2024年冬のドラマふりかえりです。
一月末の芦原先生の件が本当にショックで、それで脱落したドラマもあるし、そのぶん笙野オススメ映画をたくさん見たりしてました。とはいえ書き出してみたらまあまあ見てたな。。。
『お別れホスピタル』(NHK)
わたしは清原果耶ちゃんの『透明なゆりかご』が大好きで、まったく同じチームの制作で同じ医療モノ、ということで信頼しかなかったんですが、始まってみれば、やわらかな光の表現や耳に優しい音楽、そして海が見える病院というのも『透明なゆりかご』の世界にそのままつながっているような世界観で、わ〜良いドラマを見てる〜😭と多幸感いっぱいでした。
「死」という難しいテーマが逆に「生」を照らすような、本当に良いドラマだった。ただ全4回は短いよ〜。職場の外の焼き鳥屋で顔を合わせる辺見さん(ゆきのちゃん)と広野先生(まつけん)が毎回なんだかんだと本音を語り合うシーンが大好きで、もっと二人を見ていたかったです。
あとこの作品には脚本賞というか脚色賞をさし上げたいです!原作も無料分読んだんですけど男性の性被害やカウンセリングを軽視してるようなエピソードが無批判にあってちょっとどうかな…と思ったんですよね。それをドラマでは軌道修正してちゃんと良い方向に着地させてくれてました。さすが信頼のチームでした。
『eye love you』(TBS)
韓国の俳優さんがこんなメインで出る日本のドラマってひさしぶりな気がしたので見てみました。とにかくこのドラマはかわいかった。二階堂ふみちゃんもジョンヒョプくんも中川くんも美月ちゃんも清水くんもみんなかわいかった。
ただながら見だったせいか内容は全然頭に入ってこなくて、結局ラッコどうなった!?ってわかんないまま見終わりました笑
日本の役者さんが海外の役者さんと共演する作品がもっと増えてほしいな〜と思ってます!
『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか』(東海テレビ)
実は初回だけ見てて、でも昭和脳のおっさんのアップデートになぜゲイの若い男の子が協力しなかればならないのか、これこそフェアリーテイルゲイじゃん……というモヤモヤもあって続きは見てなかったんですが、信頼してるドラマオタクの相互さんが放送終了後に一気見して「よかった〜!」と褒めてらしたので試しに二話から見てみたらほんとうにめちゃめちゃ良かった。一気見でした。
「女の子の淹れたお茶のほうがおいしい」とか「女性がいたほうが場が和らぐ」とか職場で発言しちゃう恐ろしいほどに昭和脳なおっさんこと沖田誠が、引きこもりの息子との関係改善に悩み、知り合ったゲイの青年・五十嵐大地と友人になったことで価値観を少しずつアップデートし、家族や職場の人達との関係を改善していく。……というだけの話だったら本当にフェアリーテイルゲイじゃん?って話なんだけど、そんな単純な物語ではなく、いろんな他者との関係性が描かれ、終盤では助けられっぱなしだった沖田誠が逆に大地を救うという胸熱な展開もあり、他人とリアルに関わるって大事だな〜って改めてしみじみ思わせてくれる素敵なドラマだった。
「理想の息子」と「理想の父親」という呪い。それに苦しんだのが物語序盤の誠だったし、終盤の大地だった。誠に手を差し伸べた大地が、やがて誠に救われる日がやってくる。ギブアンドテイクなんて無味な言葉じゃなく、友だちだから、と手を差し伸べる関係性に本当によかったです。
『三体』(Netflix)
見やすかったし面白かった。キャラクターがいい。個人的には8話ってちょうどいい長さなのだけど(長いとすぐ脱落する)、シーズン2まで間がかなり空くのがどうにもねぇ…。わたしは原作を2までしか読んでないのでネトフリ版で最後まで見て物語の結末を見届けたいな。
そういえば本筋とは関係ないけど『源氏物語』というワードが出てきてビックリしました。『源氏物語』って言われてピンとくる海外の人はどのくらいいるのかな〜
『寄生獣ーザ・グレイー』(Netflix)
これを見たのはもう4月に入ってたのだけど春ドラマ見終わる頃には忘れてそうなので今書いておきます。原作未読、日本の映画版も見てないです。
この韓国ネトフリ版の監督がヨン・サンホさん、『新感染』で有名ですがわたしけっこう好きで彼の監督作はアニメも実写もいくつか見てます。ゾンビもお得意だけど新興宗教系のホラーものもお得意で、だから今回の寄生獣もすごくヨン・サンホらしいお話だなぁと思いました。
そして主演のひとりはみんな大好きク・ギョファン!彼を初めてみたのが同監督の『新感染半島』で、めちゃめちゃ印象的な役で一気にファンになってしまいました。久々のタッグうれしい。
ヨン・サンホ監督作としてはわりとマイルドだな〜と思いましたが(もっと怖いのもあるので)、全体的に見やすくてよかった。最近のネトフリオリジナルコンテンツ、どこの国の作品でもマニアックになりすぎない見やすさが重視されている気がする。
そして菅田将暉くん!一瞬だったけど韓国ドラマデビューおめでとうございます!次はガッツリ出てほしいです!
『ユーミンストーリーズ』(NHK)
第1週「青春のリグレット」
綿谷さん、人のいやなところを書くのが上手い作家さんですよね。この作品のヒロイン菓子も絶妙〜にいやな女です。計算高いし、自分本位だし。でも嫌いにはなれない。自分にだってそういうところあるから。あったから。嫌われそうなヒロインを絶妙なラインで丁寧に演じて共感のかけらを残した夏帆さん、素敵でした。
脚本が岨手由貴子さん。『あのこは貴族』という映画の脚本・監督を担当された方で、わたしこの映画がすごく好きだったんですね。山内マリコさんによる原作も好きなんですけど、基本的にはその原作に忠実ながらも映画オリジナルのエピソードがめちゃめちゃ良かったんです。
本作もドラマを見たあとに原作の短編を読んだのですが、やっぱり追加されてるエピソード(投げた夫の鍵とスマホを一緒に探すシーンとか)がすごく効いてるな、と思いました。原作をそのまんま映像化しても伝わらないことを補うためのエピソードがめちゃめちゃ的確、かつ作品をよりよくしてくれるんですね。
は〜もう原作ありの実写化は全部岨手さんに任せたい…という気持ちと、オリジナルも見たいなって思ってます。朝ドラとかどうですかね!?(朝ドラ書いてくれそうな良い脚本家を常にハンティングしている朝ドラオタク)
第2週「冬の終り」
ハイ!原作・柚木麻子×主演・麻生久美子だけで優勝候補!!スーパーマーケットで働く女たちの連帯の物語、ぜったい優勝です!!!
なんかね、すごい些細な話なんです。スーパーのさびれた飲食コーナーで働く主人公が、新しく入った無口な同世代のパートの女性と仲良くなりたいな〜と思って、そのきっかけになりそうなある歌をスーパーの館内放送になんとか流そうと右往左往する話。麻生さん、桔梗さんみたいなカッコいい役もいいけどちょっと変な女の役がハマるのもほんと大好き😂
その過程で仲良くなった鮮魚コーナーの伊東蒼ちゃんと浅田美代子さんの孫とおばあちゃんみたいな仲良しコンビにノリのいい正社員のクリスタルケイちゃんの三人組がほんと最高で、頼むからこのスーパーを舞台にしたドラマワンクールやってくれ〜という気持ちでいっぱいです。
育児や介護でいっぱいいっぱいだったり、ドロップアウトした女たちの孤独に寄り添う物語でもあったこと、そして友情の物語だったことにも泣けた。世代とジャンルの違う女たちのシスターフッド、大好物なので。ほんとうによかった…😭
第3週「春よ、来い」
川上弘美さんらしい、不思議と現実が接続する物語。過去と今がどう接続するかも意外で良かった。いじめのシーンはちょっとキツかったけど、全体的には優しい物語で良かった。
キャストがよかったですね。宮崎あおいちゃんと岡山天音くん、意外な組み合わせだけどとってもよかった。あと今クールでは『お別れホスピタル』でヒロインのゆきのちゃんの妹役を演じていた小野花梨ちゃん、本作でも素敵な役どころでした。
「ケの日のケケケ」(NHK)
NHKの単発ドラマ。創作テレビドラマ大賞受賞作だそうです。
感覚過敏の高校生あまねは部活動に入るのが無理で「ケケケ同好会」というそれぞれにゆるく好きな活動をするという同好会をつくるも、それを許せない人たちがいて…?というお話。
学校は社会の縮図とよく言われるけど、むしろここが日本社会のいやなところの出発点なのだと思う。画一的であること、ルールが何より大事。多様性から一番遠い世界。もうそんな学校ばかりでないと思いたいけど。
理不尽を理不尽として描き、自分の居場所を守ることを応援する。この物語のメッセージ、とても素晴らしいと思います。きらきらと光に溢れた映像もとても美しくてよかった。そして主演の當真あみさん、とってもチャーミングで素敵でした。朝ドラヒロインお待ちしてます。そしてこちらにも天音くんが!
『SHUT UP』(テレ東)
これは今季に入れていいのか!?というくらい変なタイミングではじまって年を越したドラマだけどまあ終わったのは今季だし……というわけで『SHUT UP』は本当に素晴らしいドラマでした。
「ふてほど」はがんばって7話くらいまで見て止まっちゃいましたねぇ。。。クドカン好きだったからせめて最後まで見て問題と思ったところも含めて言語化したいと思ってたんだけど、もうそれだともうあら探しみたいになっちゃって、あんま精神衛生上良くない、と思ってやめました。ざんねん。
そんな感じの冬ドラマでした!
春もまた面白いドラマに出会えますように〜