醤油を切らして買いに行ったスーパーでまず目に入ったのは、特売の野菜と共に並ぶ梅の実たちだった。とうとう出たか、とつい足を止めて眺める。財布の中は梅と氷砂糖を買うだけの余裕があった。善とシロップ作りは急げと昔の偉い人も言っているし、買っちまうか!
小梅と呼ばれる粒の小さなものと、Lサイズ、そしてもう一回り大きいLLサイズの梅の実。一袋の重さは約一キログラムと同じなのに、実が大きくなるほど値段は上がる。しかしもちろん一番大きなLLサイズを選ぶ。漬けるとショボショボになってしまう梅の実は、あまりにもショボショボになるのでジャムにするには少なすぎるが、大きいものだと夕食を作るときにひとつふたつ摘まんで囓るのにちょうどいいおやつになるのだ。
買ってきた梅の実は、帰宅後さっと洗って水気を切り、陰干ししておいた。
香りが、すごい。
酸っぱいイメージの強い梅だが、熟した実の香りは甘い。甘い、その奥底に、梅らしい酸っぱい香りが「濃い」部分のように潜んでいる。まだ春には届かぬ寒い頃にきりりと咲く、愛らしくも強い花を思わせる。
出来上がった梅シロップは大変おいしく、それが楽しみなのは確かだが、私はこの、瓶に詰める前の梅の実と共にあるときが好きだ。手のひらに収まるなんかイイ感じの大きさ。さらさらとなめらかな表面。そこから立ちのぼる甘い香り。たまらない。梅の実、愛おしい。
まぁ、漬けるんですけども。
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マイヤーレモンのときと同様に、氷砂糖と層を作りながら瓶に詰める。うちにある瓶は冷蔵庫にも入るコンパクトタイプで、梅と氷砂糖が入りきらずに少し余ってしまうので、これまでは詰めた分がある程度使って瓶に余裕ができたときに冷凍して保管しておいた梅と余りの氷砂糖を入れるという方法をとっていたのだが、今年は去年シロップを移し替えるのに買った容器があったのでそっちでも漬けて、後で合わせることにした。これなら梅に霜がつかなくていい。
さて、今年もおいしくできるかな。できますように!