グレート書店ハイパーノック (秘密の舞台裏&○×クイズ)

洗われるたこ
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公開:2025/10/14

半年前、おれは新潮社から本を出した。

かつてイタリアだったかもしれない国の怪しい料理店を舞台にしたヴァンパイア・ゴシックミステリー小説だ。

そして、あなた方の応援によって『リストランテ・ヴァンピーリ』は重版に次ぐ重版、この度ついに [第5刷] を記録した。無名の野良新人作家のデビュー作としては異例の好調ぶりだ。

これは「新潮ミステリー大賞」の選考委員の先生方、歴代受賞者の先輩方、カバーデザインのイラストレーターである衣湖さん、出版社の営業担当、装幀室、編集校閲、その他チームの皆様方、そして誰よりも書籍を手に取ってくれた読者の方々の力で積み上げられた成果である。

改めて、心からの感謝を捧げたい。

この奇跡的な幸運のヒットにより、でかいカラーポスターや派手なポップを作ってもらったり、新しく金の掛かる帯のデザインに変えてもらったり、山程のサイン本を書かせてもらったりと、まるで大御所のような経験を沢山させていただくことが叶った。

そして10月、初めて憧れの "書店訪問" というものに召喚され、都内の複数書店に挨拶回りをする運びとなったのだ。よくX (Twitter) などで書店の公式アカウントが「話題作著者の××先生が来店・サイン本と色紙を書いてくれました」というようなことを宣伝している、あれだ。

作家が出版社の担当者と共に対象書籍を応援してくれている店舗へ赴き、書店の方々にご挨拶、売り場を確認して 販促のグッズを配ったり、その場でサイン本や色紙の作成をしたり、SNS掲載用の写真を撮ってもらったりする。

大勢が関わることなので非公開情報もあるのだけれど、明かしても大丈夫な部分をちょっとだけ皆にも紹介するから、おれと一緒に書店を巡るつもりで読んでみてくれ。


2025/10/8 (水)

この日のタイムスケジュールは次のようになっていた。

12:55 - 池袋集合

13:00 - ジュンク堂書店 池袋本店様 訪問

 徒歩で移動

13:30 - 三省堂書店 池袋本店様 訪問

 山手線で移動

14:00 - 芳林堂書店 高田馬場店様 訪問

 山手線で移動

14:45 - ブックファースト 新宿店様 訪問

 中央線で移動

16:00 - オリオン書房 ルミネ立川店様 訪問

3時間で5店舗、それなりに距離 (特に新宿-立川間は約30km) も離れている。はっきり言って、立ち止まっている暇は全くない。

訪問先の各書店でも段取りと様々な作業があり、電車には運転間隔の問題があって 駅に着けばすぐに乗れるというものでもなかった。

移動に迷っていると次が間に合わなくなってしまう。それに書店員の方々にもシフトや休み時間の都合が控えているから、スケジュールは厳守しなければならない。

しかし、お忙しい中でせっかく時間を割いて対応してくださるのだから、おれもできる限り最大のサービスと感謝を伝えたいものだ。

↑『リストランテ・ヴァンピーリ』に登場する悪徳料理店 "リストランテ〈オンブレッロ〉" の給仕係用制服 (風) の格好をして現場に現れる当日のおれ。

…と、1店舗ずつ何があったかを詳らかに書くわけにはいかないだろう (ブログへの掲載許可も取っていない) から、ここからはクイズ形式で展開していく。

なお、今回同行してくれた出版社側のスタッフは、以前のエントリにも書いたベテラン編集者・杉下右京さん (右京さんではない) である。


[新人作家 咄嗟の判断 ○×クイズ]

① アポイントメントより早い時間に到着し、「ではもう少しの間 自由に店内をご覧になっていてください」と勧められた際、絵本『ねないこだれだ』のステーショナリーコーナーへ直行する。

→ ×。文芸売場へ向かえば 小説トレンドを勉強する熱心さをアピールできるチャンスだったにもかかわらず…。

② バックヤードで色紙作成中、応対してくださった書店員の方が 右京さんに対し おれのことを指して「(王様の) ブランチに出ればいいじゃない、ねえ、ブランチ」というようなことを話しているのを聞き、ややウケながら「頑張りやす」などと温いコメントをする。

→ △。作業の手を止め 先方の目を見て「はい。(いつか「王様のブランチ」のブックコーナーに出演しますので) 必ず録画してください」と見得を切るのが美しい。

③ 現地でアテンドしてくれた出版社の営業担当の方 (初対面) に名刺を渡すタイミングを逃し、別れ際に突然ごねて交換してもらう。

→ 〇。我が王国では名刺はどのタイミングで何枚配っても構わないと法で定められている。

④ 電車で移動中、(混雑していて連続したシートが空かなかったため) 右京さんと1席離れた所に座っていたが、途中駅で間の人が立ち 座席が空いたので 自らすっと間合いを詰めた。

→ △。アサシンのように無言で移動したので気持ち悪かったかもしれない。すみません。

⑤ 訪問した書店で色紙が足りず「私が (書店内の下のフロアにある) 文具コーナーで買ってきましょうか」と申し出た挙句、最終的に出版社負担で右京さんに会計を任せる。

→ ×。おれが自費で買ったほうがエピソード性があって面白い場面だった。

⑥ 全スケジュール終了後、30以上年齢の離れている右京さん (しかもおそらく昼食を取っていなかった様子) にどこで休憩していくかと尋ねられ、ルミネ内のファンシーなケーキ屋に誘って高額なシャインマスカットケーキセットを頼む。

→ ×。せめて気を利かせて食事提供のある店を提案すべきだった。


というわけで、おれの採点結果は 2 / 6点。

もう少し独立した大人としてしっかりとしたいところだ。皆は何問正解できたかな?

対象書店リストもアップロードしておくから、ぜひ近くの店舗を見にいって『リストランテ・ヴァンピーリ』をゲットしてくれ (サイン本は数量限定・売切御免)。

通常のサインは白に近いシルバーだが、どこかに数冊だけ激レア (確率0.2%以下) の "燻し銀Ver" が紛れ込んでいる。見つけたら超絶ラッキーだ。

【著者来店&サイン本販売&色紙展示】

[東京都] ジュンク堂書店 池袋本店 様

[東京都] 三省堂書店 池袋本店 様

[東京都] 芳林堂書店 高田馬場店 様 (特別ポスターの掲示もあり)

[東京都] ブックファースト 新宿店 様

[東京都] オリオン書房 ルミネ立川店 様

【色紙展示 (サイン本はある場合とない場合がある)】

[神奈川県] 有隣堂 藤沢店 様 (サイン本は完売)

[千葉県] 幕張 蔦屋書店 様

[大阪府] 枚方 蔦屋書店 様

[長野県] 平安堂 新長野店 様

[静岡県] 谷島屋 浜松本店 様

[東京都] 書泉ブックタワー 様

[石川県] 金沢ビーンズ明文堂書店 様

[愛知県] 紀伊國屋書店 名古屋空港店 様 (特別ポスターの掲示もあり)

[神奈川県] 紀伊國屋書店 横浜店 様

[埼玉県] 紀伊國屋書店 さいたま新都心店 様

[岡山県] 喜久屋書店 倉敷店 様

[福岡県] 丸善 博多店 様

[大阪府] ブックファースト 梅田2階店 様

[鹿児島県] ブックスミスミ オプシア店 様

[愛知県] ジュンク堂書店 名古屋店 様

[青森県] NET21 伊吉書院西店 様

[愛知県] 丸善 名古屋本店 様 (特別ポスターの掲示もあり)

Blueskyの告知を見て 既にサイン本や色紙を探しにいってくれたあなた、本当にありがとう。

中には何店舗も寄って収集してくれている方までいて、おれは非常に感激し、励まされている。今度出版社に行ったら右京さんにも伝えよう。きっと喜ぶよ。

各書店の皆様のご親切にも重ねて感謝を申し上げます。毎度ご贔屓に、頂いた差し入れも大切にしますね。

それじゃあ、今後とも『リストランテ・ヴァンピーリ』と 二礼樹 をどうぞよろしく!

@octopus
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