M・W・クレイヴン「ブラックサマーの殺人」を読んだ

miyaoka
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  • この間読んだ「ストーンサークルの殺人」の続きとなる、ワシントン・ポー シリーズの2作目

  • 今作もまた猟奇殺人的なイントロから始まり、主人公である警官ポーと相棒である分析官ティリーがバディとなって捜査をしていく

  • とはいえ、一作目に比べるとどうなんだそれは??という感覚が強いような気がした


  • 6年前、死体が見つからないのにも関わらず主人公が殺人容疑で逮捕して刑務所送りにした男が居たが、その後死んだと思われた被害者が町中に現れたからさあ大変。一転して冤罪をやらかしたのでは??という疑惑をかけられて大ピンチになってしまう

  • 作品としては冒頭から犯人を開示して主人公を追い詰めるような形式なので、誰が犯人かではなくどうやったのかに焦点が当たる。だから冤罪というのも読者にとっては犯人側のトリックだという前提で進む

  • でも、そもそもなんで主人公がその男を犯人だと決めつけたのかというと「あいつはサイコパスに違いないから」という根拠

  • 犯人は三つ星レストランのシェフであり、メディアにも露出し、そしてレストランの経営者をしている。これがサイコパスに人気の職業ベストテン9位、3位、1位にあたる

  • …というくだりを聞いて「えっ、そんなネットの雑学で見ましたみたいなことを堂々と言っていいんだ」と思ってしまった

  • 実際に冤罪容疑の只中にいる主人公のセリフだから、それを聞いてる周囲もマジで言ってるのかどうなのか分からないのかもしれない


  • でも物語の主人公だから結果としてそうした直感は正しい、という体で進む。けど素直に受け入れづらく、そんな無茶な~~~~~って気持ちになる

  • 組織の枠にとらわれない独断専行を繰り広げるキャラクターだから敢えてそういう反発を招くような直感を描く作劇なのかもしれないし、作者的にマジな根拠なのかもしれない。このへんが良く分からなくてずっとモヤモヤしてしまった

  • まあ、シェフ=サイコパスというイメージ自体には異論は無いのだけれど…


  • 前作で相棒ティリーとのバディっぷりが好評というのは作者も熟知してそうで、今作は出すタイミングをしっかりと焦らしてお預けしてくれた。ピンチに陥った主人公があれやこれやと八方手を尽くしてみた上で、最後の奥の手というところでティリーとコンタクトを取る

  • そこからの再会シーンが、まあ~~~~期待通りめちゃめちゃ良い!

  • とにかくこのティリーはIQ200あるし、科学技術的なことならなんでもできる。マジで強キャラすぎる。強すぎるからティリーがいればすぐ解決してしまう。だからこそ最初は主人公独力で頑張るシーンを描いたんだろうと感じる

  • そのぶん(IQが普通の人にとっての)常識知らずで奇行を繰り広げるのもいい。分かりやすい。そんなティリーも今作ではちょっと成長を遂げているのも泣ける

  • まあそういう常識外れの奇行と超能力的な捜査能力のキャラクター性を楽しむという点では仲間由紀恵と阿部寛のコンビによるTRICKっぽいのかなーとも思った


  • あと検死するところで病理学者エステル・ドイルというこれまた強烈なキャラがぶちこまれる。このシーンにそんなキャラ説明要る?ってなったけど、主人公がポーでこのキャラはドイルとミステリ作家の名前がついてることからもネームドの強キャラっぽい

  • ティリーの能力が一強すぎるからパワーバランス的にそれと並ぶキャラを立たせようとしてるのかなと思った