チ。舞台版を見に行ってきた(話があちこちに飛ぶ、駄文で長文)

caetla
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公開:2025/10/26

実家ジャンルが「ファイアーエムブレム風花雪月」現在同人活動中のジャンルが「ハイキュー!!」ROMで嗜んでいるジャンルが「チ。」と、一見するとこれらにいったい何のつながりがあるねん?!というジャンルを股に掛けながら日々オタ活をしている。なおジャンルで名義を分けたので、全てのジャンルで共通しているSNS上の知人はいない。でも3つのうち2つはなんとなく重なってるよ、という人がいるのが面白くて敢えてここに感想をしたためることにした。

2024年9月にハイキュー!!にはまった当初の記事を書いている(https://sizu.me/caetla/posts/mz090vtc8ees)。そこから先は11月にwebイベントに出て、2025年1月に冬インテ、3月の春コミ、9月のTOKYO FESのカプオンリーに出るみたいな感じで順調に同人活動を続けていたところに、ひっそりと作品を履修していたのが「チ。」だった。

元々は家族がサカナクションのファンで、リーダーの山口氏の密着ドキュメントに感銘を受けて チ。を全巻買いしたのがきっかけ。アニメ版 チ。の主題歌を作るのがめちゃくちゃ大変で、とりあえずオープニングで必要な1コーラスだけ作った、みたいなエピソードが印象的だったのを覚えている。

「怪獣」というこの曲は、チ。の世界観と密接にリンクしていた。なのでアニメをふんわり見つつ原作も読んでみるかとコミック版に手を出したところ、魅力的なキャラクターに頭をぶん殴られて作品のファンになったという流れ。

大元の属性が腐女子なのでそりゃカップリング萌えもしますが、という感じではあったのだけれど、チ。という作品の根底に流れている「命懸けで信念を貫き通す人たちの話」というテーマが自分に刺さりすぎた。実家ジャンルの最推し、ファイアーエムブレム風花雪月に出てくるヒューベルト=フォン=ベストラの「主君の望む未来を手に入れるのならばどんな手段だって取る、自分の命でもかける、でも最悪のこともちゃんと考えてる」みたいな生き方がかなり影響していると言える。あいつは主君が全世界を敵に回しても主君のために貫きたい美学があるし、また チ。にはそんな生き方してるやつがバンバン出てくるじゃないかっていう。己の信念を貫くためには命をかけないといけない、という場面がしぬほど出てきていた風花雪月だったから、チ。を読んで久しぶりに心を抉られたようになった。

後に風花雪月で同カプだった人がちらほらとチ。および二次創作のカップリングが気になっているという呟きをしていて、まあそうだろうなと思ったのは当然の話。

で、舞台版 チ。を見に行った話

原作コミックスのファンで、オクジーとバデーニという特定のキャラが好きで、まあまあ二次創作も楽しみつつROMとして楽しんでいたところ、ハイキュー!!の同カプの方が チ。におハマりになった。ハイキュー!!の話もしつつ、ちょいちょい チ。の話もしていたところ、舞台版にお誘いいたただいてご一緒することができた。10月25日公演を観てきたので、ニワカなファンながら感想をメモしておく。

そもそも舞台版ってどうなのよ?(ここから先はネタバレ)

それまではアニメ漫画の舞台化である2.5のテニミュ(現地鑑賞)やハイステ(映像鑑賞)はしたことがあったけど、今回の舞台版は個人的な印象としては「ガチ舞台作品」だ。大手プロダクションが主催で演出や脚本も舞台を嗜んでいる方々にはよく知られている大物の方ばかりらしい。演者さんも芸能に疎い私でも名前を聞いたことがあるような有名な方。いったいどんな舞台なんだろうという期待と不安があったので、いっさいネタバレを踏まずに当日に臨んだ。なお私はコンテンポラリーダンスとかそういうのもほとんど理解していない。映画や舞台を観る時は感覚でとらえるタイプの人間がいったいどういう感想を持つのだろうかと自分でも不安に思いつつ……。

・ミュージカルじゃないけど歌と音楽はある。演劇ってこういうもの?

劇中に歌の演出があった。しかも袖近くで楽器の生演奏まである……すごい。でもミュージカルとは言ってない。上から水が降ってくる演出(嵐のシーンや拷問の血飛沫とか)があるし、なによりも踊りが全然違う。キャラの心情を表現している演者さんのしなやかでキレのある動きは、2.5の知識しか無い自分にはひどく生々しいものに映った。劇中のセリフは概ね原作に沿ったもの。私もそこまでコミックスを読み込んでいる訳ではないからあまり詳しくは触れられないが、キャラのオドオドした口調や芝居がかったセリフ回しや、立板に水のごとく流れるようなセリフの発し方は、見ていてとてもワクワクした。バデーニ役の人は特に印象的で、アニメ版とはまた違う発声と演技が「舞台の人」という感じがして好感が持てた(アニメの声優さんは比較的低音ボイスだが、舞台の俳優さんは高めの声)オクジー役の人はどちらかというと華奢な印象を持っていたけれど劇中ではそれがピタリとはまっていて、二人のラストシーンは息をのんで食い入るように見つめることになった。原作ともアニメとも違う、舞台版として信念を貫く二人がそこにいた。

・シナリオは概ね原作どおり。でも3時間足らずの尺ではちょっとキツい

シナリオとしては原作の1巻と8巻をややバッサリ切り落とした感はあったものの、一通り見せないといけないところは見せてくれたように思う。ただ場面転換が急すぎるところに加えて原作未履修だと置いていかれるだろうなというところが多々あったのと、ヨレンタ・ノヴァク親子の話にフォーカスが当たりすぎていた気がしなくもない。全体としてノヴァク目線寄りの演出だなと。ドゥラカのエピソードの端折り具合はちょっと寂しかった。ここは入れといてほしいなああああ、と思ったところが結構削られてたのを帰ってもう一度原作を読んでみて感じたので、もし再演や改訂版の上演があるとしたら多少時間が延びても良いから入れ込んでもらえたらなとは思った。シナリオと記憶を突き合わせるために原作を読んだら、ついまた読み耽ってしまった。セリフが難しいから何回読んでも新鮮に驚くことができる、良い作品だな……。

・ノヴァク役の森山未來さん

テレビで見てたからか俳優さんの印象が強かったけど、Wikipediaで調べたら思いっきり舞踏家寄りの人なんだなあと。演技もだけど踊りがすごかった。身体表現に心情が乗っかるとああいう風になるんだなという、ニワカならではの感想しか抱けない自分がちょっと嫌。作中での裏メインを張っているだけあって、実力のある方が配役されていた印象。

・兼ね役多すぎな吹越満さん

怪演にして快演。演じる役の振れ幅が広すぎる……物乞いの役の時のコミカルさと司教の時のおどろおどろしさのギャップ、楽しませてもらいました。こちらはメインが俳優さんで舞踏は久しぶりとのことだったけど、素敵に踊ってらしたなあと。お衣装も印象的だったし、各キャラの演じ分けは流石だった。

チ。という作品に惹かれたのは

「地動説」という「信念」に突き動かされた登場人物たちの群像劇的描き方がとてもよかったこともあったけれど、おそらくファイアーエムブレム風花雪月をプレイしてなかったからここまで好きだと感じることは無かったと思う。何かを貫き通すためには命を捨てることさえ厭わない「信念」、相入れない思想のために分断される「大切なもの」、自分がたとえ消えてしまっても、後の世代へ引き継いでいくことを願ってしまう「希望」、どれもこれも自分に刺さる要素が複数あったからなんだと思う。二次創作ができるぐらいに作品への理解を深められる自信がないから今のところ読み専として楽しんでいるけれど、今後もいろんなチャンネルで作品の良さが展開されていくと良いなと心から願っている。

くどいようだけど、ファイアーエムブレム風花雪月はいいぞ……。

@caetla
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