cool640tbを作った理由

m_ki
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公開:2025/7/3

cool640zmkを作っている頃に、xiao nRF52840 Plusが技適をクリアした情報を聞きました。誰かのXのポストで5月中に技適をクリアすると噂があり、それが現実になりました。

zmk_firmwareで使用されることの多いxiao bleことxiao nRF52840は使用GPIOピンが13ピンと、pro microやラズパイピコのそれと比べて少ない。そのため、分割キーボードとして使用例が多い。

ただ、13ピンしかなくても、マトリクス方式で、6x7=42 キーのキーボードを設計することができます。それを利用して、cool640zmk(40キー)を設計しました。

cool640zmkが完成した後、アリエクで試しに購入した12mmのPOM球を使って、cool640zmkの中間部分にトラックボールをつけられるかなと妄想を始めました。

試しに3Dプリンタで、12mm球用のトラボケースを作ってみた。それをcool640zmkの中央部分に置くと、なんかいい感じと思えた。xiao bleの使えるピン数の問題から、一体型でトラックボール付き、zmk_firmwareで動くキーボードは少ない。さらに「みんな大好きオーソリニア」になると皆無かなと思う。トラボ部分をどのように設計するかちょっと考えた。PWM3610センサーをキーボード基板に直接付ける形にするか、cool642tbのように別の基板にする形にするか、と検討した結果、次のように、別の基板にする形にしました。

別の基板にすることで、センサー部分を、同一基板にする形に比べて、2〜3mm低くすることができました。その分、下方向にゆとりを持たせる必要が生じますので、cool640zmkの独特なカーブを持たせたボトムケースはそのまま使えなくなりました。

トラックボールをつけることで、新しくピンが必要となり、xiao bleで設計した基板は、xiao nRF52840 Plusで再設計することになりました。

xiao nRF52840 Plusが発表されてしばらくしてから、そのうち使うだろうと思って、kicad用のシンボルとフットプリントを作りました。

これらを使って、cool640zmkの基板を改良する形で、cool640tbを設計しました。cool640zmkでやった配線ミスをそのままの基板を使いまわした結果、cool640tbでも同じ箇所の配線ミスをしました(PCB ver.1.0)。また、この時、なぜかトラックボールが動かなかったので、それも基板のせいと思い込んで、修正した基板(PCB ver.1.1)を発注しました。

トラボが動作しなかった理由は、私がファームウェアで適切なピン番号を設定しなかったからでした。ただ、プログラミング素人の私が、この問題で数日で何とかなったのは、運がよかったです。多分、cool640tbを設計するまでに、3台ほどzmk_firmwareの自作キーボードを設計した経験があったからかなと思います。お陰で、今まで何となく記述していたコードの一部の意味がわかるようになりました。

週末に家族旅行で東京へ行くので、その時、持って行こうと思い、ケースをデザインして印刷し、手元に予備のなかった16mmサイズのキーキャップも印刷しました。そして、今、業務の空き時間を利用して、この文章を書いています。これまでの分割、トラボ付き、BT接続のキーボードに比べて、電源は1つで済み、片手で持ち運べる、cool640tbは最強(エンドゲーム)の系譜といえます。

実は40キーもいらない私は、自分専用にトップケースをデザインして、36キー版を印刷しました。