トラックボールユニットを追加した理由

m_ki
·
公開:2025/1/3

cool937というBluetooth接続、ロウスタッガードの分割キーボードを作った。私のストライクゾーンの要素を持ち、エンドゲームとなった。ただ、一つ不満というか、「これができたらいいな」と思っていたことがあった。

それはマウス操作である。qmk_firmwareでは、キーコードにマウス操作のキーがあるので、それを当てれば、キーボードだけでマウスカーソルの操作はできる。ただ、マウスやトラックボール、タッチパッドのような滑らかな動きは無理である。上下左右に動くが、キーボードだけで思い通りに動かすには、かなりの修練がいるだろう。手元にマウスなどがない時の最終手段である。

keyballやcocotシリーズが発端となり、トラックボール付きの自作キーボードが出現しました。それらの設計者は知識や技術を公開して下さった関係で、他の設計者の自作キーボードにも、トラックボール採用の自作キーボードが増えてきました。本当に、こういう点が、自作キーボード界隈の方が素晴らしいなと思うところです。

Keyball39

cocotシリーズ

私自身も、PIM447やAZ1UBALLを使い、トラックボール付きの自作キーボードを設計しました。しかし、34mm球や25mm球を使うようなものは設計してこなかった。まあ、自分の知識が追いついていなかったのが理由です。

PIM447

AZ1UBALL

他に理由として挙げるならば、私自身がケーブルレス(つまり、Bluetoothによる無線接続)の自作キーボードを目指していることもありました。無線化された、トラックボール付きキーボードが一般化されておらず、「まあ、いいか」という気になっていました。

昨年の夏頃から、無線化されたkeyballの成功事例がXでポストされるようになると、ちょっと風向きが変わってきたと感じました。BLE Micro Proの設計者であるせきごん氏が、torabo-tsukiという、無線化されたkeyballのようなキーボードを頒布し、私もこれを購入しました。

ただ、私自身、カラムスタッガードの運指が得意でなく、ベアリング付きでよく回るトラックボールを便利と感じながらも、打鍵ミスが多くなるので、あまり使っていません。

そして、zmk_firmwareを採用し、無線化したトラックボール付き自作キーボードroBaが発表されると、私の興味が俄然、湧いてきました。

ただ、zmk_firmwareについてはまだ、よくわかっておらず、そのまま、自分の自作キーボードに流用するには困難と思いました。もう少し情報を集めてからと思い、まだ、研究しています。

そうは言っても、単に、エンドゲームであるcool937にトラックボールをつけたい気持ちは収まりませんでした。そこで「既存のトラックボールを分解して、それを組み込んだトラックボールを作ればいいんじゃないか」と思いました。最初は、メーカーのトラックボールに3Dプリンタで装着できるケースを作ろうと思いました。

ただ、私が使いたい人差し指で動かすトラックボールマウス(上の画像では、orbit)が思ったより大きく、なんかcool937に合わないのです。

そこで、エレコムのリラコンというトラックボールを分解して、それを3Dプリンタで印刷したケースに収納してトラックボールマウスを作ることにしました。

作り方は簡単です。リラコンを分解します。ただ、既存のプラス・マイナスのドライバーではネジが回らないので、途中から、ケースを壊し始めました。ニッパーで切り刻みながら、進めるのはちょっと骨が折れましたが、なんとか、無事に必要な部品を確保できました。

ちょっと分解の画像は悲しい感じなので、小さいサイズにします。

次に、このリラコンの部品が収納できるトラックボールマウスのケースを設計しました。

この1年、何度かトラックボールのケースを設計していたので、それを流用しました。デザインができて印刷したものが、下の画像のトラックボールユニットのケースです。

内部に、単4電池が2本収納できる電池ボックスを収納できる空間を確保して、リラコンから取り外した部品を収納できるケースにしました。

電池ボックス

https://akizukidenshi.com/catalog/g/g102245/

ケースの下蓋部分は、磁石で固定しています。ケースの左右側面には、cool937と磁石で固定できるよう左右4箇所ずつ磁石をつけました。

磁石

このトラックボールユニット自体には、マウスボタンがありません。私は右利きで、トラックボールを大体は右手の人差し指で動かします。その際、キーボードの左部にマウスボタンを配置しておけば、動作には問題ないと思いました。レイヤー0で、ダブルタップでマウスボタン1に設定しました。こういう時、vialは便利です。

画面のスクロールで使用する、マウスホイールの入力については、cool937のキーマップのレイヤー3に設定することで対応しました。

トラックボールユニットを左右部の真ん中に装着する形で、トラックボール付きのキーボードになりました。トラックボール自体が独立しているので、バッテリー切れにより、キーボードが動かなくなる危険性は回避できました。また、トラックボールも市販の電池を使用できるリラコンの特性を残したので、もし電池切れになっても、すぐに補充が効くようになっています。

現在、このような形で使用しています。

<膝の上で使うときは全て合体します>

<左右分割で使用するときは、好きな方にトラックボールユニットを装着します>

今後の課題としては、もうこれは1点ものなので、頒布できるものではありません。

前述したroBaをきっかけに、zmk_firmwareを学んでいます。今年中に、xiao bleを使用して、zmk_firmwareで動かす、トラックボールマウスを設計できたらいいなと考えています。Xのポストを見ると、すでに達成されている方もいます。後追いですが、私自身も、それができれば、いいかなと思います。