これは2024/9/20のわたしのBlueskyの投稿を再構築して加筆したものと、『解像度を上げる』の読書感想ミニ版。
夏休みの読書から、考えていたこと:SNSやマスメディアの「言い切り」と「拡散」への危惧とプラットフォームの設計思想
旅と旅の合間に本屋さんで目があった本を、船の上で読んでいたなかで、印象に残った箇所があった。
複雑な問題に対して、シンプルな答えを提供したり、結論を言い切ることにも注意が必要です。その一例が陰謀論です。陰謀論は、陰謀を企てる人が社会を意のままに操っているのだという、シンプルな社会の見方であり、確かに分かりやすくはあるものの、間違っていることのほうが圧倒的に多い考え方です。
(中略)
人は曖昧さを嫌う認知的完結欲求があると言われています。曖昧で混沌としている状況では特に、シンプルで分かりやすい答えをどうしても望んでしまうのです。
引用元:馬場隆明『解像度を上げる』(英治出版、2022)…p53 column 世界を鮮やかに感じるための解像度より
ああ、Xの居心地の悪さがここにあるなあを、読んでいて思い出したのだった。
そしたら本を読み終えた翌日、ちょうどBlueskyのタイムラインでXの居心地の悪さについての話があったので、私の中で分解して書いてみることにした。
Xに感じている居心地の悪さ、森を見るんじゃなくて枝葉の話が拡散されやすくて、だれがこの葉を枯らしたのか、この枝の折れから回復した驚きの方法、みたいな盛り上がり方ばかりしていて、本当にその話したかったんだっけ、ってなることが多い。
Blueskyは、葉が枯れたならば原因と推測される気象土壌の現象や条件の検証が始まったり、折れた枝の回復は木の若さや日照条件が違うことにも触れられてることが多くて、学びあったり安心を感じることも多い。
あくまでも私の感じる傾向の例えだけど、主に文字数と拡散まわりのプラットフォームの運営思想の違いだな、と感じる。
https://bsky.app/profile/chanmaki.bsky.social/post/3l4lagglnvc2e
この投稿が拡散される中で様々な視点の意見をみた。自分の視点で見える自分の意見を話していて、私はそれがちょうど良く感じている。それは私のタイムラインの作り方、の影響もあるのだろうと思う。
私は誰にもリアクションされなくても淡々とライフログ思考ログを積み重ねるようなSNSの投稿が好きなので、バズの脳報酬でバグるのは私自身にも危惧しているので、プラットフォームとしてバズに傾倒し始めた頃からTwitter/Xと心の距離はとりはじめていたなあ。
今のスカイラインのホームも人の回覧postは非表示にしている、そうすると話題元に気がつくのは遅れるが、一人ひとりの話がたくさん見える。なにか言及元がありそうだったら、話題に触れている人のホームまでみにいく、をしている。それぐらいが、個人的には、ちょうどいいかんじ。
https://bsky.app/profile/chanmaki.bsky.social/post/3l4mwyvym442o
Blueskyにも他SNSでは拡散されるようなインフルエンサーのアカウントもあり、たしかにそうした人の投稿は拡散されやすいが、設定上私のホームのスカイラインに流れてくることはない。フォローをした人の投稿だけ流れゆくので、人々の暮らしの営みを感じやすい。
自分のホームの表示だけでなく、興味関心に合わせ「フィードで購読」もしやすい。Twitter/Xのリストにも似ているフィード機能だが、ユーザー単位でなくキーワード単位で構築できたり、他にも様々な設定ができる。こうしたフィードもユーザーが作ることができる自由度の高さ。※1
同じ興味関心を持つ人がいるな、とおもっていてもフォローはせず互いに反応し合う、という関係性が成り立ちやすくもある。拡散性は低くとも、興味関心でのつながりやすさは高い。
拡散性が低いプラットフォームの設計は、とても良心的に感じる。脳への刺激が強すぎるから、個人的な体感としても、人々や企業のアカウントが踊り狂う様子を見ても。
Bluesky、シンプルな言い切りしてもバズんないのでそれで脳の報酬なり実報酬なり得ることがSNSの目的の人は、魅力を感じないんだろうなと、Xのバズで脳をチカチカさせている様子をみて、おもう。多様な意見が豊かに流れゆくスカイラインが、私は好きよ。
https://bsky.app/profile/chanmaki.bsky.social/post/3l4lcbaand22d
世界を単純化して拡散すること、かつてのマスメディアでやっていたことが、Xで再演されているかんじ。インターネットのたのしいところ、その真逆だとおもってので、私はXにインターネットの遊び場としての魅力を感じなくなっている、んだな。
イーロンが買う少し前から、ずっと感じていたから、場を移すことを模索し続けていた、今はだいぶ、身を移したかんじ。
https://bsky.app/profile/chanmaki.bsky.social/post/3l4lckrsd2s2z
人々の営みが続く、暮らしの場としての豊かなインターネットが、わたしの願う未来
Twitter/Xにも、もちろん、拡散性の高い話題ばかりだけではなく、人々の営みが流れている。それでも、昔ほどだろうか。刺激に溺れたり傷ついたりする人々をたくさん見るのは苦しくて、自分のタイムラインと反応のあった人のホームを、私はXにいくときに意識して行き来している。
人が人として扱われない瞬間が多いと感じて、苦しくなっているんだろうな私は。情報や事象に対しての拡散は、向こうに人がいることを忘れられがち。
それぞれの営みが連なるかんじがすきなので、生活のことを細々と語るひとびとの投稿もすき、それは枝葉ではありつつその人の幹があって広がる枝葉だから、だなあ
人間がそこにいる、のがいい、事象が拡散されるんじゃなくて
https://bsky.app/profile/chanmaki.bsky.social/post/3l4mvts5in42o
人がたくさんいる、という場は確かに魅力的だ、たくさんの意見があつまる場として。でも、プラットフォームの思想が私には合わない。
意見が集約されるというより多様な意見や知見があつまることで構造が明らかになり理解が深まる、みたいなことがあるなぁと、Blueskyの何かについての議論をみていて、おもう。それぞれの専門や認知の得意不得意があるので、持ち寄り合わさるような。そしてそれは過去Twitterだった頃のSNSの魅力とも重なるけれど、今のXのプラットフォーム運営姿勢にそこまで期待してない
https://bsky.app/profile/chanmaki.bsky.social/post/3l4lceu5tns2y
イーロン・マスクのことを個人的には嫌いになれない、脳のマイノリティの仲間として。でも物事を単純化して発信することを積極的にやっているトップがいるプラットフォームは、信頼が置けない。
枝葉の話がわるいんじゃなくて、「本当にその話したかったんだっけ」の引きの視点にならずに枝葉が燃え続ける感じが、居心地悪いかんじだな
単純化してみんなで火をつけてファイアーしておわる祭はさびしい、キャンプファイヤーの組み方をかんがえたりマイムマイムしたり脇で飲んだり食べたり終わりにゴミ拾ったり来年の祭りについて話すような、営みが、好きなので
https://bsky.app/profile/chanmaki.bsky.social/post/3l4lfsi36422s
私は人類の営みとしてのインターネットが好きなので、瞬間風速でおわる祭りでは物足りない、んだとおもう、インターネットがストレス発散の点の接点ではなくて、暮らしの場なので、よりよい発展を願いたいねえ
https://bsky.app/profile/chanmaki.bsky.social/post/3l4lfwjo2cc2s
私には故郷と呼べる故郷はなく、インターネットがふるさとだ。Twitter/Xという地域には長く暮らしていて荒れゆくのはかなしいが、私は私の暮らしがあるので、心落ち着けられる場所にうつる。※2
幸いなことにインターネットのよいところはたくさんの選択肢があるところだから、みんなそれぞれ自分の落ち着く場があればそれでいいのだろう。私はよりよいインターネットを願うので、Xから離れてBuleskyにいる。
Blueskyの描く未来は共に作るイメージが沸くから、みんなおいでよ、と、いつもおもっているよ。興味のある人はこちらも合わせ。
インターネットは私にとっての生活空間で、そこに流れる言葉や思考を入れ、自分の中に取り込み言葉や思考として出力する、共同思考の場のひとつだ、とおもう。
それはネット以前の読書体験とも近しい、今はネットと読書の体験がつながり広がりやすくなり、メディアは多様化し拡張されている。場はたくさんあるからこそ、より豊かな営みをつくろうと試みているプラットフォームに身を置き、言葉や思考の出入力をして、共に豊かになりたいなと願う。
さいごに冒頭で紹介した本のコラムより、好きだった箇所を引用する。
複雑な世界を複雑なものとして捉えようとすると、認知的な負荷は高まります。しかし、日々受動的かつ自動的に処理していた世界を、能動的かつ積極的に見なければ、いつも同じ風景をただいつものように見続けるだけになってしまいます。
解像度を上げる試みは、普段いるコンフォートゾーンから抜け出して、世界の複雑さの前に絶望せず進んでいき、常に自分の見ている世界に疑問を持ち続けることでもあります。時には疑いすぎて、自分の立っている常識という地盤がグラグラと揺れるときもあります。他人からは、ノリが悪くなったように見えることもあるかもしれません。辛い事実を知ることもあるでしょう。モヤモヤがずっと晴れず、長い期間もがき苦しむときもあります。むしろ苦しんでいる時の方が長いくらいです。
でも、その苦しみこそが世界を理解しようと努力している証であり、世界をより深く知り、より深く愛そうとしている証でもあるように思います。
引用元:馬場隆明『解像度を上げる』(英治出版、2022)…p53 column 世界を鮮やかに感じるための解像度より
能動的に世界を愛する技術である『解像度を上げる』ことについて、そしてその深め方について書いてある良い本だった。
解像度には深さ、広さ、構造、時間の四つの視点があり……という話はまた別の機会に。ビジネスが主軸にある本だけれど、いろんな人におすすめの本、『イシューからはじめよ』が好きな人にはきっと刺さる本だろうと思う。
読みたい本と反芻したい言葉があり、愛でたい営みがあり、私の時間と身体は有限なので、できることを大切にしながら、豊かなインターネットを編んでゆきたい。
※1 Blueskyのフィード機能について・おすすめフィード
キーワード、ユーザー、様々なくくりで作ることができる。私がよく見ているフィードを紹介することでイメージが湧きやすくなりそうなので、リンクをいくつか紹介する。
青空ごはん部…ハッシュタグとフィードでつながる部活動的な使い方
発達障害…関連するキーワードを拾うフィード
青空がある…みんなの青空や青空じゃないものも流れる
Populer With Friends…フォローしている人々の中での話題ポストが流れる
Bkuesky Team…公式のアナウンスまとめ
他にも、自分のポストをランダムで10表示する愉快なものや、自分の投稿へのリプライ/引用それぞれ別でまとめる便利フィード、過去参加したオフ会のポストをまとめたセルフtogetteeみたいなこともできる。ユーザーのニーズに合わせたカスタム性の高さが魅力。
※2 インターネットの居場所、いろいろ
Blueskyの話をしてるけどBlueskyだけじゃなくていろんな場があるよね、あったよね話もしてたので紐付け。
私はもっと楽しくて豊かなインターネットの景色がみたいので、BlueskyやDiscordやしずかなインターネットを行ったり来たりする。たまにMastodonにもいるよ。Twitter/Xとちがう場はわたしは数年前のMastodonから始まったので、そこも大事。
https://bsky.app/profile/chanmaki.bsky.social/post/3l4lcoa5px22j