前回聴いた「少女」が面白かったので「告白」もaudibleで聴いてみる
映画は昔観たけど、だいぶ記憶がおぼろげ
告白というタイトル通り、冒頭からず~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っと女性教師の語りが続くのでめっちゃ面白い
相手の質問を受け付けず、地の文とか挟まずに一方的に語り続けるから今聴くとワザップジョルノに相当近い感じがする
あなたを詐欺罪と器物損壊罪で訴えます!理由はもちろんお分かりですね?あなたが皆をこんなウラ技で騙し、セーブデータを破壊したからです!覚悟の準備をしておいて下さい。ちかいうちに訴えます。裁判も起こします。裁判所にも問答無用できてもらいます。慰謝料の準備もしておいて下さい!貴方は犯罪者です!刑務所にぶち込まれる楽しみにしておいて下さい!いいですね!
万人を虜にする文才だ
あとハンバーガーさんの溢れ出す感情のグラブル語りも思い出して楽しくなってしまった
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全6章で雑誌に掲載された3章と書き下ろしの3章からなる構成。実質的には教師の語りだけで終わる第1章だけで十分完結してる作品という感じはする
続く章は違う視点のキャラクターで同様に告白していくけど、誰かに直接語りかけるのではなく手紙や日記という間接的な手法になるのはワザップジョルノ的にトーンダウンするし、事件描写としてはダブってる部分が多くて分量のわりに出てくる新事実が少なく感じるところも多かった
「少女」でも感じたけど、ああ完結したなと感じたところからのエピローグ的な話がめちゃくちゃ長く感じる。というかエピローグが本番って形式なんだろなーと思う。そこで全ての因果の結びつきを一個一個丁寧に解説して解体していく
ミステリとしては謎が全て解かれるのは当然なんだけど、それがなんかちょっと異質に感じるのはそもそもが謎と提示されていないというところだろうか。謎に対して理由を推測するのではなく、因果として理由が後出しされることで事象に意味が追加されていく
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あと事情を知っている読者からすればそれを知らないで生きてる相容れないキャラクターが出てくるので相容れないなーってめちゃくちゃ感じるけど、一般的にそういう自分が相容れない人物を描くためにはどう想像するかってなると興味深い感じもした
その点でこういう告白形式っていうのはその人の主観そのものだし、徹底的にその人なりの価値観を因果から構築しないといけないんだろうなって気がした
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どうでもいいんだけど作中の発明少年がアダルトビデオのモザイク除去機を作ってクラスメイトに一目置かれてたって話が出てくる。無茶すぎる
低解像度を高解像度に復元する技術って今でこそAIで頑張ればできるのかなって感じだけど、おそらく昔の詐欺広告の謳い文句を真に受けて書いちゃってるのかなってかなり気になってしまった。けっこう何度も話に出てくるので…
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朗読は映画版で女子中学生役を演じた橋本愛。これもだいぶよかったな~。何人かのキャラクターを演じ分けてるけど、メインの女性教師の語りがかなりハマってた感じする
audible版は最後に作者と橋本愛の特別対談も収録されていて、映画版から年月を重ねて大人になった現在にまた作品に向きあうというシチュエーションはすごくいい。作者に対して読者であり演者という関係性。雰囲気はほんわかラジオって感じで良かった