2月になったので引き続き、最近読んだり読まなかったりした百合漫画を紹介していこうと思う。どれもお勧めの作品である。試し読みページへのリンクも張ってあるし、もし気に入ったらぜひ続きも買って読んでみて頂きたい。ネタバレには十分配慮してある。なお筆者は本来は「明確な恋愛感情の描写」を以て百合と定義する原理主義勢力に属するが、ここではそれに限らず「女子どうしの特別な関係」という幅広い解釈をとるものとする。
柚子森さん/江島絵理
ちょっと挙動不審な女子高生みみかはある日、偶然見かけた小学生の柚子森さんに一目惚れしてしまう。年相応の可愛らしさと妙に大人びた雰囲気を併せ持つ柚子森さんにドギマギさせられ続けるみみかは、果たしていつまで理性を保っていられるのか。人間関係はすっきりしていてみんな素直で爽やか、明るく健全で深く考えずにすっと読める、そんないわゆるおねロリ百合。なお作者の江島先生は、次回作でお嬢様格闘ゲーム漫画を描いている。全5巻完結済み。
破滅の恋人/郷本
町外れの古びた屋敷には、女の霊が住むと噂になっていた。見かけによらず大胆なありすは屋敷に勝手に入り込み、ミステリアスでどこか荒んだ「魔女」と出会う。恋愛描写は今のところ匂わせる程度で、百合漫画として捉えると比較的控えめ。漫画の概念に囚われない自由なコマ割りや、絵本の挿絵のような表現も使って描かれた、不思議な雰囲気の作品。一枚一枚の絵が美しい。そういえば「魔女」はまだ本名も出てきていない。既刊1巻。
私の百合はお仕事です!/未幡
読んでいて決して気が休まらないギスギス百合。陽芽は普段から裏表のある八方美人だが、店長に騙されてコンセプトカフェで働かされることに。キャストとして二重に演技を重ね、薄っぺらい愛嬌を振りまく陽芽。出会った瞬間から陽芽にやたら刺々しく、何度も場を凍りつかせる美月。恋愛禁止を周囲に押し付けるわりに、自らが恋愛に身を投じてしまう純加。そして作中最も頑なな恋愛感情を抱く果乃子は、その恋愛感情に振り回され、あるいは利用され弄ばれて、出口が見えないまま人間関係は拗れていく。もうおしまいだよこのカフェ。既刊14巻。