうこと。「誰かが私の作品を見つけて、形にしてくれる」のを待つだけは嫌なのだ。
◆紙の束じゃ人に見てもらえないけど本にすれば見てもらえる。
◆録音しただけじゃ聞いてもらえないけど編集して音声コンテンツや動画にすれば公開できる。
◆電子書籍にすれば直接お店などで本を売らなくても見てもらえる。
◆WEBサイトを作れば文章を読んでもらえる。
◆ソフトウェアを作れば使ってもらえる。
もしかしたら一般的には、「まんがは描いたけど、印刷してもらったり電子書籍にするってどうしたらいいかわからない」「動画って、プラットフォームへの登録とか、音楽や動画の編集はどうしたらいいのだろうか」という人もたくさんいるのかもしれない。
私はそれを基本的に自分でできるように勉強してきた。自分で考えて作ったコンテンツを、自分で販売・出版・公開・宣伝し、私ひとりで完結させることができる。
私はそれでもずっと「誰かと一緒に物を作る」ことをやってみたかった。人と協力してモノを作る人は「ひととちからを合わせると自分を超えられる」ことを知っているのだ。私はいつでも直前の自分を超えようと努力はしているけど、本当に地味な伸びしか感じられない気がして、人となにか作る体験をしたかった。自分がとても頑固でモノづくりに偏屈なのはわかっていたので、その辺話し合える人じゃなきゃダメだなって思うとなかなか勇気は出なかった。
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こないだ会った友人が、私の活動をほめてくれた。
「阿智さんがずっと手をうごかして、何かを作り続けているのを見ると励まされる。ああ、阿智さんはひとりで、ずっとひとりでなんでも作っちゃうなって……」
すごくすごくうれしかったんだけど、少し「ああ、やっぱり”ひとり”しか無理なのかな」と悲しみもあった。
「私は、ひとといっしょにやってみたいなって思ってるんですけどね。なかなかうまくいかないですね。でもひとといっしょにものを作ってみたくて」そう言ったら
「阿智さんはひとりでやるタイプだと思いますよ」
「あ、やっぱり」
そんな自分のことを笑って話すことはできるし、ひとりでなんでもこなしてカタチにできる自分のことは誇りに思っている。
でも今は、そのことが大きな悲しみのようにも感じているのだ。