VCの方々と話した。"違う"ということが分かった。

sugitani
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実践してみると理解できる、という出来事は多い。新しいプログラミング言語やツールを試すときとか、株を買ってみるとか。百聞は一見にしかず。

以前の記事でVCさんと話してみよう、という事を書いた。そして話しをさせて戴いた。この記事では

ベンチャーキャピタル(未上場企業の株を買い支援し、株の上昇益を狙う事業を行う企業)

と書いたが…あっているが違うと分かった。いや、文字ではあらかじめ読んでいたはずだが、ようやく理解した。

VCとはスタートアップへの投資を通じて、10年で200〜300%程度のリターンを目指す金融商品を売る企業だ。

不正確かもしれないが、このように理解した。

その金融商品を買う(ファンドに出資する)のはキャピタルゲインを得たくて投資を行う企業群だ(個人もいるのかもしれないけど)。VCはその方々のために、手段を尽くして目標を達成する必要がある、それができなければ次の商品が売れなくなってしまう。(はずだ)

とにかく成長してくれれば良いのではなくて、限られた期間の中で利益をもたらしてくれる必要があったり、ファンドの規模に応じた金額である必要があったり、など変数が沢山ある。

何よりも投資に関して強力な説明責任が伴う。面白いか?可能性を感じられるか?ではなく説明できるか!?が重要なはずだ。

今回、自分のプロダクトに関しては「こういう意図で、こういう企画をしている」「こういうビジネスモデルを考えている」「こういう形で勝算、あるいは棲み分けを狙っている」「資金があるならこういうことができるはずだ」といった資料を用意した。直接はどの方もおっしゃらなかったが、ものすごい的外れだっただろう。

必要なのは、皮算用と、皮算用の土台となる数字だ。年刻み、いや、月刻みでの皮算用、例えばMAUはこの月はこれぐらいで、月々n%増えてって売り上げはm円で…という何かしらの根拠込みで組み上げられた計画ではなかろうか。

いま自分のプロダクトは今の段階では全ての数字に何の根拠も生み出せない。しかも高確率で出した瞬間に"誰も集まりませんでした…!!!!" となりうる代物だ。そりゃー……困るだろう。

前回の記事を書いた段階では、普通なら商売にならないジャンルだから門前払いになるだろう、と考えていたが、数字が無いから門前払いになるとは考えていなかった。動いてみるものだ。

投資判断は早くてもクローズドテストや招待制テスト後で、それまでに徐々に仲良くしていければ、と考えていたが、それでも現状は早すぎる。

これから

全てのVCさんがそうである、という訳ではないはずだが空振り率は相当高いと考えられるので、いったん話すのは止めて開発に専念し、とにかく早く仕上げてしまう方が良さそうだ。

エンジェル投資家さんは?と思わなくもないが、エンジェル投資家とは、一人親方で自身の目利きを信じ、個人の裁量で動かせるそこそこ失敗したくない金額を動かす一人ファンド、だと考えられるはずで、そのような方々がリリースしたら即爆死するようなものに興味を持つはずが無いと考えられる。

同じく話すのは数字が出せるまで止めた方が良さそうだ。

お忙しい中話してくださったVC・投資家の方には本当に感謝の念を懐く。

しかし…

以前、スタートアップがまともなわけ無いから入るな 前編後編 という記事で

スタートアップを起業する人というのは起業せざるを得なかった人が大半で、大抵の場合人材も資金も持っていません。その中でプロダクトを作る方法は概ね2つになります。

(1)創業者か、創業者に巻き込まれた人が頑張って作る。 (2)外注する

どちらも地獄に直結します。

と書いたが、資金に関しては殆どの場合 "リリースして値が出せてから、ようやく出資の検討されますよ = 手元の資金のやれる範囲でどうにかして作れるシステムでサービスインするしかない" という現実を自ら体験できた形になる。スタートアップに入社するのはやはり避けた方がよいのではなかろうか…と思う。

それでいいのか…?と思いつつも、そういう仕組みだろうから仕方が無い。(※もちろん期待値が大きければリリースされる前でも調達ができる場合はある。実際に現在保守しているSUGARはそうだった)

とにかく俺は俺のこれを作ろう、薄い勝算の細い細い道を渡りきれることを信じているわけではない、とはいえ諦めることも手を抜くこともない、人生を動かすのだ。

@sugitani
ブラックキャット・カーニバル株式会社代表 / SUGAR株式会社元CTO→現顧問 / NUNW株式会社元CTO / 株式会社FLINTERS元CTO / 株式会社ドワンゴ元ニコ生初代開発リーダー github.com/y-sugitani