2023年よんだ本(後編)

sugarhigh
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2023年に読んだ本たちのちょっとした感想めも。読んだ順番はめちゃめちゃ、ネタバレ配慮なし、うろおぼえだったりそうじゃなかったりします。前編はこちら

これ以上細分化して章分けしていたら一生この記事が終わらんのでここからは巻きでゆきます。

・BATTLE OF TOKYO 5

第1部完らしいが結局初期MVたちに共通して登場するライオンは登場の気配がなく、バビロニウムでバトル……するんじゃないんか……!??続くの……続きはよ読みたい……となった。BOT、おたくの中二心をめちゃめちゃにくすぐる世界観とキャラ設定だしハイローに次ぐおたくに大ウケコンテンツになってほしい!というきもちが常にあるのだが、キャラの名前とメンバーの顔がまだ一致していないDBP参戦により既存おたくの自分ですら混乱したので本当にシンプルに登場人物が多すぎるし中の人の関係性込みのエモさがおおいにある(月島先生が中の人たちのエモさに気づいたんだな……と感じるレベルで描写が増えた・細やかになったキャラが多数いる)のでハイロー以上に新規参入の壁の厚さを感じ、くっ……。

・平家物語 犬王の巻

映画を先に鑑賞しており、映画がめちゃめちゃめちゃめちゃ好きだったので読んでみて、よくこれをあのエンタメ映画にしたな……!??と感動した。

・君の地球が平らになりますように

・愛じゃないならこれは何

斜線堂有紀さんはこの2冊が初読。「君の地球が平らになりますように」というタイトルに惹かれ、これは「祈り」なのだろうなと思いながら読んでみたら「呪い」だったのでびっくりした。描かれていた恋愛たち、わたしはどれもありそうだと感じた、インターネット上でよく見る地獄たちをこんなにあざやかに描けるのはすごいなあと思ったのだが、「リアリティがない、こんなイカレた女たち実際いる?」という感想を見かけ、見ている世界が違うんだな……と思った。表題作含めタイトルがどれも秀逸で好きすぎる~~。

・花物語(河出文庫)

そういえば読んでいなかった文学作品を読もうと思い読んだ作品そのいち。なのだが、頭がうまく働かない時期に読んだのもあってかうまく没入できず、と下巻途中で断念した。同じく途中で断念した「甘い蜜の部屋」とあわせて2024年に再読したいと思っています。

・お嬢さん(角川文庫)

そういえば読んでいなかった文学作品を読もう、三島作品が読みたいが軽めの本が読みたい、ということで選んだ一冊。タイトルの通り「お嬢さん」のお話で読後感もさわやか、三島作品に登場する奔放な女性の描写はそこまでいやらしさを感じないんだよな……なんでかな……と考え、作者の性的指向に思いを巡らせ、いやそういう邪推はよくない……と自己嫌悪した。

・痴人の愛(新潮文庫)

・春琴抄(新潮文庫)

谷崎作品の女性の描写……文章はうつくしいのに本当にいやらしくてキモイんだよな……文章はうつくしいのに………(個人の主観です)三島作品を読んでからア~うつくしい文章よみたい!ひさびさに谷崎読むか!と手に取って改めてキモイんだよな………と思いながらその文章のうつくしさを堪能した。谷崎作品は上記2作のみを読んでいる(「卍」は関西弁の地の文にどうにも目がすべって途中で積んでいる)のだが、キモくない谷崎作品ってあるんですか?細雪とかですか?

・聖少女(新潮文庫)

桜庭一樹さんがすごく好きな作品、という印象。「私の男」について研究していた際にめちゃめちゃ多く言及されており本文より先に関連論文をアホほど読み漁っていたので初読という気がせず不思議~な気分になった。信頼できない語り手の物語が好きなので、改めて読んだ今あの頃アホほど読んだ論文を読み返して~!とモダモダしている。

・ブギーポップは笑わない

ジョジョノベライズで上遠野浩平作品を続けて読んだことで、いやゼロ年代おたくとしてやっぱりいまさらでも読むべきだろ!ということで読んだ。初読なのにすべて「知ってる」味で本当にびっくりした。

・空の境界

はるか昔、中学時代にさわりだけ読んでそのとっつきづらさに挫折したきりだった空の境界、今改めて読むとめちゃめちゃオモロ~!と感動したし映画もみたくなったし浅上藤乃が……好き……。

・ローワンと魔法の地図

甥っ子が「エルマーのぼうけん」に夢中になっているらしいと知人に話した際、もうすこしおおきくなったらローワンを勧めてみてほしいと返され、そういえばわたしも読んでないなと思い読んだ。おくびょうもののローワンが、おくびょうだからこそ最後まで生き残ったのだということ、児童小説の主人公がおくびょうものであること、すごく意外でいいな~と思った。

・ランチ酒

・まずはこれ食べて

柚木麻子作品を読み漁っていたことでごはんのおいしそうな小説、読みたい!のきもちになり、オススメごはん小説特集的な記事を見て読んでみた作品。たしかにごはんはおいしそうではあるけれど、読後感はけしてさわやかではなくて、ウーン……と思いつつ、他の原田ひ香作品も図書館で予約待ちしてみている。

・マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ

・めぐり逢いサンドイッチ

こちらもごはんのおいしそうな小説たち。そのうちシリーズの続きも読みたい。

・まんぷく長屋: 食欲文学傑作選(新潮文庫)

・作家の四季(講談社文庫)

・チキンライスと旅の空(中公文庫)

母校の図書館司書さんに「ごはんがおいしそうな作家さんって誰かいますか?」と聞いたところ「池波正太郎!」と返ってきたのでエッセイ中心に読んでみた。古き良き日本、昭和の香りを感じるエッセイたちの合間に描かれる和食たちは本当にどれもその味が感じられる気がして、なるほど~……と思った。「まんぷく長屋」は「食」より「欲」中心のチョイスだな……という印象。

・葉桜の季節に君を想うということ

本編の内容はともかく、開始1ページめで性行為において男性は「奉仕」をしているのだという主張に秒速でキレた自分にのちのちウケた印象がつよすぎる。内容はふつうにおもしろかったです。

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夢小説を題材にした小説が芥川賞候補に選ばれたんですか!?夢の者として……読むっきゃないじゃん!と手にとったのだが、内容が性的搾取をされていた被害者側の少女の物語であり、自分が読んだのが2023年10月頃だったために、同年夏頃からさんざんメディアを騒がせていた大手事務所の性加害問題についてどうしても考えが巡ってしまい、事務所を追いかけていたおたくという立場からも、読んでいて非常に興味深く、どうしようもない歯がゆさに苛まれた1冊となった。搾取されていたあの頃、それでもそこにはかがやく何かが存在していた、自分を「不幸」とは断言できない、という主人公の感情があらゆる現実のアイドルたちに勝手に重なってくるしい気持ちになったし、すでにすこしうろ覚えなので、再読して改めて感想をきちんと言語化したい。夢小説は「わたし」になれるけれど、「わたしではない誰か」にもなれるのだなあと思った。

・82年生まれ、キム・ジヨン

ずっと気になっていて読むタイミングを逃していた韓国文学。内容についておもしろさを感じるような作品ではないと思う(ただ淡々とした「現実」と「怒り」を感じるフィクション作品だと思った)けれど、この作品が世に出され、あらゆる物議を醸し、ムーヴメントを生み出したことにおおきな価値があると思った。自分含め周囲には「怒る女」が多く、わたしたちはあらゆることに声をあげて怒っているので、この作品を読んだからといっておおきな変化を得ることはなかったけれど、この作品を読んだことで「怒る」ことのできる女性が増えたなら、それはすごく貴いことだと思う。

・彼女の名前は

「82年生まれ、キム・ジヨン」と同じチョ・ナムジュさんの著作。たくさんの女性たちの生活や声を感じられて、個人的にはこちらの方が読んでいて興味深かった。女性アイドルを追いかける女性が、大好きなアイドルに「媚び」ポーズをしないでほしいと懇願する姿にめちゃめちゃに共感して、大好きな、自分にとってのミューズが性的に消費されることに対するどうしようもない怒りや嫌悪感は誰しもが抱くものなんだなと思ったし、その怒りや嫌悪感を行動として示すことのできる韓国女性の強さ、行動できるようにと道を切り開いてきた先人たちの強さを感じて、すごいなあと思った。(結局「媚び」ポーズをしたのかは確認できない、してもしなくても自分にとって彼女の価値は変わらない!と言い聞かせるファン心理も、わかる……)

・窮屈で自由な私の容れもの

ばったんさんの表紙絵に惹かれて手にとった1冊。「ブルーチーズと瓶の蓋」がいちばん好き。

・1ミリの後悔もない、はずがない(新潮文庫)

由井と桐原の恋愛が、ひりつくように痛々しくて、やらしくて、やさしくて、「一生の恋」ってこういうことを言うんだなあと思った。オチが本当に好きで、最後まで読んでから、ふたりが恋をしていた、ふれあっていたあの頃の話を読み返しては、せつない気持ちになった。図書館で借りて読んだのだが、手元に置きたいなと感じた1冊。

・花怪壇

ホラー小説は「リング」「呪いの子」(呪いの子は……十二国記のうちの1作として読めばホラーではないかもしれないが……)くらいしか読んだことがなかったので新鮮に読んだのだが、つい最近「最近のホラー小説はモキュメンタリー作品が多い」というツイートを見てそうなんだ?と思った。夜凪って実在するんですか?と検索し、大好きだった漫画がヒットして余計な傷を負った。

・神様のケーキを頬ばるまで

・まだ温かい鍋を抱いておやすみ

・朝が来るまでそばにいる

図書館で表紙に惹かれて借りてみた彩瀬まるさんの著作、個人的には「神様のケーキを頬ばるまで」がいちばんやさしく感じて好きだし、手元に置きたいなあと思った。特に「7番目の神様」「龍を見送る」が好きで、「龍を見送る」は「天才」に焦がれてやまない自分の癖(へき)を刺激されてウワーッッ!となった。(「朝が来るまでそばにいる」の「眼が開くとき」も似た意味でとても好きだった……)「7番目の神様」は逆にふつうのひとのふつうの話で、好きな映画を言い当ててもらえることって「愛」だな、いいなあと思った。

・薔薇の木 琵琶の木 檸檬の木

・シェニール織とか黄肉のメロンとか

江國香織作品は「きらきらひかる」のみ既読、「きらきらひかる」がとても好きなのだけれど、こちらの2冊は読んでいてなんだかグッタリしてしまい、今のわたしに合わなかったのか、はたまた……と首を傾げた。

・チョコレートコスモス(角川文庫)

大好きな友人が大好きな作品とツイートしていたのを見て読んでみた1冊。恩田陸作品は「六番目の小夜子」「麦の海に沈む果実」くらいしか読んだことないと言ったらそれは偏りがありすぎる!夜のピクニック読みな!??と返ってきたのでそのうち読みたいなと思っている。めちゃめちゃおもしろかったのだが、あ、アクタ……ジュ……とうめいてしまった……し、文庫版あとがきに続編執筆中と書かれていたのでもう出てるんじゃない!??と意気揚々と検索したら掲載誌廃刊により連載休止中と知りかなしみに暮れた。

・アイネクライネナハトムジーク(幻冬舎文庫)

伊坂幸太郎作品初読。「チョコレートコスモス」を好きな上述の友人がおもしろかったと言っていたので読んだのだが、斉藤和義さんの歌詞がバリバリでてきてエッ!???になり、あっそういう企画の本だったのね……とのちに調べて知り、歌詞の使い方がうま~い……と感動したし、恋愛小説あまり書かない人らしいのにこんなに恋愛小説がうま~い……と二重に感動したし、手紙だけでやり取りをして素性を隠しながら恋をしていく夢小説、書きた~い!になった。

・ジョゼと虎と魚たち(角川文庫)

表題作がいちばん好き。実写・アニメとも映画は未見なのだが、この短編小説を……長編映画に……?と首を傾げているので、そのうち映画もみたい。

・Fate/strange Fake 1

2023年始に買ったきり積んでいた本を年末に読み、成田良悟の描く聖杯戦争なんておもしろいに決まってるんだよなあ!??!??とのたうちまわり、翌日2巻を買いに行ったのに2024年1月現在また積んでいるのでさっさと続きをよみたい。ギルとドゥが楽しそうにころしあってたら、おたくはそれだけでまんぞくしちゃうじゃん……。

・烏に単は似合わない

このシリーズ好きなフォロワ~ちらほらいるんだよな……と手に取ってみた1冊。エッッそういうオチ!?とビックリした。世界観がしっかりしていて、シリーズをよむなら腰を据えてよみたい……とひとまず保留としている。

・グロテスク

登場人物が全員悪意に満ちていて読んでいる間ずっと緊張していたし読み終えてから途方もない疲労に襲われた。

・風町通信

大好きなフォロワ~に勧めていただいた1冊。すこしふしぎでみずみずしくてやさしくて、時々ちょっとせつなくて、寝る前に1話ずつ、ゆっくり読みながら眠りに沈んでゆきたい本だなあと思った。空の色を押し花にする話と猫の名前を飼う話が特に好き。概念をかたちとするふしぎさをいとしく思うのかもしれない。

・雪の練習生

大好きな知人に勧めていただいた1冊。ニンゲンのように言語を用いているのに語り手たちはあくまで「人外」のシロクマでしかないのだという価値観の断絶をふとした瞬間に何度も感じて、とくべつな言葉、難しい単語はなにひとつ用いてないのに、書いているのはたしかに人のはずなのに、ふしぎと「人外」の価値観として腑に落ちる文章がずっと続いていて、すごく没入した読書体験だった。主観で物語が描かれているのにどこか冷めて淡々としている文章で、その温度感がすごく好きだ~……と思った。

・窓ぎわのトットちゃん

12月に公開されるアニメ映画を劇場で観たい!という話題から、そういえば原作未読なんだよねと家族に話したところ、あるよ~と言われ貸してもらって読んだ本。1981年に母が買った本を2023年に娘のわたしが今読むこと、紙の本はこれができるからいい……と噛みしめた。マイノリティを蔑ろにしないこと、ひとを「属性」ではなく「個人」として理解し向き合うこと、言葉にするのは簡単だけれど現実には難しいこと、現代の人間がなおできずにいることを実行しようとした小林先生の姿はトットちゃんをはじめとする幼い彼らにとって正しく「先を生きる」ひとだったのだなあと思ったし、2023年を生きるわたしが読んでもなお、やはり大事なことだと思った。

余談:2023年に読んだ本マイベスト(順不同)

JOJO’S BIZARRE ADVENTURE OVER HEAVEN(西尾維新)/熱帯(森見登美彦)/彼女が言わなかったすべてのこと(桜庭一樹)/BUTTER(柚木麻子)/生のみ生のままで(綿矢りさ)/ウェルテルタウンでやすらかに(西尾維新)/キッチン(吉本ばなな)/老人ホームで死ぬほどモテたい(上坂あゆ美)/##NAME##(児玉雨子)/1ミリの後悔もない、はずがない(一木けい)/...

おしまい!

@sugarxx
とりとめないめも