前回の内容で、より良いパートナーシップを育むための仮説理論の全体像を示しました。この理論は4つの分類からなるため、それぞれの要素について、できる限り言葉にしていきます。
今回は、非日常×長期に分類される右上の「関係の発展」についてです。
関係の発展
軸:非日常×長期
目的:人生をより良く重ね合わせること
例:将来について話し合う
概要
2人の関係性というものは、絶えず変化していくものです。定期的であれ不定期であれ、2人のこれからについて話し合うことや、今の関係性を見直していくことは、良好なパートナーシップを長期的に続けていく上で重要な役割を果たします。人生を共に生きていく関係であるからこそ、お互いの変化に合わせて2人らしい形を模索していくことが大切です。
この要素がもたらす効果
関係を発展させていくことで、今ある関係性をより良い形に編み直していくことができます。お互い常に変化し続ける存在である以上、2人の関係性を固定化しておくことは2人を窮屈にしていくとも言えます。互いの変化の成り行きで苦しい関係になったと感じたならば、むしろ新しい関係性に編み直すタイミングになったサインです。2人にとっていい形を探ることは、人生を長く重ねていく助けになるはずです。
また、人生設計をし易くする効果もあります。結婚や子育てといったライフイベントは人生設計を大きく左右します。また、人生はパートナーとの関係だけではありません。自己実現したいことや成し遂げたい仕事など、他の要素とうまく折り合いをつけながら、私たちは人生を歩んでいくものです。これから人生を重ねていく/すでに重ねている関係にいる以上、多くの要素を最大化できるように2人のこれからを語ることは有意義な時間になるはずです。
具体的実践
お互いについて話し合うことが、関係の発展を支える実践であると考えています。関係の発展というのは非日常的なことなので毎日話すこともないけど、長く取り組まないと、変化に気づかないまま気づけは考え方の違いを埋めきれないほどに向いている方向が異なってしまうこともあります。
具体的な実践アイデアとしては、「月末に2人のこれからを1時間話す」などと定期的に2人の関係について話し合う時間を設けるといった習慣を作ることは有効でしょう。また、話し合うといっても机に向かい合って真剣に話す必要は必ずしもありません。家で過ごしている中やデート中にふと話題に出すのも素敵です。まずは2人の今やこれからについて話す時間を2人の時間に組み込んでいくことが重要です。
ハードル
日々一緒に過ごすが故に、実際は少しずつ変わっているパートナーを、ついつい固定化した存在として捉えてしまいがちです。そうすると少しずつ変わるパートナーに気づけず、埋めきれない違いが知らず知らずのうちに生まれている、といったことはよくあります。この時、互いの変化によって関係性の中に違和感が多少なりとも生まれているはずです。この違和感を「まあいいや」とせずに話し合うことを心がけましょう。
また、対話するという会話の選択肢をそもそも持てているか?という観点もあるでしょう。そもそも未来を話すことや2人の関係性って?とメタ的な視点で対話することは日常の思考や会話とは異なるものでしょう。しかもパートナーと過ごす中で、関係性に違和感を持った時、それを扱うことは一見怖いものだし、エネルギーも使います。関係性に違和感を持った時に、対話をすることで対立ではなく、2人のより心地よい形が見つかるということを信じて関わっていけるか?という視点がありそうです。
サポート
関係の発展は、インパクトが大きい領域であるために、いくつかサポートするコンテンツはあります。
まずは、価値観をすり合わせるためにいくつかの答えていくものや、結婚に向けてお互いの考えを書き出すようなコンテンツもあります。未来についてや、今の関係性を振り返りたいが、何から考えたらいいかわからないといった際には、非常に強力なサポートツールとなるはずです。
また、対話自体に難しさを感じる場合は、コーチングやカウンセリングといったサービスを利用することは有効です。普段考えない将来についてや2人の関係性について日常から離れて考える機会になることはもちろん、第三者が関わることで本音を安全に引き出してもらえることも大きな利点です。