今月読んだ本の簡単な感想まとめ後編。ちなみに前編はこちら↓
引き続き読んだ営繕かるかやシリーズ。怖いけどちゃんと怪異の理由が明らかになる小野不由美ホラーはミステリーの読み口に近い
『営繕かるかや』がシリーズであることが嬉しい。また営繕屋尾端の活躍が見られる。活躍といえるほど華麗なものではないけれど。どの話も起きている事象としての怪異はしっかりと怖い、そして読み終えるとほっとして少しだけ昇る希望がこちらの心を照らしてくれる
ホラーなのに読んでよかったと思えるのは、確実にすごい。名作だ。人間はどうあっても家という箱のなかで日々を積み重ねていくしかないし、その積み重ねを愛おしく思える
よ、読み終わってしまった~~~!営繕かるかやシリーズを読み終わってしまった~~~!えーん、小野不由美先生またこのシリーズで書いてくれませんか…。おもしろかったのは営繕屋の尾端がだんだんと怪異への介入度が下がるところだと思った。これは一気にシリーズを読み通さないとなかなか気づけないかもしれない
家というのは動かないから、どうしてもその土地のコミュニティとの関係が密接になって、家自体はよくてもコミュニティが合わないと家の存在そのものがやすらげるものではなくなってしまう
シリーズ3作めでは怪異度が低め、というか尾端は少し手を添える程度であとは本人が自分のことを見つめ直して怪異と折り合いをつけていくという流れが多くて、シリーズを読んできてくれた読者を信じてくれているようだった。でもまたシリーズ読みたい…小野先生、書いてくれませんか…
久しぶりの宮部みゆき!あらすじは”東京下町にある、小さな古本屋「田辺書店」。店主のイワさんと孫の稔が二人で切り盛りする平凡な古本屋を舞台に、大小様々な事件が持ち上がる。”という本屋が舞台になっている。本屋さんに持ち込まれる日常ミステリー大好き!!
ビブリア古書堂の事件手帖なんかも昔は好きだったけど、とある理由から読まなくなってしまった…。また古本屋は誰かの手を渡ってきた本が流れ着く島みたいな場所で、だからこそ前の持主や前の前の持ち主なんかが存在し、そこに人間ドラマや謎も介在する。私は本屋や古本屋という場所が舞台の物語が大好きなのだけれど、お仕事小説よりはやっぱり本が集まる場所だからこそ起こるミステリーとかちょっとした事件みたいなものが読みたい
そういう意味でもミステリーの名手、宮部みゆきが書いた古本屋が舞台のこの本は読んでてとっても楽しめた
2009年の本だけれど、トランスジェンダーのことも包括してあり、当時使われていた性同一性障害という言葉についても使うのはよろしくないという否定的な姿勢であることが伺えて安心できた。女装と男装。装う目的や装うことによって達成されることで浮かび上がるジェンダロールについての研究がなされており、2024年の今でも根強い規範にぐうと唸りたくなる
本書の目的については著者が”アニメや漫画や映画から楽しくジェンダーのことを考えることができる、考えるための手引書としての役割も込めている”、”ジェンダーの問題は性別関係なく、生きている限り考え続けなければいけない問題”と言い切っていることも頼もしかった。著者である佐伯順子さんの他の本も読んでみたい
痛快でおもしろかった。私は自分で言うのもなんだけれど人種問題やセクシャルマイノリティに関しては色々と情報を収集して考えているほうだと思う。だから書いてあることにはもっともだな、と納得したけれどそういったことを日頃考えないようにしている人は戦いてしまう気がする。日常的に受ける差別と悪意のない不快な決めつけ(マイクロアグレッション)に対する静かな怒りが刃となって、自分の喉元に突きつけられているような気持ちになる人もいるんじゃないか。他者の痛みに対する鈍感さを思いっきり晒し上げられる小説でした
原田マハさん、初めてだった。WOWOWでドラマ化されたたものや映画化されたものは見た。「総理の夫」って原田マハさん原作なん…?と驚いたものである
24篇の短編集でさまざまな年代や立場の女性たちのお話なんだけど、24篇のうちひとつは自分のびびっとくるのが見つかると思う。自分で自分のなかの何かに折り合いとつけたりけじめをつけられる人は強くてまぶしい。ひとつひとつがけっこう短いのにこんなにすっきりまとまるんか…すご…と思いながら読んでいた。心が温まる話ばかりなので、本を読みたいが長編や展開が苦しいものはきついっていう人にも
ぎりぎりで原田マハさんの『独立記念日』を読んだので2月は13冊!
うう、おもしろい小説に出会えば出会うほど労働なんてやってられっかー!の気持ちが強くなる。もっと本読みたい…。明日は図書館に行くから楽しみ~