ガチョウでいたずらするのが楽しすぎる

ひよこひよ
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 最近、絵を描くのに若干飽きていた。

 こんなことを言うのは絵描き(それも某所で仮にも「コミッションイラストレーター」なるものを名乗っている)の風上にも置けない奴だと思われるかもしれない。絵を描くのは好きだが、好きなものでも、少しでも仕事にしているスキルであっても、たまには飽きてしまうことだってあるのだ。だってそうだろう。退屈は人を殺す。人生には、ほどよい驚きが必要なのだ。

 きっと、この私の状態を「燃料切れ」と呼ぶのだろう。どんなに好きでも、やる気があっても、燃料が無ければ燃やすことはできないのだ。しかし、アウトプットしないとどうにも気持ちが悪い。クロッキーはほぼ毎日やっているが、私にとってクロッキーは朝の歯磨きと同じだ。

 こういうときは大好きな「ミュージカル『刀剣乱舞』」の過去の公演を見て心を沸き立たせるのだが、生憎、あの作品はカロリーが高い。興奮しすぎて胃液が上がってしまい、腹痛を起こすこともある。来月、生で観に行く予定が控えているので、体調不良になり免疫力が落ちることは避けたい。かといって他の作品を観る気にもならない。SNSで好みのイラストが無いかネットサーフィンしてみるものの、好みの波が来ない。

 そんなところに颯爽と現れたのは、1羽のガチョウである。

 この日記を書いた時点では、2人プレイかつ通常のエンディングの範囲で満足していたのだが、その後、やりこみ要素のタイムアタックにのめり込んでしまった。夜更かししてゲームするなど、いつ以来の話だろうか。先程、体調不良は避けたいと言ったのは誰だ。前言撤回しよう。

 ふと思い出したのだが、私は目の前のことに夢中になりすぎるタイプだった。というか、好きなものは最後まで取っておくくせに、さっさと食べてしまわなければ気がすまない。「今だ!」という心の声に従わなければ、2時間後には飽きているのだ。

 私は余暇時間に意地になり、クリア後のタイムアタックに挑戦した。最後のステージのタイムアタックは昨晩でクリアできなかったため、戦略を練り直し、今朝、挑戦してみた。いつもならクロッキーを終えてから、未来の自分が絵を描きたい(というより、絵の作業をしたい)とき用の、大ラフイラストの1つでもメモしておくところなのだが、今日の私は不思議なことに、どうしてもあのガチョウに会いたくなった。あのガチョウに会って、いたずらを手伝いたくなったのだ。

 あのガチョウは、鳥のキャラクターものが好きな私の心をくすぐる。「ガァ!」と鳴くと、人間が振り返る。ガチョウは「ぼく何もしてませんよ?」という顔で、人間を見つめ返す。そのふてぶてしさがたまらなく愛しい。現実でされたらキレ散らかすだろうけど、キャラクターになるとこんなにも可愛らしくなる。不思議だ。

 私の思うままに、ガチョウは街を荒らしていく。街の人間からしたら迷惑極まりないが、いたずらが成功した子どもの気持ちになってしまう。童心に帰るとは、このことなのだろうか。いやあ、楽しい。そしてガチョウは可愛い。

 本当に、丁度よいタイミングでガチョウに出会えて良かった。愛らしいガチョウのおかげで、ガチョウを描きたくなったし、「ミュージカル『刀剣乱舞』」の新作公演のネタバレを愚かにも自分から見てしまう、なんてことは無さそうだ(※)。

(※私はネタバレ否定派ではないし、メンタル耐性を付けるため事前に感想を読んでから挑むこともあるが、同行者が「ネタバレは見ずに初見で行こう」とのことだったので、今回は避けている。)

 ところで、ふと気になって、Steam公式の「Untitled Goose Game」のページを改めて見に行ったのだが……

どうやら、レビュー欄にガチョウが居るみたいだ。

 ガチョウ、レビュー書くのか……。

@trhnmkc
夢を見て絵を描く鳥。なりすましではなく本鳥です。嘘か本当か分からないことや、取り留めもないことばかりを書きます。