Loop 155
量子の月を探索するにあたって、前のループで立てた作戦はこうだ。祭壇を渡り歩いてなんとか北半球まで行き、砂時計の双子星状態で北極に祭壇が出現するのを待つ。
危なげなく量子の月に着地し、作戦通りに祭壇を探して渡り歩いた。砂時計の双子星状態の量子の月で、北極に祭壇が出現した。いそいそと潜りこみ、量子の月に第6の場所まで移動してもらった。
いよいよだ。ここで宇宙の眼にもお目にかかれるかもしれない。Nomaiが焦がれた謎の天体に近付ける。祭壇の扉を開けた。

第6の場所では、量子の月はこれまで見た「かけら」と似た模様をした岩だらけの環境だった。道はひとつだ。南へ向かって、広い道を下る。遠くに石柱らしきものが見えてきた。

……ん?

え……?

ア……エ……… エッ……!ェア!!!??!??!?!!???
驚きのあまり声が出た。Nomaiだ。Solanumが生きている。話しかける?その前に彼女はいつからここに立っている?28万年前から?理解が追いつかないまま話しかけると、Solanumが動いた。

これを

こうして

こうじゃ
私がクイ◯クルワイパーだと思っていたものは、Nomaiがコミュニケーションに使う道具だった。高度な技術によるツールをただの掃除用具だと思っていて申し訳ない。
ともあれ、Solanumがコミュニケーションの手段を提供してくれた。石碑に近づくと、石を取り外しすることができた。

ものの名前を表す石が4つ、行動を表す石が2つ。計6つだ。右手には石をセットする場所が2箇所あり、試しに適当にセットしてみたところSolanumが説明を始めた。


ワイパーの接地面に何かをしたため、柄の部分で石碑を突く。壁面に文字が流れ出した。私はそれを翻訳して読み取っていく。ほぼ一方通行のコミュニケーションだが、翻訳機のおかげで意思疎通がはかれることに感動した。石を拾い上げると、Solanumが再度石碑を突き文字を消した。
石をセットする場所は2箇所だから、組み合わせはC(6, 2) = 15通りだ。さすがに並べ順は気にしなくても良いだろう。組み合わせを網羅するように石をセットしては翻訳することを繰り返した。
Solanumは、私との邂逅を好意的に受け取ったようだった。良かった、いつかNomaiと会う可能性があるとは思っていたが、灰の双子星プロジェクトか、そうでなければクリア時の話だと思っていた。こんな最果ての場所で異種族と交戦など避けたい。

じきにタイムアップの時間となった。いつものようにテーマ曲が流れはじめる。
しかし、この場所は我々の太陽から遠く離れているはずだ。超新星爆発の影響を受けるのだろうか。画面が謎の紋様で埋め尽くされ、写真が焼け落ちる様を逆再生するようにブラックアウトした。特殊EDだ!

今回の特殊EDを見て、小さな丸いカットで「トホホ、もう◯◯はこりごりナリ〜」と終わるアニメの演出効果を思い出した。あれは専門用語で「アイリス・アウト」と言うらしい。いやSolanumはトホホと言ってはいないが。勉強になった。
INFO: END - Loop 155 of Outer Wilds Ventures
Loop 156
Solanumとの会話が網羅できていないため、再び量子の月に向かった。もう慣れたものだ。前回と同じく第6の場所に移動した。
Solanumはいくつか気になる言葉を残した。

話の流れで、ここは宇宙の眼の近くであると思い込んできた。しかし、量子の月が第6の場所にあるとき、それが宇宙の眼の近くだとなぜわかる?宇宙の眼は信号を発するのをやめたはずだよな?

Solanumは自分が生を全うした可能性に気がついていた。これは私にも答えがわからない。だって目の前のSolanumは生きて私とコミュニケーションを取っている。しかし、たしかに他の場所では、南極にSolanumの遺体があった。Solanumは思慮深いNomaiだ。自分の存在に疑問が生じたからこそ、Solanumはこの場所から動かず、他の誰かが巡礼に来るのを待っていたのだろうか。

このあたりは言葉が難しかった。宇宙の眼はあらゆる可能性をもつ量子的物質である。それを観察者が観測するだけでなく、中に入ったらどうなる?観察者により宇宙の眼の状態がfixされるのか、観察者自体が量子的になってしまうのか。
疑問はあれど、Solanumとの会話は網羅できたと思う。ツーショットで記念写真を撮ろうとしたが、量子の月では偵察機がホワイトアウトしてしまったため断念した。

Solanumには「何してんのこいつ……」という目で見られた。気がする。いや残念だ。石碑を囲んでイェーイ!をしたかった。
全組み合わせの記録を取ったので、曇天に空いた上昇気流の穴に飛び込んでみた。宇宙空間に飛ばされるかと思いきや、木の炉辺状態の量子の月、南極に戻って来てしまった。ここでタイムアップとなった。ここは太陽系内なので、通常通り超新星爆発に巻き込まれるらしい。もう特殊EDをみることはないだろう。
INFO: END - Loop 156 of Outer Wilds Ventures.