こんにちは。中島です。
この記事は『HR Share Advent Calendar 2024』の8日目の記事です。
ここ数日、採用に関する記事が多かったので、今回は少し別の視点からお話しします。良い組織を作るためには、組織側の視点だけでなく、社員の視点も大切です。リクルートHRM研究所のレポート『組織を強くする これからの人事 ~「個を活かす」から「個が活きる」へ~』を参考にしながら、組織や個人について考えてみます。
まずはこのレポートをNotebookLMに要約してもらいました。
レポート「組織を強くする これからの人事」の内容
このレポートは、「個を活かす」から「個が活きる」への人事の役割の転換をテーマに、企業の現状とこれからの人事の役割について論じています。
個が活きていない現状
レポートでは、従業員1400人への調査結果を基に、現在の企業では個が活かされているとは言い切れない現状を指摘しています。
多くの企業では、一律管理型の人事マネジメントが行われており、個々の能力や特性を十分に活かしきれていない可能性がある。
人事部門と現場社員では、人事機能に対する満足度に大きな乖離が見られる。人事部門は概ね満足している一方で、現場社員、特に一般社員は採用、評価、育成といった人事機能に不満を抱えている。
なぜ「個が活きる」組織を目指すのか?
現代のビジネス環境は、変化のスピードが速く、多様性も増しています。
従来型のトップダウン型の組織では、変化への対応が遅く、競 Azez competitiveness が低下する。
個々の能力を最大限に引き出し、それぞれが自律的に行動することで、変化に対応できる柔軟な組織を作ることができる。
多様な能力や経験を持つ個人が集まることで、新たなイノベーションが生まれやすくなる。
個人が自分の強みを活かせる仕事に就くことで、モチベーションやエンゲージメントが向上し、生産性やリテンションにも好影響をもたらす。
「個が活きる」組織を作るための人事の役割
レポートでは、個が活きる組織を作るために、人事は以下の9つの役割を担うべきだと提言しています。
組織に対して
経営と一体になる: 経営陣と人事戦略について深く議論し、現場社員にも理解されるような説得力のある人事戦略を展開する。
社員を介して組織文化を伝える: 会社の理念に合致した組織文化を醸成できるよう、さまざまな場や仕掛け作りを通して、社員に組織文化を浸透させる。
個人に対して
共感される旗を振る: 会社の目指す方向性を明確に示し、社員に共感と行動意欲を与えるメッセージを発信する。
心身の安心・安全に配慮する: 社員の心身の健康を守るために、ハラスメント対策やワークライフバランス支援など、さまざまな取り組みを行う。
キャリアのオーナーシップを刺激する: 社員が自分のキャリアについて主体的に考え、責任を持って行動できるよう、意識改革や制度設計を行う。
組織と個人の関係に対して
個の総和を超える環境を整える: 組織全体で個々の能力がシナジーを生み出し、相乗効果を発揮できるよう、人事制度や組織文化を設計する。
マネジャーのマインドを作る: マネジャーが人材マネジメントの重要性を理解し、個を活かせるようなリーダーシップを発揮できるよう、研修や意識改革を行う。
マネジャーの人材マネジメントに期待する: マネジャーが適切な人材マネジメントを行えるよう、人事部門は期待を持ち続け、必要に応じてサポートを行う。
社会に対して
社会とのリレーションを育む: 社会全体の視点から自社の人事の在り方を見つめ直し、企業としての魅力を高めることで、優秀な人材を獲得できるよう努める。
人事の役割転換に向けた提言
レポートでは、人事の役割を上記のように転換していくために、経営と人事が共同で取り組むべき5つの提言をしています。
人事の経営的な立ち位置の向上: 人事部門が経営戦略に積極的に関与し、問題解決に貢献することで、経営陣からの信頼を獲得する。
戦略に応じた人事の試行錯誤を受け止める: 変化の激しい環境下では、人事施策も試行錯誤を繰り返しながら進化させていくことが必要であり、経営陣はその過程を受け入れる。
組織と個人を刺激し続ける人事ロールの設計: 組織と個人の関係性を活性化させるために、チーフ・ダイバーシティ・オフィサーやチーフ・ラーニング・オフィサーといった新しい人事ロールを導入する。
個人の遠心力を生む施策の組み込み: 社員の自主性や自律性を高める施策を導入することで、社員が組織に過度に依存することなく、自らの能力を最大限に発揮できる環境を作る。
経営と人事の戦略をストーリーで語る: 人事制度の導入目的や意図をストーリーとして社員に伝えることで、共感と理解を得やすくする。
まとめ
レポートは、個を活かす組織から個が活きる組織への転換が、現代企業にとって不可欠であることを示しています。そして、その実現に向けて人事部門が果たすべき役割を具体的に提示し、人事の役割転換を促しています。
活かすと活きる。違いについてまとめもらいました。
「活かす」と「生きる」の違い
ソースによると、「個を活かす」と「個が活きる」は、組織における個人の能力発揮に対するアプローチの違いを表しています。
「個を活かす」
企業が主体となって、社員の能力を組織の目標達成のために「活用する」という視点が強いと言えます。
企業は、社員のスキルや経験、知識を、組織の目的を達成するために活用しようとする。しかし、従来の組織では、ルールやマネジメントスタイル、組織構造などが、個人の能力発揮を阻害する要因となっていた。
「個が活きる」
個人が主体となって、自らの能力を最大限に発揮し、自律的に成長できる環境を作ることに重点が置かれています。
企業は、社員が自分の強みを活かせる仕事に就き、能力を最大限に発揮できるよう、職場環境を整えていく。
「個が活きる」状態は、個人の好き放題を許容するということではなく、あくまでも企業の経営戦略と個人の能力を結びつけることが重要である。
なるほど、ポイントは「軸が企業なのか、それとも個人なのか」という点にあるということですね。「個人が主体となる」という部分は、少し難しく感じられるかもしれません。これは、単に会社から指示された仕事をこなすだけでは不十分であることを示しています。
「キャリアのオーナーシップを刺激する」にはどうしたらいいのでしょうか。こちらもレポート内容をから、NotebookLMにまとめてもらいます。
キャリアのオーナーシップを刺激するには?
1. 会社側の取り組み
明確なビジョンと戦略の共有: 会社の目指す方向性や事業戦略を明確に示し、社員が自分のキャリアをどのように会社に貢献できるのかを理解できるようにする必要があります。 ソニーの例では、新たなパーパス(企業の存在意義)と"Sony's People Philosophy"を制定し、社員が独自のキャリアを築き、自由闊達に未来を切り開くことを求めています。
多様なキャリアパスを用意: 従来型の昇進・昇格制度だけでなく、専門性を深める、異動・配置、社内公募制度、副業・兼業など、多様なキャリアパスを用意することで、社員が自分の個性や強みを活かせる道を選択できるようにする必要があります。 DeNAの例では、社内専用の求職サイト「OpenQuest」や社内異動を希望する部門が社員にアピールするピッチイベント「OpenQuest Lounge」などを用意し、社員が自分に合ったキャリアパスを選択できるようにしています。
成長機会の提供: 社内研修、外部セミナー参加支援、メンター制度など、社員がスキルアップや自己成長を実現するための機会を提供することが重要です。 ソニーでは、未来のリーダー育成のための「ソニーユニバーシティ」や社員同士が学び合うコミュニティ活動「PORT」などを支援しています。 リコーでは、自律型人材育成のために「リコーデジタルアカデミー」という社内研修プラットフォームを提供し、社員のデジタルスキル向上を支援しています。
評価・フィードバック制度の充実: 社員の成果や能力を公正に評価し、具体的なフィードバックを行うことで、社員が自分の強みや課題を理解し、成長を促進できるようにする必要があります。 特に、評価結果だけでなく、その後のキャリアプランについて綿密なフィードバックを行うことが重要です。
コミュニケーションの活性化: キャリアに関する情報共有や相談しやすい環境を作ることも重要です。上司との定期的な面談、キャリア相談窓口の設置、社内イベントの実施などを通して、社員が自分のキャリアについて考え、相談できる機会を増やすことが必要です。 アフラック生命保険では、社員向けの部署説明会「キャリア EXPO」を開催し、社員が様々な部署の仕事内容や求められるスキルを理解する機会を提供しています。
2. 個人側の取り組み
自己理解を深める: 自分の強みや弱み、興味や価値観を理解することは、キャリアプランを立てる上で最も重要なことです。自己分析ツールを活用したり、周りの人に意見を聞いたりしながら、客観的に自分を見つめ直してみましょう。
目標設定と行動計画: 長期的なキャリア目標を設定し、それを達成するために、短期的な目標と具体的な行動計画を立てましょう。目標を達成するためには、計画的にスキルアップや経験を積むことが必要です。
情報収集と学習: 常に新しい情報や知識を吸収し、自分のスキルや能力を高めていくことが重要です。業界動向や企業情報を収集したり、関連書籍を読んだり、セミナーに参加したりするなど、積極的に情報収集を行いましょう。
周囲とのコミュニケーション: 上司や同僚、メンターなど、周りの人と積極的にコミュニケーションを取り、自分のキャリアについて相談したり、意見交換をすることも重要です。
チャレンジ精神を持つ: 新しい仕事や役割に挑戦することで、貴重な経験を積むことができます。失敗を恐れず、積極的にチャレンジすることで、成長を加速させることができます。
良いまとめです。やれることがたくさんありそうです。昨日のアドベントカレンダーでまとめた雑談(社内雑談の可能性)もキャリアオーナーシップを刺激する上でいい働きをしてくれそうです。
自己理解を深めるための支援というのは難易度が高そうに見えるので、Yellやmentoといった外部リソースを活用することを考えてみても良さそうです。一応、私もキャリアコンサルタントの資格を持っているので、自己理解を深めるお手伝いはできます。お気軽にご相談くださいませ。
今日はレポートを紹介しながら、組織や個人について考えてみました。とてもいいレポートなので、お時間あれば読んでみてください。また、この領域に興味がある方は『ALLIANCE アライアンス―――人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』もあわせて読んでみることをお勧めします。とても勉強になると思います。
本の内容を一部抜粋して共有します。
アライアンスの関係は、雇用主と社員が「どのような価値を相手にもたらすか」に基づいてつくられる。雇用主は社員に向かってこう明示する必要がある。「当社の価値向上に力を貸してほしい。当社も『あなた』の価値を向上させよう」——。ベイン・アンド・カンパニーのチーフ・タレント・オフィサー、ラス・ハーゲイも、新入社員や社内のコンサルタントに向けて同じことをいっている。「我が社は君たちの(一般的な労働市場での)市場価値をさらに高めるつもりだ」
一方で、社員は上司に向かって次のように明示する必要がある。「私が成長し活躍できるように手を貸してください。私も会社が成長し活躍するための力になりましょう」——。社員は会社の成功のために時間と労力を投入し、会社はその社員の市場価値向上のために時間と労力を投入する。ただカネと時間を交換するのではなく、互恵的な提携関係を結ぶことで、雇用主と社員がこの関係に投資でき、より大きな果実を狙うために必要なリスクを負えるようになる。
リード・ホフマン; ベン・カスノーカ; クリス・イェ. ALLIANCE アライアンス (pp.26-27). ダイヤモンド社. Kindle 版.
繰り返しですが、とても良い本なので是非読んでみてください。
それでは、今日はこの辺で。