77 私と犬と飼い主と

鯨日記
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インターホンの音で目が覚める。クレジット・カードの入った封筒を受け取り、コーヒーを飲み、久しぶりに一本煙草を吸った。ジモティーで取引している人から「予定が早まったので少し早く向かってもいいですか」と連絡が来た。私はソファとデスクとイスを出品していて、その人はデスクを取りに来てくれる人だった。濡れ布巾で丁寧に磨き、埃を払う。いつもは杜撰に扱っていた癖に別れの時になって「今までありがとね」なんて言って撫でてやったりしている。デスクを家の前に運び出すとご近所さんと車椅子の犬が家の前で座り込んでいて(54の日記にも登場)、ジモティーの人が来るまでの間、犬と飼い主さんと話をして過ごした。その犬は齢16歳で、老犬だとその人は言った。「でもインスタとか見てると20歳とかの柴犬も全然いてね」と急にインスタの話が出てきてわたしは面食らってしまい、はあ、と曖昧な返事をしてしまった。犬の写真を撮ったり撫でたりしていると一台の軽トラが私たちの前に停まった。降りてきたお兄さんは取引相手は私一人だけだと思っていたはずだから、私(男か女かわからない)と犬(車椅子で寝ている)と飼い主(にこにこ座っている)の三人が待ち構えていたからいささか警戒させてしまったかもしれない。いやだいぶ警戒しただろう。わたしたちが並んで座っている姿を見て金子みすゞの『私と小鳥と鈴と』を思い出させてしまったかもしれない。お兄さんと一緒にデスクを荷台に積み、1000円を貰う。2000円とかにしとけばよかったかもな、と卑しい自分が顔を出す。取引が終わるとなんだかどっと疲れて布団に潜り2時間眠った。起きてもまだ外は明るくて、部屋の片づけをした。18時頃にキーマカレーを作って食べた。今日初めての食事で、久しぶりにまな板を取り出して料理をした。明日はマクドナルドと無印と薬局に行こうと思っている。人のアカウントで加入しているHuluで映画『パーフェクトブルー』を観た。余計体調が悪くなってしまった。美しい映画だった。2024.2.11

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