後輩に勧められて、『失敗の本質』を図書館で借りて読んだ。

本書は、大東亜戦争における日本軍の諸作戦を「組織の失敗」として徹底的に解剖している。ノモンハンから沖縄まで、目的のあいまいさ、短期決戦志向、空気に支配された戦略策定、狭い戦略オプション、一点豪華主義の技術体系といった要素が積み重なり、負けるべくして負けた、という主張が事実ベースで並んでいる。日本軍が美化されて語られることも少なくない認識だったが、ここまで痛快に批判している本は珍しく、率直に言って面白かった。
一方で、組織としてのあり方は現代の日本にも通じる部分があると感じた。特に、成功体験や固定観念に囚われ、世界が変化していくなかで「そのときうまくいったやり方」が今も通用するとは限らないのに、それを俯瞰して学び直さず、同じやり方に固執してしまうところだ。そこに輪をかけて痛かったのが、人間関係や感情、いわゆる「空気」を最重要視し、人材配置や戦略決定までが曖昧な基準で決まっていく構造だったことだと思う。対して米軍は、結果を軸に良し悪しを評価し、作戦の反省を次につなげる学びのループを回していた。自分はこの本で初めてシングルループ学習とダブルループ学習という言葉を知った。以前書いた最近、考えていることでも、日本は決められた枠組みの中で工夫を重ね、世界は枠組みそのものを変えて合理的に進める、という対比に触れた。シングルループとダブルループの話は、まさにその延長に見える。時代の潮流に合わせて前提から覆し、適応していく考え方は、自分自身でも意識していく必要があると思う。

図の出典: https://www.peaks-media.com/793/
もう一つ印象に残ったのが、「適応は適応能力を締め出す」という視点だ。制度や年功序列などで安定した仕組みで過剰適応した結果、絶え間なく変化する世界に対して適応力を失ってしまった、という指摘は確かにと思った。自分も大企業的な安定した状態を目指すべきだと考えていたところがあったが、あえて不安定さを残すことの重要さに気づけたのは大きかった。不安定さがあるからこそ、イノベーションや進化が促される。情緒的な部分は一定排除しつつ、合理的に進化を促す組織づくりは、現代の組織にも学べるところが多いと思う。
成功体験に固執し続けていないかを常に批判的に見ることを、今後もより意識していきたいなと思った。結果を具体的に分析し、固執している固定観念を取っ払うアンラーニングを意識するために、新しい情報に触れたり本をたくさん読んだりして、世界が日々変化しているという感覚を持ち続け、ダイナミックな環境に適応できる動きをしていきたい。