長編小説をどうやって書いているのか紹介する

森山
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公開:2024/6/9

小説の書き方をある程度プロトコルとして文章化できないか、と考えた。クリスタによるイラストの描き方とか、ああいう感じである程度誰にでも再現できるようなレシピだ。センスとか読書量とか語彙力は、要るには要るが、それをつける部分ではなくて、実際に「小説を書く」という作業そのものについての資料がなんか少なすぎると思う。ここでおれが実際に売れるような商業作家であれば、自分の作業内容を公開することで「いい小説をちゃんと書く方法の確立」として説得力があるのだが、おれは二次創作同人小説を書いたり新人賞に出して落ちたりしているだけの身だ。それでも一応自分のためになるので、一度整理して書いてみたい。

構成シートを作る

小説を書くと決めたら、まず構成シートを作成する。

以下、この小説を実際に書いた時に作っていたシートを載せる。

シートを2枚用意し、1枚目はテンプレートとして「三幕八場」を記入する(黒字)。三幕構成については、以下を参考に。

2枚目のシートには、ストーリーのポイントになる部分と、テーマ・アクション・人物を書く。これも黒字部分はテンプレートにしておく。

順番としては以下のようになる。

  1. 2枚目のシートに「ストーリーのテーマ」をワンセンテンスで書く

  2. 続けて「アクション(何が起きるか)」「人物」を書く

  3. 1枚目のシートに2の人物を具体的に名前をつけて書きこむ(イメージに合う実在人物がいたらモデルとして併記しておく)

  4. 2枚目に戻って「エンディング」をワンセンテンスで書き、そこから遡って「オープニング」、「プロットポイント1」「プロットポイント2」を書く(絶対にエンディングを最初に決めること

  5. 4を起点にして、1枚目のシートに三幕構成の各場面を8つ、短い文章で書く(ここまでに決めたことは最後まで変えないので熟考しておく)

  6. その他入れたい設定や思いついたことを2枚目に書く(この辺は後で変わることもある)

下記に載せた書籍も参考にしてみてください。

キャラクターを作る

全体の構成が決まってきたら、書きながら登場人物の詳細も決める。個人的にイラストを描くのが好きなので、外見や雰囲気を決めるために一度イラストにしている。この辺は特に推奨するものではない。

柚木と八幡がメインキャラなので、この二人を重点的に詰める。

あとは各人物ごとに簡単なプロフィールシートを1枚ずつ書いた。構成シートでモデルとしていた実在人物がいた場合、写真を貼ってイメージを示した(肖像権等あるのでここではぼかしている)。

キャラクターの関係図を作る

最後に、構成とキャラクター詳細を合わせて、関係図を作る。

基本的には、構成のミッドポイント部分で物語が大きく動くので、その前後で1枚ずつ関係図を作る。

執筆をする

以上で、書くまでの準備は整った。これらのシートを手元におき、見ながら執筆する。基本的に、最初の構成シートの1幕1場から順番に、始まりから終わりへ向けて書く。

各場を1章とし、章ごとに何文字くらいにするかをざっくり割り振っておけば、全体が何文字の小説になるかはコントロールできる。今回は1章10,000〜15,000字程度とし、全体を8〜10万字程度の長編にすることを目標にした。

執筆ペースは1日2000字程度。初稿が2ヶ月弱で書き上がるので、そのあと推敲したり、誤字脱字を直したり、投稿規定に合うように体裁を整えたりしてまた2ヶ月ほどかかる。トータル4ヶ月程度の作業になったかと思う。


以上、簡単だが小説のレシピを書いてみた。あくまで私の場合はという話だ。でもまあ、ものすごいセンスとか高い技術力とかが要求される作業ではないということが示せていたらいいなと思う。どなたかの参考になるといいのですが。

@moriyamaryu
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