大学生のとき、某大手スーパーのサービスカウンターで4年間アルバイトをしていた。もう随分前のことだしお世話になった店舗は既に閉店したが、スタッフもいい人ばかりで毎日がとても楽しく、今も去年のことのように働いていた日々を思い出す。
様々な部門の中でもサービスカウンターは業務が多岐に渡るので、こんな仕事していたよと思い出と共に紹介したい。
通常業務
フロア案内
「〇〇はどこにありますか?」という質問が多いので各売り場と連携して案内するお仕事。その他「今流れてる曲のタイトルが知りたい!」「雨でびしょ濡れになったのでタオル貸して」「今日は何曜日ですか?」などいろんな人が来る。関連記事→知らない人を家に泊めた日
ギフトラッピング
一番難しくて一番楽しいメインのお仕事。時に商品選びから始まり、ギフト箱、包装紙、リボン、熨斗紙、表書き、メッセージカードなどをお客さんと相談して決めていく。空き時間はいつも包装と筆ペンの練習をしていた。好きなラッピングは酒瓶と子供に配る駄菓子詰め合わせ、苦手だったのはフルーツのかご盛りと花束。小っっっちゃい商品をマトリョーシカみたいに何重にもギフト箱に詰めてでっかいプレゼントに見せかけるドッキリの片棒を担いだのが一番楽しかった。
ギフト販売
現物販売もあるが、多くは予約商品の受付。お歳暮、お中元、おせち、恵方巻、父の日、母の日、南高梅、ボージョレ・ヌーヴォ、クリスマスケーキなどのギフト展開にいつも季節を感じていたので退職してから季節感がなくなった。
宅配便受付
お客さんが購入した商品を箱に詰め、宅配業者さんに引き渡す。長ネギは了承を得て半分に切り紙で包む、桃の品種によって冷蔵か常温が異なるなど覚えることも多い。カゴいっぱいの商品にぴったりな段ボール箱を一発で選べるととても嬉しい。
金券販売
進物用の金券を販売し、毎日在庫を管理する。駐車場割引を目的とした「商品券〇〇円分ください、内使いで」という依頼も多く、「内使い」という言葉を初めて知った。退職前、一番最後にした接客もこれだった。
駐車券の割引
レシートを合算して無料券を渡すお仕事。名札を見て「もしかして〇〇さん!?」と声をかけてくれたお客さんが中学時代のクラスメイトでびっくりしたことがある。友達とレンタカーで旅行していて、偶然うちの店に立ち寄り、たまたま私が駐車券処理をして、地元から遠く離れた地でまさかの再会だった。
領収書発行
手書きの領収書発行。常連さんばかりなので、慣れてくると「いつもの」「はいよ」って感じで行きつけの居酒屋みたいになっていた。
カード類の発行・紛失対応
現金専用、電子マネー、クレジット等があり、特にクレカ申込の本人確認は緊張した。ノルマを課された社員さんがポイントカードを大量発行しにきたときは大人の事情を感じた。
迷子対応
迷子の子供を預かって一緒にお話ししながら保護者を待つ楽しいお仕事。まれに「こんにちは!お母さんが迷子になったので呼び出してください!」と言ってくるしっかりした子供がいる。
店内放送
放送専門部署があったが、そちらが閉まっている時間帯にはお鉢が回ってくる。それなりに大きいビル内全部に響くのでめちゃくちゃ緊張する。日本語が分からない外国人の方を呼び出す必要があったとき、その国から来ている留学生のバイトさんに放送を依頼して事なきを得たのが思い出深い。
電話対応
こちらも専門部署があったが、実務が絡むと対応が必要。「予約したおせちが届かないんですけど」とか言われると心臓が縮む。
身体が不自由な方のサポート
目の見えないお客さんがよく来てくれていて、一緒に服を選んだり文房具を探したりするのが楽しかった。一度心配で駅まで送っていってしまい、そこまでしちゃ駄目と叱られたのも勉強になった。
遺失物対応
警察とのやりとりは専門部署の担当だが、そこへつなぐ窓口のお仕事。届けてくれた人と財布の中身確認をしたり、書類を書いてもらったり、ちょっと交番のお巡りさんみたいな気分になる。
クレーム・返品・返金対応
お客様のお話を聞いて各担当につないだり、売り場から依頼を受けて返金処理をしたりするお仕事。クレームが手に負えないときは上の人を呼べば引き継いでくれるのでバイトとしては気が楽だった。
お客様の声回収
大型店だったので設置場所が多く、筆記台を掃除しながら声を回収して偉い人に渡すお仕事。落書きや理不尽なクレームから共感できる要望や丁寧なお礼の言葉まで、偉い人の反応も含めて色々知ることができて好きな業務だった。
ちょっと特別な業務
果物の試食販売と地方発送
リンゴ、ぶどう、スイカなど旬の時期に発生する青果部門の応援。味を知らないと販売もできないよね、ということでいろんな品種を食べさせてもらえて役得だった。
おせち具材の量り売り
年末のかきいれどきに発生する総菜部門の応援。感覚をつかめると「田作りを100g?くらいくださいな」というご婦人に「このパック一杯ですけど大丈夫です?」「あらそんなに食べられないわ!」「一旦30gくらい入れてみますね」と提案できるようになって楽しい。
その他応援
ギフトラッピングを多数受注した服飾売り場に駆け付けたり、お菓子売り場の品出しを手伝ったり、バレンタイン特設会場でチョコレートを売ったり、いろんな場所に呼ばれるのが好きだった。時間帯が合わず機会がなかったが、恵方巻づくりもやってみたかった。
福引
法被を着てお客さんをお迎えし、ガラガラを回してもらって「おめでとうございます!」と鐘をカンカン鳴らす楽しいお仕事。もう時効と思って言うと、客足が悪くて景品が減らないとき偉い人の指示でハズレ玉を減らして特等が当たりやすいように細工をしたことがある。
万引犯の取り調べ立ち合い
警備室での取り調べ時、容疑者が女性だと同性の立ち合いが必要なので時々警備員さんに呼ばれた。黙って立っているだけでOK。慣れてて強気な常習犯、青ざめて泣き出す高校生、延々身の上話を語るお年寄りなどいろんな人がいる。
お祭りで踊る
年に一度、地元の祭りに店舗連として参加し延々踊る。みんなで踊るの楽しいし、休憩のたびにアイスとかおにぎりとかもらえるし、練習期間も本番当日もお給料が発生するのでいいことしかなかった。
長々と思い出話をしたのは、私が働いていた店舗が閉店するときスタッフの受け皿になってくれた近隣店舗もまた近々閉店することになったためだ。当時お世話になった社員さん、パートさんの一部はそちらに移って働いていたので、いよいよ再会の機会が失われてしまうことが寂しい。
「何人も同期がいる中でなんで私をサービスカウンターに配属してくれたんですか? 特技に書道って書いてたからですか?(熨斗の表書き業務があるので)」と聞いたとき「え~前にいたバイトちゃんと顔が似てたからだよ~」と笑っていた人事のお姉さん、どうしてるかな。当時のお姉さんの年齢に私もそろそろ並びそう。いい部署に入れてもらえたおかげで、今もこうして思い出すくらい実に楽しい4年間を過ごすことができた。みんな元気にしてるといいな。