小説原稿とチャットGPT・おまけ編(9)プロット~清書までの推移

tndr215
·
公開:2025/5/30

◆これまでのあらすじ

「ような」地獄を切り抜け、脱稿したぞ\( 'ω')/

というわけで今回は工程の説明ではなく、過程比較。前回もいくつかピックアップした、3章のサンプル公開範囲(プロット3-2と3-3の一部)がどうなっていったかの比較!キャラ名はそのまま。

やっぱりまた文字数が多くなったため、前後編に分けます。まだ続くんかい!ごめんね!次回、後編にて最終稿までと、AIを使うことについて意識したい点や倫理的な話についてふれます。

◆プロット

第3章/湊視点:夜とふたりの時間、触れる気持ち

3-2. 貸切風呂(半露天風呂)

  • 湯気の立つ静かな空間。会話は控えめ。

  • 湊が「肩、凝ってる?」と声をかけ、ストレッチの勉強がてら肩を揉む流れへ。最近ストレッチやマッサージを本格的に勉強している話題に。「静弥はすぐがんばりすぎるから」

  • 静弥は最初こそ「くすぐったい」と笑うが、素直に受け入れ、「ありがとう」も言える。

  • けれど、やましさのない湊の触れ方に、次第に居た堪れなくなってくる――

    → 静弥「……さわりかた、やらしい」

    → 湊「はあっ?!」

3-3. 部屋/就寝

  • 寝る支度を終え、一旦「おやすみ」とそれぞれ布団に入る。

  • ……が、湊が小声で「……そっち、行っていい?」と尋ねる。

    → 静弥「……うん」

  • 湊が近づき、しばらくして「好きだよ」

  • 静弥はすぐに答えず、そっと湊の手を握る。指を絡めながら「……ありがとう」

💬基本的な流れはそのまま。章タイトルは仮。GPTがつけたんだったかな?サンプル公開範囲外ですが、アニメ2期で静弥が「初めてのお風呂は段差とか怖い」と言っていたので、眼鏡をかけたままにするかどうするかはいろいろ考えた。(草稿で風呂用眼鏡を使っているということにして会話などを追加)

「やましさのない湊の触れ方に、次第に居た堪れなくなってくる」と静弥の心情を明記しているけれど、これはGPTに共有しない自分用プロットだったら書かなかった。わたしは「どういう感情で言葉を発しているか」は自分の中で考えたうえでセリフを書いているから。

◆GPTが最初に出したたたき台

3-2. 貸切風呂(半露天風呂)

 ふたりの間に、ゆらゆらと湯気が立ち昇る。

 空には雲がかかっていて、星は見えなかった。

 だけど、その曇った空の静けさが、かえって心地よかった。

「……肩、凝ってる?」

 ぽつりと湊が尋ねると、静弥は湯に肩まで浸かったまま、すこしだけ視線を動かした。

「……うん、まあ」

「ちょっと、やってみてもいい?」

「……どうぞ」

 湊はそっと身を寄せて、濡れた指で静弥の肩を探るように触れた。

 硬くなっていた。自分の想像以上に。

「……これ、ストレッチの勉強がてらやってるんだけど」

「また真面目な趣味だね」

「だって、静弥すぐがんばりすぎるじゃん」

 言いながら、親指でゆっくりと円を描くように押していく。

 肩甲骨のあたり、首筋の裏――触れられるたびに、静弥の身体がかすかに反応する。

「……くすぐった」

「ごめん、ごめん……」

 その反応が嬉しくて、でも、変な意味じゃなくて。

 今はただ、楽になってほしくて。

「……ありがとう」

 静弥の声が、ぽつんと湯気の中に落ちた。

 それだけで、湊の胸に、じわっと温かいものが広がった。

 ……なのに。

「……さわりかた、やらしい」

「――はあっ?!」

3-3. 部屋/就寝

 ふたりして「おやすみ」と言って、それぞれの布団に入る。

 ……けれど。

「……そっち、行っていい?」

 ぽつんと投げかけた言葉に、静弥はすこし間を置いてから、返事をした。

「……うん」

 湊は布団の中で身体を起こして、そっとその隣に移動する。

 距離が、音もなく縮まっていく。

「好きだよ」

 そう囁くと、静弥はすぐには返さずに、ただ、湊の手を握ってきた。

 指先が絡む。ぬくもりが移ってくる。

「……ありがとう」

 それは、“ごめん”とは違う響きだった。

 今の、静弥の言葉。

💬これは本当に最初に出してもらったもの。あっさりしてますね。密度が足りないな…と思ったので、ここからもう少し感情の動きを説明して再出力してもらった。プロットにないセリフの掛け合いは、GPTが勝手に出してます。

◆たたき台(感情補強版)

3-2. 貸切風呂(半露天風呂)

「ここ、ちょっとだけ深いから気をつけて」

「……ありがとう」

 そのまま、ふたりで湯に浸かる。水面が小さく揺れて、ぽこぽこと音を立てた。

 湯気越しに見る静弥の横顔は、いつもより少し幼く見えた。濡れた髪が額に張り付き、頬には赤みが差している。

 ――本当に、がんばってるんだな。

「……肩、凝ってる?」

 ぽつりと湊が訊ねると、静弥は少しだけ視線を動かして、また湯の表面を見つめ直した。

「うん、まあ……」

「ちょっと、やってみてもいい?」

「……どうぞ」

 許可が出たのを確認して、湊はそっと身を寄せた。

 指先が肩に触れると、静弥の肩がわずかにぴくりと動く。

 硬い。張っている。ここまでとは思わなかった。

「最近ちょっとだけ、ストレッチとか勉強してて……」

「また真面目な趣味だね」

「いや、趣味ってほどじゃないけど。……静弥って、すぐがんばりすぎるから」

 言いながら、親指で肩甲骨の縁をゆっくり押す。

 湯に浮かぶ筋肉が、ほんの少しずつ、ほぐれていくのがわかる。

「……くすぐった」

「ごめん……」

 笑いながら、手を少し緩める。

 触れたいから、じゃなくて、楽になってほしいから触れている。

 その気持ちは本当だった。まっすぐで、他意のないものだった。

 だけど。

「……ありがとう」

 その言葉が、湯気の中でぽつりと落ちた瞬間。

 ふいに、静弥がぽつりと、別の言葉をこぼした。

「……さわりかた、やらしい」

「――はあっ!?」

3-3. 部屋/就寝

 湊は布団に入りながら、天井を見上げる。

 今日、静弥にとって、いい一日だっただろうか。

 電車の中で眠っていた顔。

 足湯でのゆるんだ表情。

 湯船で触れた、張った肩の感触。

 “ありがとう”と、“……さわりかた、やらしい”。

 そのすべてが、湊の中で揺れていた。

 静かな夜の音が、外からほんのかすかに聞こえる。

 それでも――布団の中の世界は、もっと静かだった。

 ……まだ、静弥の寝息が聞こえない。

「……そっち、行っていい?」

 ぽつんと落とした声に、短い間を置いて、返事が返ってきた。

「……うん」

 湊はゆっくりと布団を抜け出して、隣に滑り込む。

 その距離が、こんなにも愛おしいと思ったのは、いつぶりだろう。

 並んで横になると、自然と手が触れた。

 静弥の手が、そっと湊の指を握ってくる。

 その手が、何も言わなくても“いいよ”と言っている気がした。

「……好きだよ」

 静かに言うと、静弥は少しの沈黙のあと、ぎゅっと指を絡め返してくれた。

「……ありがとう」

 声はかすかだったけれど、真っ直ぐだった。

💬たたき台はどちらもGPTが出したそのまま。3-2冒頭の会話は湊が静弥を気遣って言ってるんですが、完全になくなった流れですね。もうこのあたり、ふつうに静弥が「ありがとう」を連呼している。でも3-3の流れを見たときは「静弥よかったね~~~!!」という気持ちだった。

◆草稿

3.ふれる、熱

湯気越しに見る静弥の横顔は、いつもよりなんだか幼く見えた。濡れた髪が額に張り付き、頬には赤みが差している。湊が何気なく首を横に倒して筋を伸ばしていると、静弥も肩に手をやって軽く揉み始める。

「静弥、肩凝ってる?」

「え? うん、まあ」

★急に尋ねられてびっくり?びっくりまではいかないけど、ん?って感じ★

「最近、マッサージとかストレッチの勉強してるんだけど、ちょっとやってみてもいい?」

「……どうぞ」

背を向けられて、許可をもらったのを確認してから、湊は静かに身を寄せる。濡れた指で探るようにふれると、静弥の肩がわずかにぴくりと動いた。硬くて張っている。ここまでとは思わなかった。

「やっぱ、かなり凝ってるな……」

「それで今日、マッサージ系の話題が多かったんだ」

「おれ、そんな語ってた?」

「それなりに。いいことだと思うよ。人に説明してみて理解できることって、たくさんあるから」

「うん、それは――いつも思う」★湊の心情を入れるか?「先生」をやることに関して★

言いながら、親指でゆっくりと円を描くように押していく。肩甲骨のあたり、首筋の裏。ふれるたびに、湯に浮かぶ筋肉がほんの少しずつほぐれていくのがわかる。

「っ……くすぐったい」

「ごめん。このへんも張ってるから……静弥、すぐがんばりすぎるからなぁ」

だから、すこしでも楽になってもらいたい。「ちょっと力入れるよ」と断ってから、肩甲骨のきわを手のひらの下あたりでぐっと押してやる。力を込めすぎないように、でも確かに、届くように。

「ん、っ」

「痛かった?」

静弥はただ、ふるふると首を横に振った。

「ありがとう……」★だんだん「ありがとう」が言えるように、としてここで言うか、布団のシーンで決定的に変わったようにするか★

かすかな声が雫のように、ぽつんと湯気の中に落ちて広がる。同時に、湊の胸の中にもじわっとあたたかいものが広がった気がした。

「うん」

嬉しくなって、今度は背骨から首筋のあたりへ指を滑らせる。その近くを雫が一滴、伝い落ちたときだった。★違う気がする…他意なくマッサージをするつもりだけだったけど、一滴雫が静弥の背中を伝って落ちていったのを見たとき、あれ?って思ってほしい★

「――さわりかた、やらしい」

「……はぁっ?!」

今日は、静弥にとっていい一日だっただろうか。電車の中で眠っていた顔。足湯でのゆるんだ表情。湯船でふれた、張った肩の感触。そのすべてが湯気のようにゆらめいて立ち上っている。

素肌にふれたのだって、久しぶりのはずなのに。本当にこのまま、今日を終わらせてしまっていいのだろうか。

「……そっち、行っていい?」

まだ、静弥の寝息が聞こえていないのに気づいていた。きっと、静弥も気づいていただろう。夜にひとしずく、落とすようにささやいた声に、短い間を置いてから返事が返ってくる。

「――うん」

息を潜めるように自分の布団を抜け出して、静弥の隣に滑り込む。その距離が、こんなにもいとおしいと思ったのは、いつぶりだろう。

並んで横になると、自然と手がふれる。静弥の手が、ためらいがちにこちらの指を握った。言葉はなくても「いいよ」と言われたような気がして、たまらなくなる。

「好きだよ」

指先が絡む。ぬくもりが移ってくる。

「……ありがとう」

さっきの響きとはまた違う、やっと聞けた「ありがとう」だった。★肩もみシーンも「ごめん」にする?★

★別案。湊が布団に入ってきてから、「さっきはごめん」「何が?」謝ってもらうようなことはされていない。(このあとの展開のメモ)★

💬自分で草稿を書いているうちに「いや、この感情の流れは違うな🤔」となってきたので「ありがとう」にたどりつく流れをガラっと変えたのであった。めちゃくちゃ感覚の話をして恐縮だが、わたしは「頭の中の映像を文章に書き起こす」イメージでお話を書いているので、そのとき見えていた映像とたたき台の流れでは違和感を感じたので、変えた。草稿時点で章タイトルが決まっている。

◆清書

3.ふれる、熱

 湯気越しに見る静弥の横顔は、いつもよりなんだか幼く見えた。濡れた髪が額に張り付き、頬にはほんのり赤みが差している。

 湊が何気なく首を左右に倒して筋を伸ばしていると、静弥もそれに倣うように肩に手をやって、軽く揉み始める。

「静弥、肩凝ってる?」

「え? うん、まあ」

 予想外だったのか、静弥の返事はどこか間が抜けていた。見慣れぬ眼鏡をかけた向こうの瞳がまるく、ぱちぱちとまばたきをする。

「最近、マッサージとかストレッチの勉強してるんだけど、ちょっとやってみてもいい?」

「……どうぞ」

 背を向けた静弥が、湯に揺れる。湊はそっと距離を詰め、探るように肩にふれた。ふいにふれられたからか、静弥の肩がわずかにぴくりと動いた。思っていた以上に、張っている。

「やっぱ、かなり凝ってるな……」

「それで今日、マッサージ系の話題が多かったんだ」

「おれ、そんな語ってた?」

「それなりに。いいことだと思うよ。人に説明してみて理解できることって、たくさんあるから」

「うん、それは――いつも思う」

 相手の身体にふれて、ほぐして、楽にしてあげる。その感覚が伝わってきたとき、自分もちょっとだけ軽くなる気がする。

 先生の仕事も、たぶんそれと似ている。相手のことを考えて、手を動かして、届かせていく。

 親指でゆっくりと円を描くように、肩甲骨のあたりや、首筋の裏を押していく。ふれるたびに、湯に浮かぶ筋肉がほんの少しずつゆるんでいくのがわかる。

「っ……くすぐったい」

「ごめん。でもこのへんも張ってるし……静弥、すぐがんばりすぎるからなあ」

 今だけでも、楽になってほしかった。「ちょっと力入れるよ」と声をかけて、手のひらの根元でぐっと肩甲骨のきわを押す。

「ん、っ」

「痛かった?」

 静弥は小さく首を振った。湯気のなかで、かすれたような声が落ちてくる。

「……ごめん、心配かけて」

「べつに、心配っていうか……がんばってるの、知ってるから」

 こういうところが静弥なんだよな、と思いつつ、今度は首筋のあたりへ指をすべらせていく。そのすぐ近くを、雫が一滴、しろい背中を伝って落ちていった。汗か、湯か。その軌跡を目で追ったとき、何かがほんの一瞬、頭の奥に浮かんだ気がした。

 どこかで――見たことがある。夜の部屋の中で、肌の上を雫が流れる。それを眺めた記憶が。けれど、それがいつだったかを思い出せない。

 ただ胸のどこかで、熱が、鋭く一瞬どこかを焼いた気がした。

「――さわりかた、やらしい」

「はぁっ?!」

 今日は、静弥にとっていい一日だっただろうか。電車の中で眠っていた顔。足湯でのゆるんだ表情。いろとりどりの夕食を、時間をかけても全部食べてくれたこと。湯船でふれた、張った肩の感触。湯気のように胸の奥に立ちのぼっていた。

 素肌にふれたのだって、久しぶりだったはずなのに。思い出すたびに、身体の芯のようなところで熱が揺らめく。

 本当にこのまま、今日を終わらせてしまっていいのだろうか。

「……そっち、行っていい?」

 まだ、静弥の寝息が聞こえていないのに気づいていた。きっと、静弥も気づいていただろう。夜にひとしずく、落とすようにささやいた声に、短い間を置いてから返事が返ってくる。

「――うん」

 息を潜めるように自分の布団を抜け出して、静弥の隣に滑り込む。その距離が、こんなにもいとおしいと思ったのは、いつぶりだろう。

 並んで横になると、自然と手がふれる。静弥の手が、ためらいがちにこちらの指を握った。言葉はなくても「いいよ」と言われたような気がして、たまらなくなる。

「……ごめん」

 なのに謝ってくるものだから、覚えがなくて「何が?」と言ってしまった。息がふれ合うような距離で、静弥がたくさんの想いの中から言葉を探す気配が伝わってきた。

💬小説を書くって難しい。草稿の時点で「静弥は風呂用眼鏡をかける」ということにしたので、「見慣れぬ眼鏡をかけた」という表現が入った。あと最後の「静弥がたくさんの想いの中から言葉を探す気配が伝わってきた。」と書いたとき、うちの湊静の湊くんは、静弥くんのここが好きなんだな…と思って泣いた。ほか、ごはんを食べるシーンを入れられなかったので「いろとりどりの夕食を、時間をかけても全部食べてくれた」の一文も追加。


というわけで今回はここまで。プロット〜清書でも変わっているところは多々あるけれど「プロットとは全然違う方向に向かってしまった!」が、ない。これは前々回の原稿でもそうで、「感情の流れ」を軸にして徹底的に詰めることで「え、もう終わっちゃった?」「あれ、本当はこういうことだったんじゃ?」という迷子が、なくなった。

10年前は「流れや山場を決めても毎回絶対にどこかのシーンが決定的に変わる。だから決めてもあんまり意味がない気がしてるけど、行き当たりばったりすぎるとそれも嫌だから決めてる」というように言っていた。てかこの「書いてるうちに決定的に変わってしまった」というのはほとんどクライマックスシーンのこと。

今回のように細かい流れは書きながら「こういうことか」と微調整をかけることはあるけれど、「決定的に」は変わらなくなった。クライマックスシーンをより効果的に、自然に書けるようになっている気がする。

成長ですね〜!伸びしろしかねぇ💪✨

てことでこのシリーズは次回こそが最終回!推敲〜完成稿と、AIを使うことの気になる点といいところの話!よろしく👍✨🦩💝

🌟後編❣️

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