周りに冒険者が少ないので啓蒙するための記事です
世界樹の迷宮シリーズとは:概要
冒険者ギルドを結成し、前人未到な迷宮の踏破に挑む3DダンジョンRPG。開発元はペルソナ等のRPGで有名なアトラス。
ストーリーは薄めで、ゲームが主体。目の前に洞窟があったらとりあえず全ての分岐を踏みながら踏破する人間には向いている。ストーリーが進まない場所に寄り道しない人間にはあまり向いていない。
キャラメイクゲーで、パッケージの子も職業と立ち絵しか用意されていない。パーティに入れるかどうかも自由だし、名前もあなたがつける必要があるし、ゲーム中でなにか喋ることもない。冒険者のあれこれを考えるのは全てプレイヤーの役割で、つまりは妄想力が高い方が有利といえるかもしれない。筆者はいつも男女比を1:1に保つために苦戦している。何事もバランスは重要だ。

世界樹の迷宮の大きな特徴は、地図をプレイヤーの手で描き上げていくところだ。これをめんどくさいと思う人間には致命的に向いていないが、楽しいと思えるのであれば濃厚なゲーム体験が味わえる。
世界樹プレイヤーの地図書きへの思い入れは、switch版の限定特典にタッチペンが付属していたことからもうかがえる。なお筆者は限定特典を売れ切れで買いそこねた。
ゲーム体験における2画面+タッチペンの相性があまりに良すぎたためDS以外で発売出来ないのでは?と言われており、実際に沈黙が長かったシリーズだった。今回のリマスター版は地図描き含めかなりの高クオリティで移植されており、シリーズファンからも絶賛されているので安心して遊んで頂きたい。
高難度RPG
世界樹の迷宮の特徴としてよく挙げられるのは、その高い難易度である。素人が無謀なことをすれば、10分でゲームオーバー画面を見ることになるだろう。
例えるなら、フロムゲーのようなものである。その難易度が踏破の達成感を増し、冒険者を迷宮に惹きつけているのだ。(高難度ゲーの魅力を説明するのに便利だなあフロム。)
世界観の点から見ても、危険な迷宮だからこそ踏破者が出ておらず、だから作りかけの地図を手に未知の領域に挑むという、筋の通った設定になっているといえる。
リマスター版では難易度調整が実装され、PICNIC, BASIC, EXPERTの三段階で遊べるようになった。難易度の概要は以下だ。
EXPERT: 原作難易度。
BASIC: バフ1枚かかっているぐらいの補正を得られる。逆に言えばバフ1枚程度しかなく、つまり無茶をすれば普通に死ねる
PICNIC: ゲームにならないレベルに難易度が下がる、具体的にはダメージ9割カット。地図描きだけ楽しめるモード。経験値補正が入るのでレベリングで使う時もある。
高難度とはいうものの、全シリーズ何かしら救済措置レベルの強要素があり、その情報さえ手に入っていれば極端に難しいゲームではない。
リマスターは倍速や難易度下げなどでレベリングもしやすくなっているので、筆者としては心が折れない限りは原作難易度の「EXPERT」固定で迷宮に挑むことを推奨したい。
これは「もしフロムゲーに難易度設定があったら初心者は下げるべきか?」という話と本質は同じだ。世界樹はRPGなので、辛ければレベルを上げれば難易度は下げられる。
(なおこんなことを言っている筆者も、初代やVのラスダン付近では襲い来る理不尽にブチギレながらやっていた記憶しかない。禿げそうになったら難易度をBASICに下げるべきだろう。ちなみに世界樹のネットスラングで全滅のことを hage と呼ぶ。)
迷宮踏破の喜び
ここはかなり筆者の個人的な記述のため参考程度にしてほしい。
世界樹の迷宮で最も喜びを感じるのは「階層をまたぐ階段を進むとき」だ。
ダンジョンには階層があり、1~10Fが第一階層、11~20Fが第二階層、のように分割された設計になっている。そして階層が変わると、まるで別のダンジョンかのように景色が激変するのだ。
もちろん各階層のラストには強敵が待ち構えている。高難度といわれるゲームのボスなので、当然のように凄まじい強敵である。対策していても死闘を繰り広げることは必至だ。
何度もトライし、死闘の果てに強敵を倒し、次の階層に進む…。この瞬間の感情は、筆舌に尽くしがたい。興奮で鼓動が早まるのを感じられることだろう。高難度の迷宮と正面から向かい合った冒険者だけが得られる、至上の喜びだ。
筆者がEXPERTを推奨する理由は、ここにある。

強敵は通過点でしかなく、倒した「先」に目標があるというのは高難度ゲームの中でも特筆すべき特徴だろう。まさに「冒険者」としての喜びといえる。撃破後のリザルト画面を眺めながら、次の期待に胸が躍る経験をしたことはあるか?
そして振り返れば、描き上げた地図が手元にある。ダンジョンの構成は固定なので全プレイヤーで構造は同じ地図が完成するのだが、塗り方、アイコンの置き方、残したメモなど、細部には十人十色の個性が出る。見れば「自分の地図だ」とひと目でわかるものになっているだろう。
これは実際に筆者の地図だ。中途半端に床の青色が抜けたままで、アイコンを置いたマスは塗っておらず、ドアは通路として扱って壁を描いているところが私らしい地図。

次の階層に進む。その喜びは一瞬だが、その一瞬のために時間をかけて迷宮を攻略する価値は間違いなくある。そう考える冒険者がたくさんいて、シリーズもVまで続いているのが何よりの証拠だ。
どれから遊ぶべきか?
世界樹リマスターは、現在1,2,3の三作が発売されている。
実は 1&2 と 3 は、かなり毛色が異なる。ファンの中でも、1 と 3 どちらを初心者に進めるべきかは意見が真っ二つに分かれる議題となっている。
2は引き継ぎ要素があるのと、シリーズ最高難易度と言われており開幕から殺意と理不尽が押し寄せてくるので、2から遊ぶのは全会一致でおすすめされていない。
シリーズ作品ではあるが、1→2 の引き継ぎ以外にほとんど繋がりはない※1。どこから手にとっても100%楽しめる。
個人的には 4 を圧倒的におすすめしたいのだが、残念ながらまだ未発売だ。ここでは、 1 と 3 の良さをそれぞれ書いてみよう。
※9/22 追記: どうやら初代世界樹の迷宮は、迷宮探索に適性を持つ異常者にしか踏破できないようだ。たとえゲーマーであっても、絶望と理不尽に対し高い耐性を持ち、試行錯誤して挑み続けられる本物の変態でなければ到底推奨できない、という結論が出た。↓
↑これはそれなりにゲーマーであるN氏がエキスパート固定 & レベリングのみピクニックで、最初からラストダンジョンまで挑む様子を、筆者がDiscord配信で数十時間ずっと付き添い支援し続けた上で出した結論である。自分はゲーマーというより変態であると自覚のある人間、あるいは熟練冒険者への支援要請が行える人間関係を持っていなければ、世界樹3を極めて強く推奨する。
1からのプレイがおすすめなケース
レトロゲーム寄り、シンプルなゲームが好き
飾り気のない、硬派なゲームでも楽しめる
「ゲームっぽいBGM」が好き
「これこそ世界樹の迷宮!」といえる作品から触れてみたい
「次の階層に進むとき」に最も揺さぶられる作品から遊んでみたい
目の前に未踏の「ダンジョン」があれば、理由がなくとも"踏破してやる"というモチベーションを無から生成し、何も導線がなくてもそれだけで突き進むことの出来るゲーマー体質の人間
3からのプレイがおすすめなケース
少し難易度やさしめな方が嬉しい(これはほぼ嘘。普通に死ねます)
「ダンジョンRPG」だが「RPG」の比率が高い方が好ましい。控えめだがある程度のシナリオがあり、街の人との交流、クエスト等で話すNPCなども多い
迷宮探索1本ではなく、寄り道要素もほしい
「盛り上がるBGM」が好き
クトゥルフ神話系ゲームを片っ端から遊んでいる
街の雰囲気、ダンジョンの雰囲気が明るい方が良い。3の舞台は太陽のまぶしい港町で、実際に航海へ出ることができ、実際に旅行に行ってみたいぐらい雰囲気が良い。初代は全体的に陰鬱としている…。
現代のRPGに慣れているユーザーにとっては、3のほうが馴染みやすいだろう。初代と比べれば 3 は本当に遊びやすい。
ただ3はシリーズ内でもクセがかなり強めで、世界樹っぽさがややマイルドになっている。手触りが初代とは大きく異なっており、どちらがおすすめかは個人の嗜好に大きく依存する部分があるのだ。単純な比較は本当に難しい。
あとは、キャラデザだろう。公式サイトを眺めて、気になる職業がある方の作品を手に取るというのもおすすめだ。
むしろそうした方がいいのではないだろうか。あ、筆者は思い出補正込みで3ゾディアックのアナザーカラー黒髪ゾディ子が好きです。星間エネルギー「エーテル」を操る「ゾディアック」という職業名も良いと思いませんか?

…どちらも名作なので、何かしら惹かれるものがあった方を手にとってもらいたい。
( 物語に繋がりはない以上、2から始めても大きな問題はない。ただ難易度が高すぎるので心が折れるリスクが最も高く、絶対におすすめはしない。
筆者はシリーズを 4→1→3→2 の順で遊んでいたのにきつすぎて中盤で折れてしまい、リマスターでようやくクリアしている。もっともこれは原作での話なので、リマスターは難易度調整という手もあるが…。
↓結局こういうところが難易度を引き上げているので…

否定するだけでは不公平なので、いいところに目を向けると
初代の悪いところである 「 ストーリーが薄すぎる」「街の人との会話もほとんどない」 という部分が劇的に改善している
改善どころか、街の人達との一体感、家族感はシリーズ随一
それでありながら「世界樹らしさ」も全開
ゲームバランスがシリーズ屈指でマシ。飛び抜けて強すぎる万能職業がない※2
いざとなればフォーススキルという初心者救済技もある
とまあ、難易度に目を瞑れば2もおすすめ出来る要素があり、一考の余地はある。
…目をつむらなければならない部分がデカすぎるので、筆者は絶対におすすめしないことは繰り返し伝えておく。)
※1 引き継ぎ要素はオマケ要素みたいなもので、イベントの殺意が増して難易度が上がるのがもっぱらメインになっているので継がない手もある。
※2 マシというだけ。とはいえ劣悪すぎる初代と比べたら神バランス。
Steam版とSwitch版どっちがいいの?
ほとんど変わらないので、好きな方を選んでよい。
Steam版のメリット
地図をマウスで描けるので、とても快適
Switch版のメリット
外で遊びやすい(元々DSなので画面サイズ的にも携帯モードに適している)
用意すれば、タッチペンで直接地図を描ける
一応、世界樹3には大航海クエストというオンライン要素がある。クロスプレイ非対応なので、一緒にやりたいなら友達と合わせる必要がある。
(大航海のマルチプレイは正直微妙だ。ひとり用RPGなのに部分的に協力プレイというのは無茶で、基本ソロでやるものだと思っていたほうがいい。友達がいたらパワーレベリング手伝ってもらえるかも、ぐらいに捉えておくのがよいだろう)
次記事へ続く
さて次は、実際に世界樹の迷宮を手にとってくれた方に向けて、最大限楽しむためのプレイガイドを書いていこう。
高難度とはいうものの、全シリーズ何かしら救済措置レベルの強要素があり、その情報さえ手に入っていれば極端に難しいゲームではない。
の情報提供や、ゲーム中で何の解説もない仕様面を掘り下げていくぞ。
1記事にまとめるつもりだったが、長尺になりすぎたので次の記事としてまとめている。
次↓