第19週「悪女の賢者ぶり?」
心の悪い女が賢人のふりをして外見を装うこと。餓鬼の断食。乞食の断食。
悪い女は賢いしどこへでも行けるんだよ〜🥳
さて、今週やっぱり印象的だったのは美佐江問題。連続ひったくり事件では関与を疑われながら何の証拠もなく不問となった美佐江だったが、今度は女子高生らの売春事件に絡んで補導されてしまう。友人と一緒にいただけだと主張して嫌疑を逃れたが、逮捕された女子高生らも赤い手首飾りをしていたと聞いた寅子は美佐江への疑いを強める。
「なぜ悪い人から物を盗んではいけないのか、なぜ自分の体を好きに使ってはいけないのか、なぜ殺人がいけないのか、わからないんです」
美佐江が大学に合格する、18歳になるこの年が1953年。つまり終戦当時、美佐江は10歳だった。まだ世間や大人を疑わない年齢だろう。そして優秀で真面目な子ほど、軍国少年少女となって国を、天皇を心棒していく。
ちょうど今週の土曜の報道特集で「子供たちを支配した軍国主義」という特集をやっていてたまたま見たのだけど、今は90代となった当時の子供たちがいかに当時、純真に大人たちのいうことを信じていたか、そして終戦後の大人たちの変節を目の当たりにし、教師にも国にも騙されたのだと、今になってもなお悔しそうに語る様子に胸が痛むと同時に、美佐江のことも思い出していた。美佐江も生きていれば彼らと同世代だったからだ。
(↑一週間TVerで、そのあとはYouTubeでフルで見られると思います)
新潟編では高瀬、太郎弁護士、航一の過去を通して、大人たちの戦争による心の傷が描かれたけど、美佐江問題を通して描こうとしているのは子供たちのPTSDなんだろうか。多感な時期に深く傷つけられた子供たちは社会からケアを受けることもなく、ただ忘却と、新しい国への恭順が求められた。戦争が本格化した頃にはすでに大人になっていた寅子たちとはまた異なる痛みを抱えていただろう。その世代の「裏切られた子供たち」について考えさせられる展開になると良いなと思ってる。
それはそうと美佐江を演じている片岡凜さん、とてもすばらしいですね!思わず優未を引き寄せてしまった寅子を見て、無言ながら美佐江のしずかな絶望が表情から伝わってきてぞっとしてしまった。大変な役どころだと思うけど応援してます!
そして寅子と航一の恋愛模様。航一さんはもうずっと気持ちダダ漏れで面白かったんだけど😂、寅子の方は今ひとつ踏み切れない。もとより恋愛に突っ走るタイプでもなく、シングルマザーとして日々は忙しく、経済的にも自立している。たしかにそんな状況下で恋愛や再婚に時間をさけるかというとむずかしいかもしれない。優三からの手紙も、寅子にとっては優三への思いが再燃することでブレーキとなってしまう。やっぱりやめよう、そう決めたなのに、アクシデント的に触れた手、それが寅子にとって「蓋が外れる」きっかけとなってしまう。
寅子はどうしても理性が勝ちすぎてしまうタイプの人だと思うので、実際に「触れる」ことで思いが溢れるという流れは新鮮で良かったなと思う。航一の言う「だらしのない愛」という言葉にも、かたくなになりがちな寅子を柔らかく包むような優しさがあっていい。
このふたりの恋愛描写では、星長官の本の改訂作業のシーンや、航一が落ち込んでる寅子を訪ねてきて何を話すでもなく二人それぞれの時間を過ごすシーンが好きだったなと思う。今後も色々あるだろうけど、ふたりでいるときは穏やかな時間を重ねてくれたらいいな。
ただふたりはシングル親であるという共通項はあれど、航一の方は子育ては義母に一任していた感じを受ける一方、寅子は働いていても「良い母親」を背負おうとした。もちろん父親と母親で期待されるものが違ってしまっている社会のせいではあるのだけど、そのあたりの差異も描かれるのかもしれない。
そして予告を見ると、もう新潟編が終わっちゃうのか〜と寂しい気持ち。ロケ多めの新潟編は好きだったな!かなりキャラクターが渋滞してた裁判官編のあとで、登場人物が減ったぶん、物語の抜けが良くなった感もあった。支部のみなさんや弁護士兄弟に会えなくなるのも寂しいけど、なによりライトハウス!店ごと東京に引っ越せませんか〜〜?😭
ふたたびの東京編では原爆裁判が始まる様子。原爆裁判については4月頃にこんなことを書いていた↓
いやしかし原爆裁判、朝ドラで描かれるだろうか? 今年のアカデミーで山崎監督がオッペンハイマーへのアンサー映画を作りたいみたいなことを仰ってた記憶があるのだけど、まさかの朝ドラに先んじられるかもしれないですね…?? 原爆投下は国際法違反、という判決を聞いたら朝から泣いてしまうと思う。でもさらっと描くにはあまりに重く、がっつり描くには恐らく資料が足りないのかなと思う(廃棄されたらしい)。個人的にはこんな裁判があったのだという史実を取り上げてほしいけど、むずかしいだろうなぁとも思ってる。
今となっては難しいテーマだからこそこの制作チームが避けるはずがないと信じられる。しかもそんな重要な裁判でよねさんが原告側弁護チームに入り、寅子が裁判官として審判に立つなんて胸熱すぎるよ〜😭 来週も楽しみです!
第18週シナリオふりかえり
金顕洙に無罪が言い渡されたシーン、シナリオには弟・広洙は「傍聴席から寅子たちを勝ち誇った顔で、見つめている」とあるけれど映像ではにらみつけていた。
寅子が汐見夫婦にお礼の電話をかけるシーンがまるっとカット。ヒャンちゃんは弁護士になりたかった思いを口にするセリフがすごく良いので、また来週以降に登場するときにでも使ってほしいなぁと思う。
ライトハウスでの一幕、寅子と入倉の会話、ここもけっこう大事なセリフなのでカットしてほしくなかったな〜…やはりDC版をください…
過去の感想は「虎に翼ふりかえり」のタグに並んでます