3月からDisney+で配信が開始されたドラマ『SHOGUN 将軍』。前評判を聞いていたが、そこから想像する以上のクオリティ。
まず結論から。Disney+を契約している人は今すぐ観てください。今。たった今から。で、Desiney+を契約してない人。今すぐ契約してください。3ヶ月後に解約していいので。
そしてGame of Thronesが好きな人。絶対に見るべき。あのクオリティとストーリーテリングが日本を舞台にして実現できていると言ってしまっていいと思う。これを書いている時点で3話まで公開されているが、全話隅から隅まで面白い。
画がいい
まず特筆すべきはビジュアル。現代的な海外ドラマのクオリティを満たしているだけでなく、俳優のキャスティング、衣装、セット、小物、城のCGイメージまで日本人が見ても違和感のないものになっている。もちろん私も戦国時代の日本の知識があるわけではないので厳密かどうかはさておき、違和感を感じた瞬間はほとんどなかった。これは長時間のドラマ視聴において「没入を削がれない」という点で超重要ポイント(似たような話をマンガの解像度の回でしましたね)。
これに関しては各メディアでも書かれている通り、プロデューサーとして関わっている真田広之さんの尽力が大きいだろう。ハリウッドでも他国を描写する上で現地の文化をリスペクトした作品作りが徐々に浸透し始めてはいるが、往々にして日本はファンタジックな日本として描写され続けていた。『SHOGUN 将軍』はその状況を変える重要な作品になることは間違いない。
で、これで何が嬉しいかというと、ずっと画を見てられるのだ。画で退屈することがない。予算が違うのは百も承知だが、大河ドラマの絵は一体何なのだろうと思ってしまう。もちろん海外ドラマ的な描写・時代的な描写はいい悪いではなく表現の「方向性が違う」ものだが、「画としていいのか」というのはまた別の話であると思うんですよ。
ストーリーもいい
画もいいのにストーリーもいい。豊臣秀吉的な人が逝去した後、5人の家老が権力の座を奪い合うという話で、まさにGame of Thrones的なノリで、徳川家康的な主人公が命を狙われ続ける中どう切り抜けていくのか?ややネタバレ気味だがそこにポルトガルとスペイン、イギリス、オランダの覇権争い、プロテスタントとカトリックの対立という背景があるのも非常に面白い。さらに『SHOGUN 将軍』の世界はあくまで「現実の日本の歴史にインスパイアされている」という体なので、現実の史実と相違があっても問題はないというのも面白いポイントだ。むしろ史実との差分を楽しめる日本人が一番楽しく鑑賞できる作品と言えるかもしれない。
日本の映像業界へ
ちょうどAppleがiPhoneで短編映像を各国の監督に依頼して撮影する「Shoot on iPhone」シリーズで三池監督が手塚治虫原作の映像を撮影していた。
おそらく本国のAppleがお金を出しているおかげか、非常に予算がある企画だというのはよくわかる。が、じゃあその予算が映像の良さに反映されているか?日本の映画業界の「予算がない」という問題は以前からされていたが、「予算があってもいい使い方ができない」という問題もありそうだ。
『SHOGUN 将軍』という作品の存在が、日本のキャストやスタッフが揃い、日本を舞台にした映像作品が、このクオリティで出せるのだ、という事実を示している。となれば私たち視聴者がするべき役割は、この作品を評価し広めることだろう。すでに全世界で見るとすでにいい数字はでてきているようだ。
とにかく、今からDisney+を契約しても損はしない傑作なので、ぜひ『SHOGUN 将軍』、観ましょうねという話でした。