2024年も半月以上経ってしまった今になって、去年参加したライブやイベントを記録しておこうとふと思った。別にそんな誇れるほど行ってるわけじゃないし…とか思ってしまったけど、人に見せる以前にまず自分が覚えていられないのだ。だいたいTwitterには鑑賞後に瞬発的にツイートしているけど、記録としてはそれで終わってしまっていて、あとでいつ行ったか思い出そうとしても朧気な記憶を頼りにするしかなくなってしまう。せっかくしずかなインターネットという場所があるのだから、自分のためのblogとして記録すればいいじゃないか。
ライブと展示を一緒に並べてるのは、違うものだと分かっているけど、まず展示にそんな行ってないのと、脳の同じ部分を刺激されている気がしたからです。
・1/28 大竹伸朗展(東京国立近代美術館)
ものすごい物量(モノの量)、ありえないほどの収集癖、信じがたいほどのバイタリティ。大いなる生命力のようなものをもらった。圧倒とはこのこと。ゴミのようなものを集めまくって、全体として国宝では?
・3/25 Sound & City(羽田 DEJIMA)
この年行った中で一番なんだかよくわからない、一番説明しづらいイベント。若林恵氏とその繋がりの豪華なミュージシャンが、オーディエンスの参加してるDiscordと組み合わせて謎の即興をしたり、羽田の音をスマホで録ってフィーレコアンビエントライブをみんなでやったりした。何だったんでしょうか??面白かったです。→ https://soundandcity.peatix.com/
演奏してた人たち:網守将平・田上碧・増田義基・大井一彌 HUMANIZE IN DUB "avatar system"・永井聖一・荒井優作・岡田 拓郎・HAIOKA
・4/2 蓮沼執太フィル MUSIC TODAY(東京オペラシティコンサートホール)
ゲストはCornelius。直前にリリースされた蓮沼さんソロ名義のコーネリアス参加曲や、『環境と心理』もやってくれて感動。まだ幸宏さんのご逝去から日が浅かったこともありね…。愛称タケミツメモリアルのこのホールも初めて入った。フィルの演奏と空間の響きがとても暖かかった。
・5/3 ダムタイプ|2022: remap(アーティゾン美術館)
ヴェネチア・ビエンナーレからの帰国展。会場をまるっと使った大きい展示一つ、ともう一部屋、みたいな展示でしたが、ずっと佇んでいたい静謐で繊細な空間。なによりダムタイプであると同時に坂本龍一のサウンドインスタレーションでもあったので、こちらも時期が時期なのもあって、自由に動き回れる祈りの空間のような、こう言っちゃなんだけど教授の墓石の中を歩いているような、そしてそれが最後の作品だとでも自慢げに言ってきてるような、そんな気持ちになりました。
・5/25 MODE(The Jewels of Aoyama)
Eli Keszler、カフカ鼾、Park Jiha の3組のライブ。Keszler目当てではありましたが3組とも素晴らしかった。Keszlerは腱鞘炎が心配になるほどずっとドラムを叩きっぱなしでしたが、出てくる音はIDMみたいでめちゃんこ変で面白かった。
・6/4 吉村弘 風景の音 音の風景(神奈川県立近代美術館 鎌倉別館)
自分の誕生日に吉村弘の展示を見るの、なかなか格別の体験だった。kankyo ongakuブームに乗って、音源として聴いてはいたけれど、氏のより広範な、アヴァンギャルドな活動に触れられて感銘。そういった活動を経て「環境の音」へと行き着いたその深み。展示されていた絵本が本当に良くて持ち帰りたかった。
・6/25 坂本慎太郎 LIVE2023(日比谷野外音楽堂)
チケットを取っていた友人が体調不良で行けなくなったので、急遽代打で参加させていただいた。慎太郎さんを見るのは3回目くらいでしたが、野音はさすがに別体験。今回の選曲も新旧問わないライブでは珍しいような曲もあってうれしくて。地下のディスコで鳴りそうな音楽なのに、不思議と野外がとても合う音楽。幻でした。
・8/10 maya ongaku / 岡田拓郎band set / ind_fris(WWW)
その友人に誘われて、maya ongakuという新進気鋭サイケバンドのライブへ。岡田拓郎も大好きなので喜び勇んで。トロけまくりの素晴らしい時間。maya ongakuはこれから来るぞ~~。
・8/18 SONICMANIA(幕張メッセ)
わりとほぼ毎年行ってるソニマニ。サマソニには行ったことないのに。以下、見たアーティスト順。
Perfume / GRIMES(遠目にほんのちょっと。イーロン・マスクの後ろ姿と共に) / Thundercat(冒頭だけ) / ずっと真夜中でいいのに。/ Flying Lotus(中盤くらいまで) / James Blake(中盤くらいまで) / Autechre / Mura Masa(後半遠目に) / Licaxxx(終盤だけ)
全部しっかり見たのはPerfumeとずとまよとAutechreだけだった!でもとても満足しました。サンダーキャットの「千のナイフ」を見逃したことは悔やまれるけど。ずとまよは、多分単独ライブに行くことはなさそうだから、逆に今しか見る機会ない気がしたので。なにより本命はAutechreでした。今思い出しても痺れる、暗闇の幕張メッセ。James Blakeも震えた。イーロン・マスクはマジであいつなんだったんだ。
・8/20 ABSTRACTION(アーティゾン美術館)
本年二度目のアーティゾン。抽象絵画ってよい。その時代時代に、あえて抽象絵画に挑むというその意志や視点に、独特の世界の見え方が立ち現れてくるようで。目でも頭でも楽しめる懐の広さと深さ。そしてこういった展示で体感できる歴史の厚み。
・10/7 SHIN-ONSAI(新宿文化センター)
初参加でしたが、おそらく新宿区が関わってるのもあってか豪華なメンツを格安のチケットで楽しめるイベントでした。ずっとメインホールにいたので見たのは以下。
蓮沼執太フィル / OGRE YOU ASSHOLE / ドレスコーズ(遠目に) / world's end girlfriend / toe
蓮沼フィルは本年二度目!OGREは初めて見たけど文化センターなんかで鳴らしていいものじゃないサイケ空間。それを言ったらWEGだって。いやはやWEG強烈。唯一無二の音と美と破滅の万華鏡。こんなものが見れるなんて。toeはエモ散らかしてた。
・11/7 Salamanda & Asa Tone(CIRCUS Tokyo)
アンビエントユニットとしては異例の人気を獲得している韓国のSalamanda。も、気になっていたけど個人的にはAsa Toneが音源でとても好きだったので。でも甲乙つけがたい、どちらもとても楽しく心地よくカッコいい音でした。平日でこの音楽で、CIRCUSが満員だったことが印象的。
・11/18,19 AMBIENT KYOTO(京都中央信用金庫 旧厚生センター / 京都新聞ビル地下1階)
2022年のブライアン・イーノによるAMBIENT KYOTOに行くことは叶わなかったのだけど、2023年は縁が巡って行くことができました!この後の2つもその関連なのだけど、違うものでもあるので小見出しを分けて。
旧厚生センターという趣ある建物全体では、コーネリアスの最新音源を使ったインスタレーションが3つ。Buffalo Daughter、山本精一の3つの音源を使った映像空間が一部屋。コーネリアスがアンビエント?と最初は思ってたけど、たしかにこの体験は広義の、空間・環境拡張体験でありました。
京都新聞ビル地下1階では、インクの匂いが染み付いた印刷工場跡という実にインダストリアルなだだっ広い空間に、超横長の高谷史郎の映像と、その空間をフルに使った立体音響による坂本龍一 / async が、ひたすら“非同期”に流れていて…最高――――
AMBIENT KYOTOオリジナルグッズのトートバッグもとても可愛くて買おうか悩んだのだけど、ちょっと紐部分が自分には短くて実用性厳しそうだったのであきらめた…
・11/19 「しばし味わう」〜 場と茶とMicro Ambient Music 〜(しばし)
AMBIENT KYOTOももちろん目的だったのだけど、むしろこちらで行われるイベントを知ったのが、ほんとに京都に行く決め手になった。左京区岡崎の古い家屋の中に堂々と佇むスピーカー、真空管サウンドシステム。そこで、『Micro Ambient Music』というbandcampで先んじて販売されていた、坂本龍一追悼コンピレーションアルバムが、ここだけの唯一のアナログレコードとして再生されているという。漢方茶をいただきながら。しずかなお庭とかぼんやり眺めながら・・・。
行くしかなかった。2時間はいた。控えめに言って、2023年一番贅沢な時間だ、と思った。AMBIENT KYOTOだけだったら、アンビエントと京都の結びつきをそこまで腹落ちできてなかったけど、この場所がある限り、アンビエントの聖地と呼ばれることに異論なし。そんな気持ちになった。https://sibasi.jp/
・11/19 COLLABORATIONS : AMBIENT KYOTO × night cruising(京都メトロ)
京都に行く日程を決めた後に、その日程中にこんなイベントが京都メトロで行われることを後から知り、行くしかないとなった。京都メトロ、よくネットで情報は目にしていたから行ってみたかった。時間的、体力的に、観れたのは以下。
Tatsuya Shimada(終盤) / Kin Leonn / 冥丁
冥丁を京都で浴びる、というのがなんだか、東京で聴くのとは違う特別な体験に思えました。Kin Leonnもいいメロディをたくさん弾いてらっしゃった。
・12/9 MUTEK Nocturne 3(Spotify O-EAST)
MUTEKは、2020年の12月ぶり。その時は、まさにコロナ自粛真っ最中の年で、この時とても久しぶりにライブというものに行き、大きな音を浴びることができたその感動を覚えている。今回観た人たちは以下。
Black Boboi + Yanneek / Phew & Oren Ambarchi + Akiko Nakayama / Ida Toninato & Pierre-Luc Lecours / 404.zero(前半)
どれも実にMUTEKらしい、ストイックさ、クールさ、前衛さ。とくにOren Ambarchi先輩を拝見したかったので。映像も多様で、どれも一筋縄ではいかない強度と魅力で引き込まれた。この時にはもうしずかなインターネットを始めていたので、日記があります。
404.zeroは、音と映像の点滅がけっこうキツかったので、時間も深まっていたのでほどほどで抜けて、つけ麺食べて帰りました。渋谷に夜遅くまで居たくないしね~。
・12/18 MODE AT YODOBASHI CHURCH(淀橋教会)
2023年のラストは新宿は大久保駅からすぐのホールのような大きい教会。
Riki Hidaka / Tashi Wada with Julia Holter / Laurel Halo
いやー…このアンビエンスすさまじい空間も含めて、ちょっと言葉にならないような音響に没入できた時間でしたね…。Riki Hidakaさんのギターループで一人でモリモリと音響を構築して上昇していく姿、Tashi Wadaさんはバグパイプでドローン鳴らしながら教会内を一周。Laurel Haloは、幽玄。天上。完全に何かが降りてきたし、完全に何か許された。
許されたので、終わりにします。2024年はこれからどんな現場がやってくるのでしょうか、出不精だけど、楽しみです。