この記事はアクセシビリティ - Qiita Advent Calendar 2024の20日目の記事に昇格しました。
アクセシビリティ大忘年会に参加し、改めて今年を振り返ってみたくなったのでa11y関連で何やったか思い出してまとめるのと、来年やりたいことを書いてみます。他に思い出したら勝手に追記します。
今年やったこと
教養卒論
東工大(新科学大)には教養卒論というものがあります。幼卒と略されたりします。卒論の練習として、自分の好きなテーマについて5000字以上(だっけ?)書くというものです。厳密には冬休み入ってすぐ、つまり去年から書いていたのですが、今年にも入ってたので許容します。
僕は教養卒論でWeb a11yについて書きました。前半はそもそもa11yとは何かとか、障害者差別解消法がちょうど次の4月に改正されようとしていたのでそれについてだったり、WCAGとは何かとかを説明しました。後半には現状多くのWebサイト・サービスであまりa11y対応がされていないことだったり、じゃあエンジニアや一般人がどのようにしてWebサイト・Webサービスのa11yを向上させていけるのかということを書いていたら割と簡単に5000字書くことができました。学生同士で見せあってレビューとかもしていたのですが、面白いって言ってもらえたり、知らなかったから知れてよかったと言ってくれた人もいたので、書いてよかったと思いました。
OSS
いくつかa11y周りでOSS Contributionをしたりしてる途中だったりします。
1つ目はStorybookで、軽微なa11y改善のissueがあったので取って修正しました。一度approveをもらっていたのですが、マージしてもらうの待ちの間にconflictが発生してしまってまだマージできていません(1回直したのにまた発生しちゃってる...)。なんとかします。
もう1つはドキュメントの日本語への翻訳です。a11yと一見あまり関係なさそうに見えますが、「英語が分からない日本人もドキュメントに書かれている情報にアクセスすることができるようになる」という、アクセシビリティ向上のための活動だと思っています。最近はAIで結構精度よく翻訳できますが、ページ内翻訳だと(特にインラインコードブロックが入ってたりすると)レイアウトが崩れてしまったり、コピペして翻訳サービスに入れても文字だけの情報を取り出して読むことになるので、やはり元のページで直接見れるのが一番よさそうです。BiomeやMDNなどでたまに翻訳PRを出しています。最近はあまり時間が取れていませんが、もっと積極的にPRを出していこうと思います。
また、OSSのa11y周りの話だとこの記事が良いなと思いました。
>アクセシビリティという領域を知らない開発現場では、そもそもこのプラグインまで辿り着かないのです。
とあり、確かにESLintのプラグインなどはチームにa11yについて知っている人がいないと導入まで至らず、Biomeではデフォルトで有効化されていることがとても大きなメリットだというのに納得しました。
僕もa11y周りのものではないですがBiomeに機能追加の(ルール追加ではない)PRを出したことがあるので、今後a11y周りのルールにも貢献していけたらなと思いました。
業務委託先でのa11y改善
業務委託先1でコンポーネント集を作る機会があって、そこでa11yを意識して作ったり、普段からサービスのa11y改善なども行っています。業務委託先2(退職済み)ででもa11y改善のタスクを自分で作って改善したりしてました。
特にベンチャー企業とかだと機能を作ること優先になってしまって、a11y対応は後、みたいになりがちだと思うのですが、そうではなくてa11y対応自体も最低限のところは機能の一部だと思って開発できるような雰囲気を作れるとよいと思います。そのためには先ほどのBiomeのルールのようなものだったり、Storybookのa11yプラグインといった自動チェックツールを導入していくのが最初の一歩として有効なのかなと考えています。
1人アドベントカレンダー
やってます(現在進行系)。
前述のコンポーネント集作成で、コンポーネントごとにどのような実装をするのがよいか分からないことがしばしばあったので、網羅的に勉強したいと思っていました。それと、その他イントロダクションに書いたような理由によって始めました。引き続き頑張ります。
イベント
先日アクセシビリティ大忘年会に参加してきました。
僕が一番好きだったのはこのLTです。
スライド読んでもらえれば特に追加で言うことはないのですが、確かに自分は全然できていないなと感じたので来年以降もっと当事者のことを知っていけたらなと思いました。
スライドで紹介されていた暗闇の姫さんは最近ちょうど、altテキストについての良いツイートを見つけてフォローしたのですが、当該ツイートが削除されちゃってました...。↓のツイートの画像のaltテキストが良いという引用リツイートだったので、元ツイートだけでも共有しておきます。
また、別のツイートだけど今見つけたものがあるのでこちらも貼っておきます。
↓消えちゃったツイートを当時見たときの僕の感想(スレッドに続いてます)。
また、イベントの話で言うとアクセシビリティカンファレンス名古屋・福岡は参加できてなくて、オンラインでも別の予定と被って見れなかったので、アーカイブを見ようと思います...。来年は現地参加したいです。
本
最近話題の『誰のためのアクセシビリティ? 障害のある人の経験と文化から考える』をちょうどこの前購入しました。まだ最初の20ページくらいしか読んでいないのですが、既に読んでよかったと思ったので読み進めるのが楽しみです(アドベントカレンダーが終わったらちゃんと読みます)。
その他Webアプリケーションアクセシビリティの一部の章は2周目を読んだりしました。最近数ヶ月だけで著者の4人中3人の方にお会いできて嬉しかったです(サインもらえばよかった...)。
サークルSNSのa11y対応
去年だったけどついでに載せちゃいます。
アクセシビリティ大忘年会で「ボタンがボタンになった!」(ボタンをdivタグではなくてちゃんとbuttonタグでマークアップできた)という話があったのですが、自分もサークルのSNSでそんな感じのことやったなーって思いながら聞いてました。600人もいるサークルなのでスクリーンリーダーを使っている方などがいてもor今後入ってきてもおかしくないなと思ってるのと、実際に色覚障害を持っている方が軽度のものも含めると何人かいるようだったので、やっぱりa11y対応はやっていかないといけないなと思いました(ESLintのルールとかも入れていきたいと思ってたけどできずに卒業しちゃった...)。
来年やりたいこと
上で「来年やりたい」みたいに書いたものは省略します。
a11yチェック系のツールの勉強
axeとかpa11yとかAccessibility Visualizerとか色々ありますが、全然使えていないので使っていきたいなと思っています。スクリーンリーダーも、僕はWindowsユーザーなのでa11yチェックをするときにはNVDAを使っているのですが、基本的な機能しか使えていないのでもっと色んな機能を使って当事者の方の使い方にできるだけ近いようなチェックのしかたができれば良いのかなと思っています。また、最近初めてAndroidのTalk Backを使ってみたので、もっと色々いじってみたいです。
モバイルのa11yの勉強
モバイルアプリアクセシビリティ入門 ──iOS+Androidのデザインと実装:書籍案内|技術評論社を来週購入予定なので、読みたいです。
モバイルアプリ開発をするわけではないのですが、モバイルならではの特性だったり、上述したTalk Backの使い方やそれに応じた特性などは全然知らないので、Webアプリのモバイル対応をする際に役立つかなと思っていたり、a11y全般について語るときにもやっぱりWebアプリだけの知識だけだと偏ってしまうので、モバイルについても知っておくべきだと思い、読もうと思っています。
本書きたい
本書きたいです。今年の5月にサークルで本を出したのですが、そのときは自作Gitの話を書いたのでa11yの話ではありませんでした。来年の秋の技術書典くらいで、1人でa11yについての何かの本を出してみたいなと考えています。が、製本とか色々ハードル高そうなのでサークルから知見を引っ張ってくることになりそうです。もしくは会社に1人で本出してる人が何人かいるので、その方に聞いてみるとかもありですね。
magiさんによると、本は書いたら書けるらしいので書きます。
WAIC
WAICとはウェブアクセシビリティ基盤委員会です。僕も最近詳細を知ったばかりで、まだちゃんと情報を追えていないのですが、a11yのガイドライン周りの整備・日本語翻訳やa11y試験の実施などを行っているらしいです。
参加しようと思えば活動に参加することも可能らしいので、いつか参加してみたいなとうっすら思ったりしています。まずは具体的な活動内容をもう少し詳しく知っていきたいです。
こういうイベントもあるようなので気になっています。
まとめ
今年は研究して論文書いて労働してたら終わった1年かと思ってましたが、書いてみると意外と色々やってたりやってなかったりしました。
来年も、迷ったらやってみるの精神で色々やってみたいと思います。