他言語でやるFF15(クリア編)

mmakiyama
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※この記事は、一応、SUZURIの人間たちで構成されている SUZURI Advent Calender 2023 19日目にあやかって書いた記事です。

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セーブデータが消えたという経験をバネに、他言語でFF15をやると決意してから数日後、結局ドイツ語版のガサついたシドニー(前回の記事参照)のことをあまり好きになれず、英語版に変更した。英語版のシドニーは完璧で、快活で明るい、酒を飲んでいないシドニーだった。

結局その後英語でしっかり完走し、現在のプレイ時間は以前のセーブデータを超える69時間だ。もうすっかり仲間たちの母国語は英語という認識である。

どうせ同じストーリーをやりなおすなら他言語にして語学学習にしてしまえという魂胆から始まったこの試みだが、色々と学びがあった。個人的に感じたことをいくつかつらつらと書いていく。

FF15英語版での英語学習のすゝめ

FF15英語版は実質海外生活

FF15のおもしろいところでもあるのだが、他のFFシリーズに比べて、キャラクターたちの会話が非常に多い。車に乗っていると仲間が写真を撮りたいと言ってきたり、荒野を走ってるとみんなが暑い眠いと文句をたれたり、とにかく雑談系の会話が圧倒的に多い。

また、親友たちとの旅がメインテーマということもあり、やることがドライブ、釣り、散策、レストランでの食事など「戦い」以外にもかなりたくさんある。ファンタジーな世界観ではありつつ、主人公はスマホを使ったりと現代をベースにしているところもポイントだ。

こうした要素から、このFF15にどっぷり浸かるということは、実質「海外生活」と言っても過言ではない。

これは自分の(短い)海外生活をもとにした意見ではあるのだが、外国語話者と単純接触時間が長いと、まず耳がよくなってくる。最初は何を言ってるかわからなくても、何回も似たフレーズを聞いていると聞き取れるようになってくる。

FF15についても同様で、最初は(内容把握をするにあたり)日本語字幕に頼っていたが、どんどん聞き取れるようになっていった。ある単語が聞き取れるようになると、一気に他の台詞の意味もわかってくる。このように海外生活で得られる語学学習フローを、ゲームで追体験できるとは思わなかった。

聞き取れないところは文字起こし

とはいえなかなか聞き取れないところもある。そういうとき、Pixelに搭載の文字起こし機能が大変便利だった。

もちろん正確ではないが、大事な熟語などは割と聞き取ってくれるのでそこから脳内で正しい文章を補完していく。

Did you remember to put on sunscreen, Noct?

  • 「remember to 〜」忘れずに〜する(まだ起こってないことに対して。remember 〜ingなら過去に起こったことに対して。)

  • 「put on」つける

  • 「sunscreen」日焼け止め

文字起こしにしておけば、こんな感じで振り返ることもできるので便利だ。

なお、語学学習は、文法ももちろん大事だが、話すための学習という意味ではとりあえず文章をまるっと覚えることが重要だと思っている。ゲームだと何回も同じセリフが出てくることもあるので、そういうときに一緒に口ずさんだりすると(俗に言うシャドーイングである)より暗記しやすかった。

そもそも英語を話す機会がなさすぎて、簡単な文章すらすぐに出てこないのが悩みだったので、こうした日常会話っぽいセリフ集に日々触れることができるのは非常によかった。「A Magitek Engine…it's close!(魔導エンジンだ!近いぞ!)」など日常では使わないセリフもあるけどそれはそれとして楽しい。

聞き取れるようになって楽しめたこと

字幕の訳し方との違い

例えば、かの名台詞「やっぱつれぇわ」は、「It's so hard」ではなく、「It's...more than I can take.(自分には耐えきれない)」という表現をしているのだが、もとのニュアンスをどう表現するかという点でとても勉強になるし、より解釈に深みが出てくる。

キャラクターごとの英語の違い

個人的になるほどと感心したのは、キャラクターごとに使ってる英語が異なるということだ。同じ国の人間同士なのに、例えば主人公のノクティスはアメリカ英語。一方、主人公の父親・レギス(国王)と仲間でもある教育係のイグニスはバキバキのイギリス英語。一般市民である友人のプロンプトはやたら「Dude!」などくだけた単語を使ってくる。

なぜ立場によってアメリカ英語とイギリス英語でわけるのか気になったので調べたら、過去の公式イベントの質疑応答レポにこんな事が書いてあった。やはり意図的らしい。

引用元はこちら

英語版だと立場や環境の違いなどをあらわすために、こういった「それっぽさ」を出すための細かい工夫が感じられるのも醍醐味である。

つぎのチャレンジ

こんな感じで、セーブデータが消えたことは悲しいことだったが、結果的に非常に良い学びを得ることができた。もちろん二度とセーブデータは消えてほしくないし、一回また同じ場所で一瞬フリーズしたときは激しい動悸がし倒れそうになったが(結果大丈夫だった)、あのつらい体験を経て少し強くなれたと思う。

クエストももう少しでほぼ完了しそうなので、そろそろ強くてニューゲームに挑戦したい。その場合、今度は字幕も英語にして完全英語版でやってみようかなと思う。