新しい本ができたよ!!『この世の美しいものすべて』について

haru
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公開:2026/5/13

昨年からちまちま描いていた漫画『この世の美しいものすべて』をようやく完成させて製本しました。5月17日の関西コミティア76にて初頒布となります。

本編はオンラインで読むことができます。

中の絵はこんな感じ:

各SNSでは「若くしてこの世の美しいものすべてを手に入れた王が、それでも手に入れられないものについて」というキャッチをつけて投稿しています。中世というよりはルネサンス初期くらいのイメージで作ったハイファンタジー。戦乱が去り安定した時代、権勢を誇る国で即位した若い王メルウェンを中心に、メルウェンが欲望を向けている騎士イオヘル、「沼のあるじ」と呼ばれる半人半魚の妖と前王との間に生まれた異母兄エルヴェイン、エルヴェインを憎み実子のメルウェンを王にしようと躍起になる前王の正妃メレナの間で、情念と策謀が交錯する物語です。

作者としては「異類婚姻譚/一度死んで蘇る神格/王家の権力争いといった古典的なモチーフを、ヘテロノーマティブ/異性愛中心主義的ではない関係性を軸にして描く」というのをコンセプトとして念頭に置いていました。セクシュアリティやジェンダー、年齢、人種を含めあらゆるバックグラウンドのキャラクターがごく当然のように出てきて、またしばしば当然のように属性や立場を越境していく、そういう自在さを私はファンタジーに求めているところがあります。コスチュームなどの全体的なデザインは、20世紀初頭のシェイクスピアものの演劇や映画を参照元にしています(例えばアスタ・ニールセンの主演による1921年の『女ハムレット』とか)。

もともと西海岸の某独立系コミック・レーベルの短編原稿募集に出そうと思って3年前に構想したものでしたが結局予告されていた募集は取りやめになり、本編は2025年1月から半年程度で描こうと思ってたのに結局丸々1年かかりました。見通しが甘すぎた。拙いところも多いのですがとりあえず最後まで描けて本当に良かったと思っています。

本作りとしては「ロゴも自作して、くるみ表紙+無線綴じにして、どこまで商業漫画本っぽくできるかをやってみる」というのがテーマでした。

表紙はPapersource社の Luxe White Card Stock、坪量210gの厚紙でコットンを25%配合した、 表面に細目の水彩紙に近い質感がある紙で、水彩イラストを刷るとよく映えます。これに保護スプレーを吹いて少しマットな表面にしています。

本文の紙はNeenah Paper社の再生紙Royal Sundance、これは坪量90gで一般的な漫画本の紙より少し厚く、つるつるしていますが、ややグレーがかった色味で細かい繊維が入っており、印刷の仕上がりはかなり漫画本らしいという気がします。

思ったより本格的な見た目の本にできて楽しかったのですが、原稿の仕上がりがギリギリになってしまったせいもあってあまり多くの部数を作ることができず、やっぱり機械製本を真似るよりは、最初から作りやすく手製本ならではのおもしろみのあるデザインを考えた方がいいなと思ったりもしました。

5月末まで帰省も兼ねて大阪に滞在しており、関西コミティアの後はZINEフェス東京に持って行こうと思っています。そのあとは架空ストアさんにまた委託販売をお願いする予定です(イベントではそんなに部数が出るとは思ってないのですが、万が一いっぱい捌けてしまったらポートランドに帰ってから追加で製本するので通販開始が少し遅くなります…。)

これまでの活動について:

@haru
イラストと漫画を描いています。 harukakanata.squarespace.com