しずかなインターネット

日記やエッセイにちょうどいい
文章書き散らしサービス

ログイン

本の会まとめ②2024〜2025年前半

こめたべ
·
公開:2026/8/17

ブローガスト14本目!前回の続き。紹介してるけど、ここに載せていない本もあり、だいぶ端折っている。詰め込んで、もう最後までいったる…!と思っていたけど、高杉晋作の話が長くなったので分ける。歴史関係が多め。

  • 詩学

  • オイディプス王

  • 銀二貫

  • 駆け込み訴え 「乙女の本棚」シリーズ 

  • 新選組 幕末の青嵐

  • 高杉晋作の「革命日記」

詩学

著者:アリストテレス

古代ギリシャの哲学者アリストテレスによる、文学や演劇などの創作について論じたもの。現代の感覚でいう「詩」というよりも、物語を含む創作全般について論じており、叙事詩や悲劇など、それぞれの作品がどのような構造を持ち、何が優れた作品を生み出すのかということが書かれている。特に悲劇がもっとも優れたものとして、より詳しく論じられている。その代表例としてソポクレスの『オイディプス王』などが取り上げられる。

岩波書店から出版されてるものを読んだ。『詩学』自体は100ページほどだが、解説などを含めると結構分厚くなる。

物語とはどういうものか、優れた悲劇とはどういう構造を持つのか、といったことを、2000年以上前の人が考えていたことに驚く。「カタルシス」という感情の動きの概念は、アリストテレスが論じたもの。現代の演劇や映画、小説にもそのまま当てはまりそうな話が多く、創作について考えるうえで、今読んでも古さを感じない。創作の源流みたいな読み物で、創作する人も、創作物が好きな人も読んでみてほしい。

翻訳も非常に読みやすく、長い年月をかけて研究され、分かりやすく整理されてきたのだと思った。

オイディプス王

著者:ソポクレス

あらすじ:古代ギリシャの悲劇。テーバイの王オイディプスは、国を襲っている災厄を取り除くため、その原因となった前王殺害の犯人を探し始める。しかし、事件の真相を追い求めるうちに、オイディプス自身が思いもよらない運命に深く関わっていることが明らかになっていく。

有名な作品なので、あらすじや結末を知ったうえで読んだが、それでも面白かった。運命から逃れようとするほど、運命に近づいてしまう、という悲劇的な構造で、2000年以上前の作品とは思えないほど、物語としての力がある。

結末を知っているからこそ、そこへ向かって少しずつ真相が明らかになっていく過程に緊張感がある。次はどうなってしまうんだろうと思わせる展開がすごくて、悲劇の構造について考えながら読むと、より面白かった。『詩学』と一緒に読むのをおすすめします。

銀二貫

著者:高田郁 2009年

あらすじ:寒天問屋「井川屋」の店主・和助は、ある日、仇討ちの場面に遭遇する。殺されようとしていた少年を救うため、和助は大金である銀二貫を差し出し、その少年を井川屋で働かせることにする。少年は店の人々に支えられながら成長し、やがて寒天の開発にも挑戦していく。

時代小説が読みたい!と思って手に取った。堅苦しさがなく、とても読みやすい。主人公がさまざまな苦難を乗り越えていくなかで、人に助けられ、また誰かを助けるという、人と人との結びつきが丁寧に描かれている。全体的に優しく温かい雰囲気があり、読んでいてほっとするような作品だった。

最後はじんわりと胸にくるものがあり、いい話だった……と心から思った。時代小説が苦手な人にも読んでほしい。ドラマ化や舞台化されているのも納得できる。寒天を扱う話ということもあり、料理や食べ物の描写もとてもよかった。

駆け込み訴え 「乙女の本棚」シリーズ

太宰治著/ホノジロトヲジ絵 2023年

太宰治の『駆け込み訴え』(1940年)を、フルカラーのイラストとともに楽しめる。『駆け込み訴え』は、キリストを裏切ったユダが、誰かに向かって一気にまくしたてるように、自分の感情やキリストへの思いを語っていく短編小説。ユダの愛情、嫉妬、憎しみなど、入り混じった感情が濃密に描かれている。

太宰治の文章にオールカラーの挿絵が入っていて、普通とはまた違った楽しみ方ができる。表紙からしてかなり印象的で、全体的に女性向けの雰囲気がある。文章自体は数分で読めるくらいの短さだが、ユダの感情が一気に押し寄せてくるような、色紙の使い方やイラストで、短いながらも濃い。

著作権が切れている古典文学を、たっぷりと贅沢にフルカラー&新規イラストで新しい本として生み出している。「乙女の本棚」シリーズ自体が面白い。梶井基次郎の『檸檬』、芥川龍之介の『蜜柑』もよかったです。

新選組 幕末の青嵐

著者:木内昇 2004年

新選組の結成から、池田屋事件、禁門の変など、幕末の激動の時代を生きた隊士たちの姿を描いた群像劇。ゲーム『ライズオブローニン』にどハマりし、幕末の本が読みたいと手に取った。

特定の主人公一人に焦点を当てるのではなく、さまざまな隊士の視点から物語が進んでいく。それぞれの立場や考え方、仲間との関係などを通して、新選組という集団が少しずつ形を変えていく様子が描かれる。新選組の隊士たちの内面や心理が深く描かれているところが面白い。

多視点の群像劇なので、この人物から見ると、同じ出来事がこう見えるのかと感じられる。歴史上の人物を単純に英雄や悪役として描くのではなく、それぞれに迷いや葛藤があり、自分なりの考えを持って生きていることが伝わってくる。

500ページほどあるが、40数編の短編に分かれているため、意外と読みやすい。新選組ものが好きな人にはもちろん、群像劇が好きな人にもおすすめしたい。ただ、歴史を詳しく書いているわけではないので、ベースの新選組の知識は必要になるかも?と思った。

高杉晋作の「革命日記」

著者:一坂太郎 2010年

幕末の長州藩士・高杉晋作が残した日記をもとに、彼の生涯や思想を読み解いていく。ゲーム『ライズオブローニン』にどハマりし、幕末の本が読みたいと手に取った(2冊目)。

高杉晋作は奇兵隊を組織し、幕府軍と戦った人物だが、若くして結核のため亡くなった。彼が残した6つの日記を取り上げ、北関東への武芸修行の旅、藩主に仕えていた時期、上海への旅、獄中での日々など、さまざまな時期の記録をわかりやすく解説してる。

単なる歴史上の出来事を追うのではなく、高杉晋作がそのとき何を考えていたのかという部分を知ることができるのが面白い。また一坂太郎さんによる解釈や研究も加えられているので、日記そのものを読むだけでは分からない背景も理解できる。幕末や高杉晋作に興味がある人には、人物像を知るための入り口としても読みやすいと思う。

22歳の高杉が江戸から萩へ戻る際に北関東をめぐる日々の日記は、一日中40キロを歩いてその夜は眠らず明日行く場所を下調べするとか、めちゃくちゃだな!!と思う。生き急ぎすぎ。武者修行というか道場や剣豪を訪ねて試合をする目的があったが、ことごとく断られてくさくさしてる様子が書かれている。とある道場で負け続けて、しばらく日記が途絶えていたのがかなり面白い。生きている人なんだと思った。日光を訪れる日があるが、幕府のお膝元ということもあり、かなり東照宮に対してかなり批判的だった。

獄中記について、脱藩の容疑をかけられ、獄に繋がれる。その9ヶ月間の話。ずっと憂いてるのと自虐的になっている。自分は取るに足らんし…というようなことを言っている。すみません、正直言って萌えました。

@kometabe
観劇、映画、読書、旅行など。普段こちらにいます⇨fedibird.com/@kometabe