こちらで売るために箱詰めしたよーと書いていた金カム+αを、今日ようやく売りに行きました。さすが人気作品だけあって、今までに見たことのない額で売れました。
他にもゲームやカード、CD、キャラグッズなどいろいろ売ったんですが、ほぼほぼ金カムの功績で全部で20000円くらいになりました…… 臨時収入は嬉しいんですが、それくらいあの危うい作品が人気なんだと思うと複雑な気持ちです。ただでさえ近代史の平均的な前提知識が乏しい国なのに。
今回わりと高めに売れたのは、金カムの17巻以降(各300円)、金カムのDVD第7〜9巻(4700円)、囚われのパルマのサントラ(700円)、ポケカトレーナーコレクション・サイトウ(2500円) ですね。
逆に そんなもんなの!? ってなったのは、金カムファンブック(150円)、金カムキャラ香水 鯉登・尾形(各300円)、ねんどろいど燭台切光忠(450円)、はじめしゃちょー写真集(5円)、ポケモンスナップ(300円)、その他すべてまとめての50円 です。
はじめしゃちょーの写真集5円は笑っちゃいました。大人気YouTubeなんじゃないのか、あの人……ここ数年まったく見てないんですが、最盛期を過ぎてしまったんでしょうか……
ポケモンスナップは発売から時間経ってますからねー。天下のポケモンと言えどこんなもんなんですね。金カムはコミックが高値だったのにファンブックとグッズはあんまりなのが意外でした。
ねんどろ光忠は、未開封でしたが接着剤が劣化して表面の透明プレートが剥がれちゃってたんですよね……箱も美品ならもう少し高値がついてた可能性あるんですかね? それとも単に古い商品だからこの値段だったんでしょうか(2018年発売)。
そして衝撃だったのが「その他」。まとめられちゃってて何をいくつ売ったのか詳細は覚えてないんですが、2015年あたりにFate展で買ったグッズがいくつかあったはずです。レシートに記載されてないってことは、それらすべてまとめられた上で50円にしかならなかったってことですね……たぶん定価だと5000はしてたと思います。え、Fateってもう落ち目なんですか……? グッズが古いせい?
大抵の商品はフリマアプリで売った方が高値がつくのは分かってるんですよ。でも、手間を惜しんで実店舗に持ち込みしました。やっぱりジャンル問わずまとめてその場ですぐ売れるのって楽なんですよね。フリマアプリだとそもそも無事に売れるかどうか分からないですし。
今回オタグッズを軒並み処分したわけですが、別に脱オタするわけじゃないです。ただ、グッズはもうやめようかなと思ってまして。もともとそんなに買う方ではないですけど。これからは本当に欲しいグッズを1作品につき1つくらいまでにしておきたいですね、ただでさえ狭い部屋が余計に狭くなるので……あと単純に趣味にお金を使ってる余裕があんまりないです。
売ったついでに、『資本主義の中心で、資本主義を変える』という本が目に留まり、タイトルに惹かれて購入しました。
例え資本主義に疑問や懸念を持っていても、人間として人間社会で生きる限り社会構造から逃れることはできないという、日ごろ自分が抱えている矛盾を解きほぐして一緒に戦ってくれるリベラルな本だと思ったので。結論から言うと、まったくもって期待に沿わない代物でした。やっぱりよく知らない人が書いた本は調べるまで買うべきじゃないですね。いつも良質な書籍をオススメしてくれるフォロイーさんたちありがとう……
具体的にどのような本かというと、資本主義の恩恵を存分に受けられる立場にいる(いた)人間が、資本主義によって殺されかけている弱者に対する優越感とパターナリスティックな感情はしっかり保持したまま、いいことしようとしている自分にも酔いしれることができるという、ご都合主義な本でした。身も蓋もない言い方をすると、ですけど。
「敗者が何を訴えても負け犬の遠吠えにしかならないため、ゲームのルールを変えられるのは勝者のみ」という発想のもと、我々強者が中から変えてヒーローになるのだ!といったような思考が終始展開されていましたね。
とにかく何でも勝負(勝敗)に例えることにこだわるマッチョさ、資本主義によって常に搾取されている弱者は我々が導いてやらねばならない劣った存在であるという高慢さが滲んでいて、触れている社会問題もあくまで自分の利が損なわれない範囲のみ考えるといったつまみ食い精神が垣間見えます。
正直、唐突な日本アゲが序章に書かれていた時点で期待は底をついていました。序章の中には、WBCの日本優勝や大谷への褒め、歴史を見ても今を見ても夜郎自大な虚構としか言いようがない日本の「謙虚さ」「利他」の強調なども含まれます。
本編では、「経済が伴わない道徳は寝言である」という、過去の偉人の言葉を好意的に引用したりもしています。ちなみにここでいう道徳は、よく左派に揶揄されている失敗教育としての道徳ではなく、文脈的に「人権」に近い意味で理解すべきだと思われます。ようは儲からないなら福祉なんてクソだという、金のことしか頭にない極右政治家なんかと似たような主張です。
そしてこの著者は、低学歴者や貧困層、地方や地方在住者に対する蔑視感情が骨の髄まで根を張ってしまっています。
ご自分の出身地である地方都市を「秘境」と呼び、都市部よりも劣った存在であるという思考を開陳している部分があります。都市部がリソースを独占しているという視点はなさそうです。地方民が金銭的にも知的にも貧しいのは、地方民が自ら望んだ結果とでも言うのでしょうか。恐らく「途上国」に対しても似たような考えを持っているのでしょうね。
また、経済格差が広がることを、貧困者の人権や困難の視点ではなく「彼らに対して社会全体の安定につながる長期的で合理的な投票行動を期待することは難しく、バラマキや問題の先送りなどの刹那的で自己中心的な施策が支持されることになってしまうのだ」(だから貧富の差というものはマズイ)という言い方をしています。いかにも強者視点の傲慢なものの見方です。こういう思考の人間が、組織を中かから変える!だのと息巻いて自民や維新から出馬して、結果的にさらに社会をぶっ壊すのだろうなと思わされました。誰それのように、とまでは言わないでおきますけど。
端的に言って「問題の先送り」や「刹那的で自己中心的な施策」を求めるのは、基本的に強者の側です。なぜなら弱者は強者が主に設計・運営している社会の中で生きなければならず、強者が作り出した問題や思考を知らずに無知なままでは生き残ることができないからです。反対に、強者は自分たちが社会を動かす側であり利益を得やすい立場にいるため、弱者のことなんて見たり考えたりしなくても済みます。この至極当然な差別構造を理解していない者の語る社会論なんてたかが知れてます。所詮は自分たちの利を損なわない範疇のことしか見えていないし、語りません。
そして、この本の最後のページに記載されている出版元NewsPicksの編集長のコメントこそが、この本が強者視点で書かれた傲慢なものだということをよく物語っています。
今の暮らしは、悪くない。
ただもう、未来に期待はできない。
コメントの序盤にはそんな言葉が書かれています。「今の暮らしは悪くない」と思えているような、これ以上伸びはしないが問題なく生きてはいける立場の人間の視点で構成された本だということです。物価高騰や上がらない賃金、不安定な雇用形態などのせいで政治に殺されたり自ら命を絶たざるを得ない者など、資本主義の犠牲者たちの存在は視界の端にすらも入っていないのでしょう。(これに関してもお決まりの「自己責任論」でやり過ごすのでしょうか)
こういった内容の本を、強者の立場の者が「気づく」ためのキッカケとしてならアリなのでは? という意見があるのも知っています。自分はどちらかというとその考え方には反対で、強者が強者の視点で強者の利を損なわない範囲の都合のいい主張を振りまけば、その範囲が強固に守られたまま議論そのものが簒奪されかねないと今の自分は思っています。
目次を見て気になった部分を読んだのみですが、全体的にどんな立場でどこを見て誰に向けての本なのかという構図は、それだけでも十分に掴めるくらい「分かりやすい」本でした。
一応無理やり褒めポイントも抜き出すと、サステナブル企業であるパタゴニアを好意的に取り上げていたり、脱成長を掲げてはいること、環境問題が喫緊の課題であるという意識自体はあるようなので、問題意識すらも持っていないような社会的強者よりは遥かにマシだとは思います。
これ以上読み続けても無駄にメンタルが削られるだけだと思うので、たぶんこの本はそのうち捨てます。
【追記】この本の近くに鈴木エイトさんの本もあったんですよね……どちらも新しめの本なので中古のわりに高額で、どっちにするか迷った挙句こちらを買ってしまいました。今死ぬほど後悔しています。