2023年に読んだ本ベスト10(10冊とは言っていない)前編

amy
·
公開:2023/12/30

今年読んだ本のなかでベスト10を決めました。でもシリーズものとかがあるので10冊ではありません。ここでは私がルールだ…!

そして本も2023年刊行ではなく、あくまで私が読んだタイミングが2023年という意味での括りでまとめたのであしからず。ちなみにすべてタイトルのところに出版社へのリンクをつけているので、気になる本があったらクリック?タップ?してみてね。装丁も素敵なのが多いよ

①愛おしい女の子たち『王妃の帰還/柚木麻子

私は柚木麻子さんの書く女性や女の子が大好きなんである。舞台は私立の女子校。そのあるクラスのグループとあの年頃特有のひりひりしたコミュニティの話だ。ぶっちゃけある女の子がグループからハブられて、違うグループに属するというような話。でも柚木麻子さんはどんな年代の、どんな性格の女性にもリスペクトを忘れない。読み終わるころには出てくる登場人物がみんな愛おしくなる。あのころ、クラスのグループで楽しかった人も楽しくなかった人にも読んでほしい小説。noteに感想を書いていたのでもっと詳しいところを知りたい方は↓へ

②私はそれを手放せない『西洋菓子店プティ・フール/千早茜

タイトルの通り西洋菓子店の話だ。なんかお菓子に限らず嗜好品って欲望をぶつける対象になるんだよな、と読んでいてしみじみ思った。いってしまえば生きるのに必ずしも必要ではない。タバコやアルコールだってそう。

そして基本的に西洋菓子店は何かしら祝い事だったり良い予定だったり、幸せな用事で訪れることが多いけれどこの話に出てくる人は必ずしもそうではない。人間の愚かさとかどうしようもない歪さが描かれている。これもnoteに感想を書いていたのでもっと詳しいところを知りたい方は↓へ

③あー、もうイヤだ。死にたい。と思ったことがある『さいはての家/彩瀬まる

本作は5作の連作短編集からなっている。いま逃れたいものがあって、さいはてを求めて、逃げて、たどり着いた人たちの話である。これはかなり胸にきた。家父長制、男尊女卑がまんま出てくる。本当はその部分をまんまここに書きたいのだけど、かなり長くなりそうだからnoteに書いた感想を見てください…↓

たぶん私の日頃書いている内容に共感する人は好きな内容だと思う

④何をどう読んだら読書なんだよ!『「若者の読書離れ」というウソ: 中高生はどのくらい、どんな本を読んでいるのか/飯田一史

「最近の若者は本を読まない」のは本当なのか? 「中高生が読んでいる本」の綿密な分析を行い、「朝読書」や「TikTok売れ」の影響など、多彩な視点から10代の読書の実態を検証する。

新書。若者が本を読まないと言われてもう何年も経つ。ってかいつも言ってない?それで読書が好きな上の世代の人たちの「やれやれ、全く、嘆かわしい」ポーズ。本当にうんざりですよ。そう思っていたので読んだ。

大人の考える読書とそもそも若者がしている読書って違うんでない?大人はちゃんと若者が読んでいる本を本だと思ってくれてる?自分たちが本だと認めているものしか読書対象として見てないんじゃないの?的な感じで、実際のデータを元にして本当に若者は読書から離れているのか、ということを検証した本。めっちゃおもしろかったし、読書というものの自由度の高さを知った。とはいえ若者の〇〇離れって結局のところはお金がまわってないからと言われればそれまでだけどね

⑤そこのビストロには色んな人が訪れる『〈ビストロ・パ・マル〉シリーズ/近藤史恵

去年の暮れに西島秀俊主演の『シェフは名探偵』というドラマをNetflixで見たのだけど、それがおもしろくて内容もすごくよかったので原作も一気に読んだ。一時期は配信対象から削除されていたけど、今はまた配信されているのでぜひ!

シリーズ。そうシリーズである。今年最新刊が出て〈ビストロ・パ・マル〉シリーズは全部で4冊ある。うち3冊はすでに文庫にもなっているので、お手軽に読める。4冊ってベスト10のうちの4冊も占めちゃうじゃん!と思った方もいそうだけど、あくまでベスト10であって10冊とは書いていない。シリーズを1つと換算すれば問題ない。私が決めたルールである

そしてこの小説、同性愛者(レズビアン)の話やトランスジェンダーの人が出てくるのだ。そしてドラマも。変にぼかしたりせず、ダイレクトにそのまま。それでいて同性愛者だからトランスジェンダーだからという理由で、その人自身には最終的な不幸は訪れない。現代にもつながる問題提起のきっかけにはなるんだけど、それがバッドな展開にならない。ここまではっきりと明確な意思をもってマイノリティに属する人を登場人物に据える作家さんってまだ少ないのだけど、だからこそ明らかなメッセージが伝わってきて、安心する

後編へ続く

@amy
悲しみを埋めるには 幸せの予感