祝・国際女性デー (ポジティブ編)

蟒蛇
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ようやく本題に入れます。よりによってこの日に入ってくる極悪なニュースや、腑抜けた企業企画がなければこちらの記事だけで済んだはずなのに……

何を書こうか迷ったんですが、自分は最近読んだフェミニズムや社会問題をテーマとした胸熱マンガを紹介しようかなと思います。

本当はこの日に投稿できたらいいなと思っていたイラストがあるんですが、最近メンタルも肉体もヘロヘロすぎて絵を描くなんてとてもできる状態ではなく、脳内で構図だけ練って終わってしまいました。あまりブランクを抱えたくないので少しづつでも描きたいんですが、完全にエネルギー切れで動けません。

自分のこの不調の原因には少なくない割合で現在の家父長制国家形態と(性差別以外にも)日々浴びせられる差別が影響しており、他にも似たような状況の方はたくさんいます。この国の不正義・不公正は日々酷くなるばかりです。

もしこれを読んでる方で、マジョリティ属性を多く持っている方、身体が動く方、働けている方、社会的な繋がりのある方がいましたら、ぜひそのエネルギーの一部を差別や不公正の解消に宛ててください。やり方は一つじゃありません。できる範囲でよろしくお願いします。


※自分が主に使っている漫画アプリはピッコマのためピッコマのリンクを貼りますが、作品によっては他のサイトでも読めるものがあるかもしれません。

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『シジュウカラ』

"家族で夫の実家に引っ越してきた綿貫忍(39)。売れない漫画家でもある忍は、これを機に筆を折る決意を固めていたのだが、過去の作品が電子書籍でヒットしたことを受け、新作を描くことに。そこでアシスタントを募集したところ、応募してきたのは橘千秋という、22歳の美しい青年で...。実力派の作者が描く、40歳からの夢と仕事、そして愛と恋の物語。"(ピッコマより)

作者の坂井恵理さんはTwitter時代に度々TLでお見かけしていたのでタイトルは聞いたことがあったんですが、不倫ものに一切興味がない(というか苦手寄り)ということと、40代の物語に20代が入り込めるのか?というところが心配で読んだことがなかった名作です。

ピッコマで読み進めていたところ、先日運良く一日限定の全話無料キャンペーンが開催され、最後まで読むことができました。

全編を通してフェミニズム色が満載で、モラハラ夫との関わり方、子どもとの関わり方、価値観の異なる女性との連帯方法などが描かれています。主題として描かれているのは、中高年女性が若年の美青年と付き合うことについてですね。年上側が男性の物語なら溢れ返っていて名作と呼ばれるものも数多あり、現実でもありふれた組み合わせなのに、年上側が女性だと一気に不誠実でみっともないことにされる……その不均衡さと二人が結ばれるまでを丁寧に丁寧に描いていて、この作品の存在そのものがここまで気を遣って描かないと中高年女性と年下美青年の恋物語は一般に受け入れられないという不均衡さを炙り出しています。

あなたは『シジュウカラ』の他に中高年女性と年下美青年の作品をいくつ挙げられますか? よほどのマニアでない限り、ほとんどの方が中高年男性と年下美女の物語よりも少ない数しか挙げられないと思います。

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『彼女の沈清』

"生後わずか7日で母親を亡くし、目の見えない父親のために物乞いをしながら生活していた沈清(シン・セイ)。そんな暮らしに限界を感じ、生きる気力も失い死を願っていたその時、印水(インダンス)で溺れている少女を見つける。沈清は彼女を助け、そのお礼に赤い腕飾りをもらうのだが..赤い糸で作られた腕飾りが意味していたのは「縁(えにし)」。溺れていた少女は君主に仕える最高位の官吏であるチャン丞相との婚礼を控えていた。ところが、チャン永相と婚礼を挙げた日を境に奇妙なことが起こり始め、町の人々は彼女を化け狐などと言って遠ざけようとした。しかし、沈清は彼女とお寺で会ったり、一緒にお風呂に入ったり、丞相の世話を手伝ったりと二人でたくさんの時間を過ごした。叶わぬ恋と知りながら惹かれ合う二人の恋の行方やいかに...。"(ピッコマより)

『沈清伝』という朝鮮に伝わる古い物語をフェミニズム視点で再解釈した、胸熱GL漫画です。こちらの作品はピッコマ独占配信で、他のサイトでは読めません。本編全81話のうち70話までを毎日1話無料で読めます。残りの11話+外伝をすべて購入すると1500円くらいです。自分は本編のみ読了、外伝は未読です。

古典小説の再解釈なので家父長制の度合いが現代よりもさらに酷く、途中に出てくる差別描写やキツい展開に正直リタイアしそうでした。終盤まともな展開になっていくのでご安心を。ただし途中が本当に辛い。

胸張って勧めたくせにこんな言い方するのもなんですが、読みたい方は元気な時に読むことをオススメします。特に感受性の強い方は要注意です。

webtoonは当然のようにフェミニズム視点が入っているものが結構あって好きです。紙のコミック化されてないものも多いので、本当に好きな作品は手元に置いておきたい派にとってそこは難点ですけどね。『彼女の沈清』も紙化されていません。


国内外・新旧問わず、フェミニズム視点で描かれている作品は他にもたくさんあります。本当はもっと紹介したいんですが、体力が限界を迎えたため今回は二作品だけにしておきます。推敲する体力も残ってないので、変なところがあったらすみません。

相変わらず希死念慮と闘いながら延命している毎日ですが、マイノリティ(の権利)が邪魔で邪魔で仕方ない体制側に対しては、マイノリティがあらゆるリソースを貪って生き延びることそれ自体がレジスタンスです。

明日も抵抗する予定の皆さん、また明日。すでにこの世を去ってしまった同志たちのことも忘れません。

@uwabami
オタクィアフェミニスト。社会やら趣味やら雑多に語ってます。 詳細なプロフィールや語りの傾向は固定記事にて。