(今朝みた夢をChatGPTに投げて意味ありげな文章を作ってもらいました)
バスの車内には、乾いた土の匂いがこもっていた。制服の袖をまくると、うっすらとした土の粒がこびりついている。掃除する気にもならず、私は窓の外の景色をぼんやりと眺めた。
山が見える。大きな山と小さな山が重なり、輪郭が曖昧だ。ジオラマで見たあの山の形が頭に浮かぶが、どこに自分がいるのかは結局わからなかった。形が変わっても、居場所が定まらない感覚がまとわりついている。
「まだ着かないのかよ」とアキラが前の席から振り返って言った。短めの髪を無造作にかき上げ、半ば飽きたような表情を浮かべる。その軽さは、今このバスに漂う何もかもを嘲笑しているようでもあった。
でも、寄宿舎でのあの夜には、さすがのアキラでさえ笑わなかった。
教官が部屋に踏み込んできたとき、すべての空気が凍りついた。
金ボタンが軍服に光り、靴音が静かに床を叩いて響く。長い黒髪をすっきりとまとめたその女性は、怒鳴らなくても人を押しつぶすような圧力を持っていた。鋭い瞳で部屋の端から端までをゆっくり見渡し、寝たふりをしている私たちをひとりひとり値踏みするかのようだった。
怖い。だが、奇妙に引き込まれる魅力があった。口を開けば誰もが従うしかないと分かるその冷徹さに、隠された美しさがあったのだ。
教官は何も言わず、アキラが部屋に戻ると、そのまま去っていった。後に残ったのは息をひそめたままの私たちと、まだ消えない彼女の残り香だった。
バスが揺れた。現実が戻ってくる。窓の外にはまだあの山が見える。
隣の女の子が身じろぎし、目をこすりながら立ち上がった。「ごめん、通してくれる?」と小さな声で言う。私は少しだけ足を引き、彼女は通路へ出てバスの最後部に向かって歩いていった。後部には狭い洗面所があり、鏡の前で水でも飲むつもりなのだろう。
彼女の後ろ姿をぼんやり見送る。やがて姿が見えなくなると、再び考えごとに戻った。
最近、計算が行き詰まっている。3S因子とMT標準形の整合性を確認する段階で手が止まるのだ。特定の値が重なって収束しない。その計算が正しいかどうかすら、今の私にはわからない。もしかしたら最初から間違っていたのかもしれない。
アキラが隣にどさっと座った。何も気にしていないような顔で靴を脱ぎ捨て、座席にくつろぐ。
「なあ、帰れるのかな、俺たち」
「さあね」と私は答える。
土で汚れたバスの床が、アキラの靴でさらにこすられる音が響く。乗っていた人数は半分もいないが、それに気づく人は誰もいない。ただ、無言で揺られ続けるだけだ。
バスが再び揺れた。軽く身体が前に押され、私は座席の端をつかむ。
「この揺れ、ずっと続くのかな」アキラが天井を見上げながら言った。
「たぶんね。止まらないよ、しばらくは」
ふとした思いつきで言ったが、それが妙に真実味を帯びて聞こえた。
窓の外の山はまた形を変える。大小が入れ替わり、尾根が分かれ、そして再び重なる。何も確かではないが、その不確かさが心地よくなりつつある。
私は目を閉じた。バスはまだ走り続けている。どこへ向かっているのか、気にするのはもうやめた。